ポストコロナ時代に企業が心かけるべき6つのポイント
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社ではこのほど、 企業が今後取るべきアプローチについて最新の分析を行い、 次の6つのポイントにまとめた。
1. 企業目標を見直し、実践する プロフェッショナルの間では、自分の価値観に合致した目的を持って事業活動を行う企業に惹き付けられる傾向がコロナ危機以前から見られた。今回の危機は、自分たちにとって何が真に大切なのかを多くの人々が見直す契機になった。 企業は自社のブランドメッセージを見直し、自社の価値観をどのように実践するのか社内外に明確に伝えることが必要。企業目標の修正についても検討することも必要だろう。 ヘイズのCEO、 アリスター・コックス(以下コックス)氏は「力強く明確で、 『生きた』企業目標を持つことで、優秀な人材は他社よりも御社を選ぶようになるでしょう。また目標は、テレワークやオフィス出勤など異なる勤務形態で働く従業員を団結させ、一体感を醸成するスローガンとしても効果的です。こうした団結や一体感は、新しい時代に従業員を惹き付け、定着させるために極めて重要です」と述べている。
2. コアとなる企業文化を明確に表現する 企業文化は、その企業の「人格」や「個性」を体現し、人材を惹き付け、定着させる鍵ともなる。 新型コロナウィルス感染拡大に伴う各企業の対応において、多くの企業が自社の企業文化を軸にして対策を講じている。「急速に変化し、進路の見えない未来に向かうとき、『北極星』のように私たちを導くのが企業文化だ。何かを決断しなければならないとき、 私たちは企業文化を軸に自問自答します」とコックス氏は説明している。 ハイブリッド勤務(出勤とテレワークを併用した勤務形態)に移行する企業が増加している今の時代は、企業文化を強く訴えていくことがより重要となる。 また、学びとスキルアップに継続的に努めていくこと、全ての従業員の声に耳を傾けること、従業員の健康とウェルビーイングを優先すること、企業の信用を棄損する問題に対処することなどが、ますます重視されることになるだろう。
3. 従業員に安心感を与える 多くの従業員が、今回の危機後に自分の仕事がどうなるのかと不安を抱いていることだろう。これが原因で健康を損ね、仕事に悪影響が出る可能性もある。企業は、従業員が安心して働くことができるよう努力する必要がある。コックス氏は次のように述べている。 「危機前の昇進計画を無視したり、保留したりすることは、可能な限り避けてください。これまでの評価基準を見直し、ポストコロナの時代には何が価値を持つのか改めて考えてみましょう。将来の戦略や計画を透明化し、それぞれの従業員が大きなビジョンの中でどのような役割を果たしていくのかを明確にしてください。従業員に自由と自律を促し、自分の役割を自ら確立させ、情熱を持つ分野を追求させましょう。時間の経過とともに、雇用主であるあなたとの信頼関係に繋がっていきます」
4. テレワークの恒久化を検討する リモートワークが普及し、企業は、従業員が自宅でも仕事することができると認識するようになった。コックス氏は、物理的に可能な範囲で恒久的にテレワークを導入する企業が増え、従業員は働く場所を選ぶことができる時代になると予想している。 しかし、その一方で同じ場所に集まって仕事をした方が、優れたパフォーマンスを発揮するという研究結果も数多く存在する。 「これからの企業は、テレワークと出勤をバランスよく組み合わせた勤務形態を導入し、従業員のニーズに応える一方でビジネスと生産性を適切に維持することも求められます。従業員が健康で生産的にリモート勤務ができるよう、リソースや機器などを提供することも重要です」
5. コロナ危機以前の福利厚生を見直す コロナ危機以前の福利厚生サービスの中には、今後は提供できなくなるもの、既に価値を失ったものもあるかもしれない。これらを見直してみよう。最も代表的な例が出張だ。これからの時代は、出張の機会が大幅に減少することが予想される。 また、金銭などのインセンティブもコスト管理の観点から、かつてのようには付与できないかもしれない。 コックス氏は「福利厚生については次の2点を考えてください。まず、 提供可能であること。そして、これからの時代に社員の共感を呼ぶものであること。今回の危機を通して、企業の中には扶養家族や近親者にメリットのあるパッケージを提供したり、メンタルヘルスや健康関連のアプリケーションを活用するなど、福利厚生制度を見直したところもあります。 新しい時代に人材を惹き付け、定着させる目的で企業が福利厚生を見直す動きは、今後も続いていくでしょう。 人生で大切なものを再評価する機運が高まっている今、ビジネスクラスを使った旅行や社用車の使用、金銭などの特典よりも、健康で幸福な生活、自分の人生をマネジメントする自由と責任、学びなどの自己啓発の機会の方が価値を持つようになるかもしれません」と指摘している。
6. 採用と新入社員研修をリモートで行う コロナ危機を契機にリモートで行われる業務が増え、職場のデジタル化は急速に進行している。ハイブリッドな勤務体系が導入されれば、この傾向はますます拡大していくだろう。 「昨今の不透明な状況を乗り切るために優秀な人材を欲している企業にとって、こうした変化は負担になるかもしれません。しかし、 慎重に検討し、適切な計画を立てることができれば、十分に対処することが可能です」とコックス氏は語る。 企業が検討すべき点として、「リモートコミュニケーションで企業本来の姿を伝えることができるのか」、「バーチャルリアリティ技術で重要な職務を代替できるのか」、「リモート勤務している従業員をどのように評価すべきなのか」なども挙げている。 また、次のように締め括っている。「今回のコロナ危機で、 従業員の意識は明らかに変化しました。優秀な人材を惹き付け、定着させるために企業はこの変化に応じたアプローチを取らなければなりません。外観では分からないかもしれませんが、この変化は明らかな事実です。企業は従業員が欲するものを与えることができるか、 再検討しなければなりません」
この記事は、LinkedIn Influencer blogに掲載されたものだ。