仕事と生活のバランス

今日のリクルートメント市場は、我々の長い経験においても、もっとも厳しい状況にあります。より長い時間にわたって働くべきだという社員へのプレッシャーはかなり大きくなっており、さらに社員は減少する粗利と増加する費用を懸命にやりくりしています。現在、もっとも「ホット」な話題は、仕事と生活とのバランスです。社員は便益を受けているように見えますが、雇用主にはどのような問題があるのでしょうか?

誰もが知っているように、生産性や利益率を向上させ、そしてもちろんより多くのお金を稼げという要求は、これまでにない、ストレスに満ちた労働環境を生み出しています。ほとんどの人が10年前より仕事がハードになったと感じているでしょう - それが自らの選択か雇用主の要求かはともかく。その結果、ストレスのレベルが高まり、我々は、医療や家族、一般的な健康問題に関するライススタイルの変更を余儀なくされています。

また、経済も長きにわたって強含みであったため、雇用主のリクルートメント戦術にも影響を及ぼし、雇用主は自社で働いてくれる潜在的なスタッフを引きつけるため、よりハードに仕事をしなければなりません - このような日々のなか、給与もまったく十分ではありません。スタッフの移り変わりによって利益が減少し、士気が損なわれるだけでなく、雇用主は、この問題を念頭に置いた上で、採用方法の見直しを余儀なくされています。

ほとんどの新しい経営トレンドと同様に、この戦略の導入状況も会社によって大きく異なります。その差は極端で、社内での保育サービスを提供しているところや、学校行事に参加するための休暇、金融カウンセリング、親のためのセミナー、生活と仕事のバランスに関するトレーニングを行っているところから、在宅勤務やフレックス制を認めているだけのところまで、多岐に分かれています。その便益は広範囲に及ぶ可能性があり、スタッフの離職率の抑制や忠誠度および生産性の向上、常習的欠勤の減少、労働安全衛生に関する申し立ての減少、自社への就職を本当に望んでいるスタッフの採用がはるかに容易になったといったような利点は、言うまでもなく、ほとんどの企業にとって重要な事柄であり、とりわけ成長・拡大を計画している企業に便益をもたらしています。

どの程度進めるのかは、まさにあなた次第 - 重要なのは、組織の上級経営陣より完全な「賛同」を得ること。このアプローチに対する経営陣からの後押しが十分でなければ、失敗に終わるでしょう - このような戦術に対する「リップ・サービス」を人は簡単に見分けますし、便益も計画通りには得られないでしょう。ほとんどの会社で、このアプローチで文化が変化する可能性がきわめて高く、新しい思考法が組織全体に浸透するには時間がかかるので、取り組みは強固でなければなりません。

仕事と生活のバランスに関する有効な計画を練るときは、シンプルに行いましょう - いくつかの目標を立て、自分が何をしたいのかを知るのです。このようなプログラムを組み上げるのに必要なスキルを持った人が組織におらず、それなりの規模で実行したいと思うなら、プロに助けを求めることも考慮しましょう

 雇用・職場関係・中小企業省(Department of Employment, Workplace Relations and Small Business)の労働・家族課(Work and Family unit)では、ガイドやリソース・キットが用意されていますし、参考資料が必要な場合にはhealthworks.com.auのようなウェブサイトも参考になります。他にも、可能であれば主要人物に話をもちかけ、その意見を反映させてプログラムのアウトラインを組み立てるようにしましょう。最初から大規模にやる必要はありません。すべての当事者のためになり、望みの結果が出るようなオプションを少しだけ用意しておきましょう。

もちろん、すべての企業でフレキシブル・アワーでの労働が実施できるわけではありません - オリンピック開催中にはこのシステムがすばらしいと思いましたが...ただし、簡単に実施できる、シンプルな方法がほかにもあります。オフィスにやってきて、社員向けにセミナーか、あなた向けに1対1のアドバイスのどちらかをやってくれる、財務計画のエキスパートを見つけるのだと想像してみてください - しなければならないのは、時間を提供するだけです。社員と時間を「共有」しても良いでしょう - 社員とあなたで時間を半分ずつ分け合うのです。

労働時間というのは確かに重要な問題なのですが - もっとも簡単な方法は、もっとも長い時間にわたって仕事をしてきた人が必ずしも「勝利者」ではない、という環境を作り出すことです。あなたがそのことを理解せず、環境に変化を加えないのであれば、社員は、献身あるいはやる気の少ない人間だと思われるのを恐れ、機会を受け入れることを敬遠するでしょう。前に述べたように、これを導入するときには、会社の文化を変えなければならないことも往々にしてあるのです。

このプログラムに関するコミュニケーション - その理由、目的、ならびに測定のしかた - は、全員が共通のメッセージを得られることがきわめて重要になります。これまでの問題点の1つは、子供を持たない社員が不利になりかねないことです。家族および親としての義務を対象とした対策が数多くなるためですが、この点は心に留めておいたほうが良いでしょう。少し驚かれるかもしれませんが、若い社員の方がこの種の問題をはっきりと意識しており、潜在的な雇用主を評価をする際の重要な要素としており、またこの点でどのような措置があるかを重要視しています。

要約すると、仕事と生活のバランスをとるための、ある種のプログラムは長期的には得るところがたくさんあります - あなたが雇用主で、スタッフのつなぎ止めと忠誠が重要であるなら、1つのオプションとして考慮する価値は間違いなくあると考えます。