業績を評価する

適切な心構え、十分な準備、ならびに建設的にフォローアップするという信念があれば、スタッフの業績評価を、業績向上に結びつく、前向きなミーティングに変えることができます。

あなたのメリット

正しい準備と前向きな気持ちがあれば、業績評価を生産的かつ刺激的なものにし、経営の自信を深めることができます。

業績評価は以下ができる機会だと考えましょう。:

  • 落ち込み気味であったモチベーションの再生
  • 挫折する恐れのあるプロジェクトの再活性化
  • 生産性の高い社員に対する、より多くの責任という報償
  • 問題への積極的な対応
  • 将来の目標の設定
  • 必要なトレーニングの検討
  • チームのグループ・ダイナミクス(集団力学)についての検討

スタッフのメリット

信じられないかもしれませんが、多くの人が実際には業績評価を楽しみにしています(この機会が重要であると考えなければならない理由の1つがこれです)。

業績評価は、社員にとっては以下ができるチャンスなのです。:

  • 評価と報償の獲得(ただし、業績評価は給与を審査する機会ではまったくありません - 理想を言えば、これらは別々に処理されるべきものです)。
  • キャリア向上につながる目標の把握と設定
  • あなたから提供されるサポートの確認
  • 不満の解消
  • 安心と理解の実感

準備

業績評価面談を価値あるものにするためには、過去の情報の見直しやメモをとる等の準備が不可欠です。社員が面談でどのような会話をしたがっているのかを予想するには、事前提出される業績評価フォームに話したいことを記入してもらう方法が役立ちます。

業績評価を有益なものにするためにやっておくべきこと:

  • 業績評価フォームのすべての欄に記入するようにスタッフに依頼する。
  • 面談の少なくとも2日前までに業績評価フォームの提出が必要であると説明する(そうすることで、学習する時間ができる)。
  • 時間をかけて、評価対象者のコメントを分析する。
  • 過去の評価ノートを見直す。どのような目標が設定されていたのか?
  • 他のライン・マネージャーや同僚と話す - 彼らはどう思っているのか?
  • クライアントまたはサプライヤと話す - 評価に役立つ、有用なフィードバックがあるだろうか?
  • 過去の仕事を検証する - プロジェクトはどのように実行されているか?もっと上手い方法はなかったか?どの点が良かったか?
  • 今後の部署全体の目標について考える - 評価対象者はどのような貢献ができるのだろうか?評価対象者を成長させるには、どうすれば良いのだろうか?

業績評価の実施

まず何より、約束の時間は厳守。評価対象者が面談を楽しみにしているか、あるいは恐れているかに関係なく、延期は失望を招くことになります。あなたが社員のキャリアを真剣に考えており、業績評価はあなた自身にとっても重要であることを示しましょう。他の人が会いたがっても、そちらは延期してください。あなたの仕事時間中に他の業務が割って入ってこないように、業績評価面談の開始は午前中の1番最初の時間、必要な場合には8時30分に組み入れるようにしましょう。

目安としては、業績評価は1時間を予定し、すべての電話を取り次がせないようにしましょう。

業績評価を始めるときには、アジェンダを設定します。業績評価が重要であること、ならびに評価対象者を詳しく知ることが目的であることを説明しましょう。給与については話さないという、思いやりに満ちた説明があってもかまいませんが、個々人の状況にはとりわけ注意を払ってください。

論理的な順序に従うようにし、できれば事前提出の業績評価フォームにそって進行するようにしましょう。議論は以下の話題を中心に展開するのが良いでしょう。:

前回の業績評価で設定された目標のチェック

  • どのような目標が達成されたか?評価対象者は特別な賞賛を受けるようなことをしたか?
  • どのようなことが達成できなかったか?それは、なぜか?追加の助けが必要であったか?
  • チームの一員として自分をどのように評価しているか?
  • 仕事を楽しんでいるか?どのようなことが楽しくないのか?
  • 自分のスキル領域をどのように評価しているか?
  • 自分の役割と部署の役割について、明確な考えを持っているか?
  • 今後の半年/1年でどれくらい成長したいか?どのようにして、その目標を達成するつもりか?
  • 具体的に目指していることはあるか?現実的にそれを達成することは可能か?
  • 業績をどのように測定すれば良いのか?
  • 目的を達成するためにはどのようなトレーニングが必要か?
  • 他には、どのような問題を提起したいか? 

耳の痛い話

不愉快なニュースを伝えるときには、対立が起こりかねません。評価対象者が特定の仕事で十分な結果を出せていないということを、歯に衣を着せず説明しなければならない場合もあるでしょう。これは、時間が守れないとか、身だしなみとかいった単純な事柄である場合もありますし、特定の業務における能力とか、同僚とうまくやっていけないとかいったような、微妙な問題の場合もあるでしょう。

準備をしておきましょう。コメントを伝えるのにもっとも適切な話し方とは、どのようなものでしょうか?良い点も同時に指摘することは可能でしょうか?建設的な批判となっていますか?問題点を解決する方法を示唆していますか?

対立への対処

それまで円満に進んでいた業績評価が一変し、「他の問題を提起」するような申し出がなされることがあります。その結果、他のスタッフに対する個人的な不満やオフィス環境に対する不満、不公平な扱いに対する訴え、作業量やリソースに対する抗議など、想定していなかった厄介な事態に突入してしまうこともあります。このような事柄は全体から見れば些細なことに思えるかもしれません。しかし、評価対象にとっては、大変な重大事なのです

この手の問題には、うまくやれば予想できるものがあります。同僚から前もってこっそり教えてもらうことはできますか?実際に不満があるようだと思った場合は、それを引き出すためのちょっとした誘導質問が必要になるかもしれませんが、業績評価の場で不満点について話し合うようにしましょう。不平不満を心の中で募らせて、パブでの陰口にそれをとっておき、周囲の人の士気を下げようとする人もいます。しかし、それには正面から対峙しましょう。積極的なアプローチをとれば、おそらくは上手くいくでしょう。何かの問題に不満ばかり言っているので有名な社員は不意をつかれ、対立的な考えをあまり抱かなくなるかもしれません。

逆にあなたの方が守勢になり、予期しない問題に不意打ちを食わせられたら、素早く決断しましょう。一般的な話ではなく、具体例を示すよう評価対象者に要請しましょう。証拠を求めるのは、おかしなことではありません。注意深く耳を傾けましょう。実際には、何が問題なのでしょうか?提起されている問題は、じつは簡単に対処できる、あまり重大でない問題ではないですか?評価対象者は、何かに困惑しているのではありませんか?果敢にチャレンジしてみましょう。評価対象者は問題をどのように解決して欲しいと示唆していますか?評価対象者自身が自らの意見を述べましたか?評価対象者の示唆は納得がいくものですか?問題がリソースの配分やアイデアに関するものであるのなら、問題を解決するための可能なオプションを調査するという特別なプロジェクトを評価対象者自身に委ねても良いかもしれません。「不満」を利用すれば、即興的かつ自発的なリクルーティングのチャンスが生まれるかもしれません。

もちろん、ハラスメントや差別の申し出などのように、不平が憂慮すべき性格のものであれば、さらなる調査が必要となるでしょう。あなたがその問題を深刻な事態だと考えており、適切な方策を講じることを明らかにしましょう。それから、業績評価の本題に戻り、ポジティブな点に集中しましょう。

業績評価後の行動

面談が終われば業績評価もおしまいというわけではありません。あらゆる文書を仕上げ、評価ノートを書き上げ、今後とるべき行動や提起されたネガティブな点、それらを修正するための対策、さらに達成された事柄と評価された業績などを記録しましょう。評価ノートのコピーに評価対象者の署名を求めるのが一般的なやり方です。

それでも、仕事はまだ終わりではありません!アクション・プランを実行し、どうなるかを見てみましょう。さらなるトレーニングや他の部署とのミーティングの手配を約束したのであれば、できるだけ早くトレーニングを見つけ、ミーティングの開催を設定しましょう。好ましい評価をした場合に最悪なのは、君のボスは見た目ほど君のキャリアのことを気にかけているわけではないのだよ、ということをばらすためだけに、偉そうな態度をとったり、改めて激励したりすることです。

適切な心構え、十分な準備、ならびに建設的なフォローアップをするという信念があれば、スタッフの業績評価を、業績向上に結びつく、前向きなミーティングに変えることができます。 恐れることは、何もありません!