経理の平均年収はいくら?希望年収別の業務内容や必要スキルを解説
経理職は、企業の資金管理を担当する重要な職種で、税務や会計の専門知識が必要なため、年収が高いイメージがあるでしょう。事務職のため成果報酬のような大幅な昇給は少ないですが、経営に関わる経験や資格取得など専門性を積み上げることで、高年収を狙えます。
この記事では、経理職の平均年収と年収アップに役立つ実務経験や資格について詳しく解説します。ヘイズ・ジャパン株式会社で扱っている年収1000万以上の経理求人例も合わせて紹介しています。経理で年収700万〜800万円以上といった高年収を目指したい方は、ぜひご覧ください。
目次
経理職の平均年収とは
経理職の平均年収は、民間の調査データによると下記の通りです。
- マイナビ:443万円
- 転職会議:469万円
- 求人ボックス:396万円(正社員のみの平均額)
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和2年)」を見ると、経理職にあたる会計事務従事者の平均賃金は時給1,151円で、年収に換算すると354.7万円前後(賞与別)となります。以上から、経理職全体における平均年収には幅があることがわかります。
経理の年収の特徴
経理職における年収の特徴について解説します。経理職全体の平均年収には幅がありますが、年齢や勤務先の規模、地域などで分けると、それぞれ年収額に特定の傾向が見られます。詳しく見ていきましょう。
年齢が上がるほど年収が高くなる
経理職は、一般的に年齢が上がるほど年収が高まる傾向があります。年齢とともに経理としての実績や専門知識が増え、1人でこなせる業務の幅が広がります。先述の厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和2年)」で、各年代における経理職の年収額は以下の通りです。
- 20代:336.8万円
- 30代:442.7万円
- 40代:489.2万円
- 50代:515.0万円
- 60代:392.6万円
一般的な企業と同等の給与水準の20代から30代に上がると、100万円以上も年収が増えています。
30代の経理職は、幅広い経理業務をこなせるスキルと経験値があり、資格手当などで昇給する場合もあります。40代では経理部長などポジションに付き、更なる年収アップが見込めます。50代は、経理の実務を超えて、会社の財務や経営関連のスキルを活かして活躍できるステージです。年収600万円以上も狙えます。
所属企業や役職で年収差が大きい
勤務先の企業や役職も、経理職の年収を左右する要件です。中小企業では、勤務歴の長いパートさんが給与計算業務を中心に担っているケースも少なくありません。パートの場合は時給制で、年収額も300〜400万円と平均的です。
一方、従業員の平均年収自体が1,000万円前後の上場企業では、部署によらず高い年収が期待できます。また、大手企業のIR担当や財務の責任者クラスに付くと、経理の専門スキルに加えて高い管理能力が求められるため年収は上がります。
地域による年収差が大きい
経理職の年収を全国的に見てみると、勤務先の地域によっても差があることがわかります。転職サイト「求人ボックス」では、経理職の平均年収が最も高い東京都では498万円である一方、最も低い佐賀県は285万円で、差額は213万円にも上ります。
また、経理事務の職種では地域別の年収が入れ替わります。経理事務は関西エリアで最も年収が高く、中でも兵庫県は401万円と高水準です。最も給与水準が低い青森件の248万円と比較すると、153万円もの差があります。
なお、経理事務は簿記などの資格が必須の求人も多く、より高い専門性が求められます。有資格者を好条件で採用する企業もあるため、条件次第で給与額は変わるでしょう。
女性より男性の年収が高い
経理職も男女の年収に差が見られますが、その差額は雇用全体と比べると少ない傾向です。経理職の平均年収は、男性が約470万円、女性は約430万円で、差額は約50万円にとどまっています。経理全体の平均年収が約390万円〜470万円であることから、男性の経理職の年収額はやや高めといえます。
経理職はパートやアルバイトといった非正規雇用者も多く、非正規雇用者は女性が占める割合が大きい傾向があります。ただ、キャリアアップや転職による年収アップに性別はさほど関係なく、実務経験を積みながら専門知識やスキルを身につけることで、高年収が見込めるでしょう。
経理の仕事内容と年収目安
経理職では、実際の業務内容や役割、仕事の難易度といった条件が年収に影響します。ここでは、経理職の仕事内容と年収額の目安について解説します。具体的な仕事内容により、どのくらいの年収になるのか把握するために参考にしてください。
年収1000万超・経理の仕事内容
年収1000万円を超える経理職の多くは、大手企業や上場企業に所属する人材や、経理の管理職です。監査法人や会計コンサル企業を含む数回の転職経験や、経理の実務経験が10年以上ある40〜50代の他、コンサルティング業界から転職する専門職の20〜30代もいます。
IR情報や管理会計などを扱う機会が増え、公認会計士や税理士資格、IPO上場経験などハイレベルな資格や経験、税務や会計知識を実務レベルで備えている人材が該当します。外資系企業や日系グローバル企業では、ビジネス英語スキルやファイナンス、管理会計といった多岐に渡るスキルが必要です。
経理の管理職になると、実務経験や高い専門技術に加えて、チームをまとめるマネジメント能力や、他部署や経営陣とスムーズに連携できるコミュニケーション能力が求められます。
ヘイズ・ジャパンでも、年収1000万円超の経理職の求人案件を多数用意しています。外資系メーカーでの経理マネージャーや、東京都内でのシニア経理マネージャーは年収1200万円までのレンジで募集があります。また、大阪エリアの経理部長の募集で年収1200万円〜1500万円の求人も出ています。
経理の求人情報は以下のページで探すことができます。
年収700~800万
年収700~800万の経理職は、上場企業や大手企業の経理部署で即戦力とされ、年収1000万以上と同様のスキルや経験を要します。年次決算やIR情報、上場経験に加え、管理スキルや英語力なども求められます。企業規模が小さい場合、総務や広報も兼任する場合もあります。
転職経験がある30~50代の経理職が中心で、経理経験の目安は3〜5年以上。簿記検定2級以上の他、中には公認会計士などを有する人もいます。
年収500~600万
年収500〜600万の経理職では、月次決算など基本的な経理の知識を使う業務を担当します。ポジションとしては経理マネージャー候補、部長・課長補などで、簿記2級や公認会計士などの資格があれば資格手当が付く場合もあります。経理財務やIRなどを含め、3年以上の実務経験がある30〜40代前半が多い傾向です。
企業によって実際の仕事内容は大きく異なります。例えば、求人サイト「indeed」では、年収500〜600万円のレンジで、法人税申告業務や監査対応を含む経理ポジションや、税務申告補助・支払業務対応をはじめ幅広い管理業務を任される担当の求人が確認できました(2022年7月執筆時点)。
経理の年収アップに必要なスキルや知識、経験5つ
経理職では、キャリアアップの他に、専門的な知識やスキルの習得によっても年収アップが可能です。また、実務経験があると重宝される特定の業務など、チャンスを見つけて取り組むこと活躍の場が広がり、年収の高い企業への転職も見込めます。経理職で年収を上げるために役立つスキル・知識や経験を5つ紹介しますので、参考にしてください。
1.税務知識
経理と税務知識は切っても切れない関係です。税務処理にミスがあると、資金関連での悪影響や企業イメージの低下といったリスクがあるため、正しい税務知識を身につける必要があります。
扱う税金の種類は幅広く、請求書1つ取っても消費税や所得税、事業所得税、法人税や固定資産税なども関わっています。また、給与計算が業務範囲に含まれるのであれば、源泉所得税の知識も必要です。とはいえ、特に重要なものは限定的なので、月次決算や年次決算など業務で扱うものを優先的に習得しましょう。
2.管理会計知識
管理会計とは、自社の経営判断を下すために必要な情報をまとめた社内用の会計資料です。管理会計のスキルや実績を持つ経理職は、企業の経営において重要な人材として、高待遇でポジションを任される可能性があります。
事業計画書や中期経営計画資料の作成・分析といった管理会計により、自社の現状をタイムリーに把握し、今後の目標や戦略の設定ができます。月単位や週単位、部門ごとの細かな管理会計を現場に提供すれば、客観性が高まりチーム戦略の見直しや予算計画の改善も可能です。
以上のように、管理会計は現実的な目標設定や組織管理による業績アップにつながっています。
3.資金調達
資金調達のノウハウや実績も、経理職が高く評価されるスキルの1つです。企業規模の拡大や事業の安定化といった目的での資金調達では、企業の財務状況や決算書の内容によって融資の可否が決められます。判断材料である財務状況の分析や決算書の作成スキルを持つ経理職は市場価値が高く、高年収で採用される可能性があります。
希望する融資を受けるためには、現実的な範囲で高い評価と信頼性を得られる決算書が必要です。借入金を減らすために不要な固定資産を売却してキャッシュを増やす、といったアイデアが求められる際にも、経験や知見のある経理職が活躍します。
4.開示情報・IR知識
開示業務とは、上場企業などが株主や投資家に向けて決算報告書を含む開示書類を作成することで、IRとも呼ばれます。開示情報やIR知識に関する知識や業務経験を持つ経理職は、上場企業が増加傾向にある現在、多くの企業で高いニーズがあります。
開示書類には有価証券報告書や決算短信などの種類があり、年度や四半期ごとなど期日が決まっています。開示業務自体は経理部門が担当しますが、他部署や経営者、監査役、顧問弁護士などとやり取りしながら作業するため、コミュニケーション能力や資料作成技術といった幅広いスキルが必要です。
また、株主向けの独自の資料作成では、読みやすく説得力がある資料を作るプレゼンテーション能力も求められます。
5.IPO(上場)経験
IPO(上場)経験のある経理職は、希少な人材であり、高年収が見込めます。上場準備のタイミングで企業が経理募集をかけることも多く、上場経験があることをアピールして年収交渉も可能でしょう。IPO経験があれば、上場準備中の企業でIPOリーダーとして採用される可能性もあります。
IPOの準備業務は、財務諸表の作成や開示業務、監査や証券会社への審査対応など多岐に渡ります。ベンチャー企業など規模の小さな企業が多く、1人あるいは少人数で担当することもありますが、経理の専門家として経験を積めるチャンスです。
なお、IPOを目指す企業の中には、企業の株式を取得できるストックオプションにより報酬アップを目指せる場合もあります。
経理に役立つ資格
経理職に就くために必須の免許や資格はありませんが、役立つ資格は多数あります。資格取得を通して専門知識やスキルを身につけることで、キャリアパスの幅が広がります。ここでは難易度が高い上位資格を含め、5つの資格を取り上げました。将来的な目標や働き方に役立つ資格の取得を検討してみましょう。
【経理の仕事に役立つ資格一覧】
資格名称 | レベル・階級 | 難易度 | 国家/民間 |
簿記(日商簿記検定) | 1級・2級・3級・初級 | 低〜高 | 民間 |
公認会計士 | ー | 高 | 国家 |
税理士 | ー | 高 | 国家 |
ビジネス会計検定 | 1級・2級・3級 | 低〜中 | 民間 |
FASS検定(経理・財務スキル検定) | ー | 低〜中 | 民間 |
簿記
経理の資格というイメージの強い「簿記」は、正式には日商簿記検定といい、日本商工会議所や各地の商工会議所が実施しています。経理職に就く上で重要度の高い資格のため、経験の有無に関わらず、就職や転職を考えている場合は優先的に取得を目指しましょう。
簿記の検定試験は上から1級・2級・3級・初級の4レベルがあり、経理職では3級と2級が重視されています。伝票起こしや取引の仕分けなど基礎知識を学べる3級は、未経験から経理の勉強を始める人に最適です。第160回(2022年2月)の受験者数は約5.2万人、合格率は50.9%で、独学でも合格が狙えるでしょう。
2級では、試算表作成や月次業務・年次業務など専門的な内容が含まれ、1人で経理業務を担当する人には必須とされています。第160回(2022年2月)の受験者数は約2.1万人、合格率は17.5%と3級に比べて難易度が上がります。資格スクールやeラーニングを使って勉強すると効率的でしょう。
公認会計士
公認会計士は、日本公認会計士協会による国家資格の1つです。監査会計に精通している証明ができ、上場企業や大手企業への転職時に有利な上、士業での独立開業も目指せます。
公認会計士の資格試験は「短答式試験」と「論文式試験」の2つに分かれ、短答式の合格者のみ論文式を受験できます。令和3年(2021年)の願書提出者数は約1.4万人、合格率は9.6%と難易度が高く、短答式試験のみの合格でも転職時のアピール材料として有用です。
世界でも知名度が高い米国会計士資格は、国際的な会計基準の理解や英語力が必要で、外資系企業や日系グローバル企業への転職に役立ちます。
税理士
税理士資格は、税金を扱う専門家としての国家資格です。税務書類の作成代理や納税代理など、税理士資格を持つ人だけが行える業務も多数あり、資格取得によって専門性をアピールできます。
税理士として登録した人は、事務所の開設や独立開業も可能なので、経理職だけでなく税務に関するプロフェッショナルとしての将来性も広がるでしょう。
税理士資格は公認会計士と同じ難関資格とされ、令和3年度(第71回)の受験者数は約3.5万人、合格率は18.8%です。試験科目が5科目と多いため、資格スクールや専門学校などを活用しながら計画的に準備する必要があるでしょう。難易度が高い分数科目だけでも合格できれば、会計事務所や税理士法人への転職も視野に入ってきます。
ビジネス会計検定
ビジネス会計検定とは、財務諸表に関する知識や分析力を確認する試験です。損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を理解し、自社の経営分析や企業分析を通してビジネスに役立てることを目的としています。
ビジネス会計検定試験は、難易度順に1〜3級の3レベルに分かれます。第30回(2022年3月)試験における受験者数は、1級では223人、2級で約1,900人、3級で約3,400人でした。合格率は、2級が54.2%、3級が63.5%と比較的高い一方で、1級は10.8%と低い数値です。
FASS検定
FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務の実務に特化した検定試験です。経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」に米国テスト理論を取り入れ、分野の第一線で活躍する実務家によって開発されました。
経理・財務における実務知識やスキルを中心に、資産・決算・税務・資金の分野から出題されます。試験結果は合否ではなく5段階評価で行われ、実務レベルがあるほど高く評価されます。
過去累計データでは、受験者総数は約7.2万人、5段階評価のうち真ん中のレベルCと1つ下のレベルDがそれぞれ約27〜28%と最も多い結果です。経理分野での転職で有利とされるレベルC以上を目指しましょう。
まとめ 経理・財務で年収アップを狙うならヘイズ・ジャパン
経理の平均年収は、民間データでは一般的な正社員と同等ですが、年齢や勤務先企業などの条件によって幅があります。中でも専門知識や実務経験を有する経理経験者は、多くの企業でニーズがあり、高年収が期待できます。資金調達やIPO準備などの経験や公認会計士など評価される資格取得を通して、経理職の年収アップを目指しましょう。
ヘイズ・ジャパン株式会社では、非公開の経理・財務求人を多数扱っています。一般会計や管理会計から、部長・マネージャー、監査、税務まで業務内容やレベルが幅広く、年収1000万超のシニアレベルといった高年収求人も見つかります。
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