エンジニアのキャリアパスとは?3つの選択肢と決め方
正直に答えてください。5年後、自分がどのようになっていたいか、本気で考えたことはありますか。キャリアが自分には合っていない方向に進んでいるのではないかと心配していませんか。もし、そうならば、今すぐ自分のキャリアを考え直す必要があります。
まず、パニックにならないことです。今日の転職市場で、あなたは素晴らしい立ち位置にいます。ITスキルの格差が広がっていることから、技術的・非技術的な専門知識を持ち合わせている専門家が、これまで以上に求められているからです。しかし、需要が高まれば、選択肢が増えます。特にキャリアの方向性を決める際には、混乱し、どのようにすれば良いのか全く分からないということもあるかもしれません。
エンジニアの3つのキャリアパスを比較し、合っているものを見つける
エンジニアのキャリアパスは、大きく分けて3つあります。
- 最高情報責任者(CIO)またはマネジメントをするポジションを目指す
- コーディングを極めるまたは特定の分野を専門とする
- 起業するまたはフリーランスとして働く
まずは、それぞれの選択肢について十分に理解し、どのキャリアパスが自分に最も適しているのか考えることを強くお勧めします。以下で、3つのキャリアパスの詳細について説明します。
エンジニアのキャリアパス1:CIOを目指す
CIOになるためのビジョンを持っていますか。CIOは、テクノロジーと継続的なイノベーションを通してビジネスの成長を促進するポジションです。
その目標を実現するためには、相当な計画性と決断力、忍耐力が必要です。このような道に進むと決める前に、以下のポイントも考慮すべきでしょう。
コードを書く時間が減る
このキャリアパスについて検討する際には、まずコーディングが自分にとって重要なことであるか考える必要があります。CIOや管理職になれば、実際にコードを書く時間は少なくなるからです。
ビジネスセンス、ソフトスキル、技術的スキルの組み合わせが重要
他の幹部職と同様に、CIOは戦略性や影響力、協調性が重要です。優れたビジネスセンスやソフトスキル、技術的スキルを持っているならば、CIOはあなたにとって適したキャリアパスかもしれません。
CIOになるための最初のステップ
競争の激しい市場であるため、出世の階段を上るには、絶え間ない野心と意欲が必要になります。最初のステップとして必要なポイントをいくつかご紹介いたします。
- 技術的な基礎を固める。CIOとして働くためには、学歴(学位やIT資格)と技術的な経験が必要です。
- ソフトスキルを身に着ける。弊社の「DNA of a CIO」レポートによると、技術的なスキルよりもソフトスキルの方が重要だと考えられています。
- 人材マネジメントに関するスキルが鍵。優れたCIOは一緒に働く仲間のモチベーションを高めることに情熱を持っています。あるCIOは「テクノロジーは革新的で、便利で楽しいものです。しかし、全力を尽くす人がいなければ、当たり障りのない仕事になってしまいます」と話しています。インターネットには、様々なトレーニングリソースがあります。短期間のオンラインコースや大規模なトレーニングプログラムなど、探せば自分に合ったものが見つかるはずです。
- 専門的知識・スキルの向上に力を入れる。交流会への参加や最新の業界動向の把握、技術トレーニングの受講など。
エンジニアのキャリアパス2:コーディングを極める
コードを書くのが好きで、常に次の大きな開発トレンドを把握しているという方は、技術的な経験を積むことに集中したほうが良いかもしれません。
多くのエンジニアは、この道を選ぶ傾向があります。実際に、開発者向けの情報サイト「Stack Overflow(英語のみ)」の調査によると、回答者の半分以上が将来も同じかまたは違う技術的な職種に就きたいと答えている一方で、エンジニアの3分の1以上は今後5年間に異なるまたはさらに専門的な役割で働きたいと考えています。例えば、DevOpsスペシャリスト、データサイエンティスト、エンジニアリングマネージャーといった職種です。
以下に、このキャリアパスを選択する場合に考慮すべきポイントをまとめましたので、参考にしてください。
最新の動向を追い続ける必要がある
ソフトウェアエンジニアになるためには、常に変化し続けるテクノロジーや市場を追い続ける必要があります。アーキテクチャ設計、コーディング、ソフトウェアテスト、バグ修正といった日常的な仕事が変わることはありませんが、IT業界は常に流動的です。需要を対応するために常に最新の情報を追い続けなければなりません。技術的なファンタジーに浸るよりも、エンドユーザーを喜ばせることが重要です。
また、技術的スキルだけでなく、ソフトスキルも向上させる必要があります。特に、コミュニケーション能力については、自分の仕事を他の人に理解できるように説明するために重要です。
必ずしも一日中コーディングしているわけではない
ここで重要なのは、現実的であることです。職場にもよりますが、必ずしも一日中コードを書いているわけではありません。大企業で働く場合は、特にそうだと思います。日常的に、多くの会議に出席し、クライアントと話し、後輩を指導する必要があるからです。
経済的なメリットも期待できる
技術分野の専門知識は高く評価されるため、このキャリアパスを選択しても、経済的に損をすることはありません、例えば、「Stack Overflow」の調査によると、GoやClojure、F#といったプログラミング言語を使用できるエンジニアが高い給与を得ることができているそうです。
コーディングを極めるための最初のステップ
この道が自分に合っていると判断したなら、今すぐ始めるべきことは、複数の業界やプロジェクトで一つの技術的専門分野の知識を身に着け、幅広い経験を積むことです。
そのための方法は様々です:
- コースやハッカソンなど外部の学習リソースを利用し、知識や経験を深める
- 自分のスキルを高めるために、業界に強い関心を持ちながら、異なる開発環境に身を置く
- 他部署に移動し、異なるチームでの経験を積む
- 技術的スキルを向上させるために、技術契約を結び、プロジェクトに参加することを検討する
エンジニアのキャリアパス3:起業する・フリーランスになる
そろそろ正社員として働くことをやめて自分でビジネスを始める時期かもしれないと考えていませんか。フリーランスとしてITアウトソーシングや業務委託で働けば、担当するプロジェクトを自由にコントロールすることができます。また、自分自身の学習やキャリアプランに責任を持ち、スキルをどのように向上させていくか考えることもできるでしょう。
フリーランスには良い点が多くあります。しかし、すべての人たちにとって適しているキャリアパスではないことも認識する必要があります。以下に考慮すべき点をまとめています。
自分でビジネスを管理しなければならない
フリーランスの大きな利点は、自分にとって魅力的なプロジェクトを自由に選べることや好きな人たちと働くことができること、社内政治を避けることができることです。余裕があれば、契約の間に長期休暇を取ることもできます。
しかし、そのような柔軟性がある一方で、自分でビジネスをすることになるため、従業員として対処する必要のない責任やリスクも発生します。新規契約の獲得、顧客管理、財務処理(または委託先を探す)、賃金、次の契約保障、報酬の受け取りなど、「製品」である自分を売り込まなければなりません。
したがって、自分でモチベーションを維持することや高い自発性、適応能力が必要になります。いわゆる「伝統的な上司」はいませんが、自分だけで顧客の期待に応えなければならないため、自己鍛錬と仕事へのコミットメントが欠かせません。また、対人能力や信念も重要な要素となるでしょう。
チームの一員であることを常に意識する必要がない
これまで正社員としてチームで働いてきた人にとっては、大変なことかもしれません。業務委託や派遣社員として働くと、同僚との関係も変わります。初日から即戦力として活躍し、強い人間関係を築き、維持するために努力することが重要なのです。
企業する・フリーランスになるための最初のステップ
- 自分が持つ専門知識やスキルを求めるクライアントが多くいることを確認する。求人サイトや人材紹介サイトで検索し、専門的知識を持つリクルーターに相談してみましょう。
- 自分に不足している分野のスキルを積極的に向上する。2年後も、自分の仕事が注目されるようなものなのか、それとも時代の最先端へ行くために身に着けるべきスキルがあるのか。派遣やフリーランスとして成功するためには継続的なトレーニングへの投資が欠かせません。
- 自分の法人を設立することも検討する。多くの請負業者は、英国の「有限会社」と同じような形で法人格を取得することを選択します。そのためには、国の関連機関に法人登録し、会社名や住所、取締役、株式、株主などの情報を提供する必要があります。ヘイズのような人材紹介会社を使用している場合でも、独立した企業として行動し。サービスを宣伝するために独自のウェブサイトを作成し、LinkedInのプロフィールを適宜更新するなど、適切なマーケティングを行う必要があります。
次のステップは?
今回、ご紹介した情報が、エンジニアの皆さんのキャリアパスの選択に役に立つことを願っています。これは、キャリアの中で最も難しい決断であることが多いのですが、その選択に正解も不正解もないことを覚えておいてください。その道を楽しむことができないなら、他の道を選べばいいのです。計画なしにキャリアを進めて、時間を無駄にしないようにしましょう。
他にも、IT業界でのキャリアに役に立つ情報をまとめています。こちらの記事もぜひご覧ください。
著者
デイビッド・ブラウン
ヘイズ・アメリカ、CEO
人材派遣業界で20年の経験を持つベテランで、米国における人材派遣オペレーションを統括。ヘイズ・アメリカのCEOに就任する前は、営業や営業管理、経営管理など様々な業務を行っていた。