IT企業やITエンジニアは年収が高い?企業/職種別の平均年収とは

 

一般的に、IT業界は高収入を得られるというイメージが伴います。実際のところ、IT企業で働く社員やITエンジニアの給与水準はどうなのでしょうか。また、IT企業の社員、あるいはITエンジニアとして働いて若いうちからでも年収1000万を手にする方法はあるのでしょうか。
 
本記事では、IT業界で働く人々が稼ぐ給与の実情を知りたい方々のために、業界全体、業種別、および職種別の平均年収をランキング形式でご紹介します。ITエンジニアは本当に高収入を得ているのか、各IT職種の業務内容の違いも合わせて、総合的に検証していきます。
 
文末に、ご自身の具体的な市場価値を把握するための目安となるヘイズジャパンの年収査定サービスもご紹介するので、ぜひご活用ください。
 

目次

  1. 情報通信業・令和2年度の平均年収は405万円
  2. ITエンジニア職の平均年収は452万円
  3. IT企業・年収ランキング
  4. IT業種別・年収ランキング
  5. 職種別・年収ランキング
  6. 20代や若手でも年収1000万超を目指す方法
  7. まとめ

情報通信業・令和2年度の平均年収は405万円


IT業界での一般的な年収を知る上で参考となる公的データとして、厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」があります。情報通信業全体、そして全年齢層での平均賃金はどれくらいなのか、令和2年度のデータをもとにご紹介します。
 
情報通信業全体での平均年収は、405万円です。この額面が高いか低いかを判断するための比較対象として、他の業界平均年収もみてみましょう。
 

業界

平均年収

建設業

345.5万円

製造業

321.8万円

情報通信業

405.0万円

運輸業・郵便業

285.3万円

卸売業・小売業

346.1万円

金融業・保険業

479.2万円

学術研究・専門・技術サービス業

420.9万円

宿泊業・飲食サービス業

278.2万円

生活関連サービス業・娯楽業

300.7万円

教育・学習支援業

429.4万円

医療・福祉

354.5万円

サービス業(他に分類されないもの)

283.5万円

 
上記データを見ると、IT業界の平均給与は大半の業界よりもかなり高い水準にあることが伺えます。
 
金融業・保険業との間には大きな差がある一方、学術研究・専門・技術サービス業、教育・学習支援業と比べるとやや低い水準です。つまりIT業界は、大半の業界と比べてはるかに給与面での待遇が良いといえるでしょう。
 
次に、情報通信業全体での、年代別での平均年収をご紹介します。

年齢区分

平均年収

〜19歳

187.2万円

20〜24歳

227.5万円

25〜29歳

266.6万円

30〜34歳

326.7万円

35〜39歳

374.0万円

40〜44歳

427.8万円

45〜49歳

489.9万円

50〜54歳

519.3万円

55〜59歳

561.1万円

60〜64歳

414.1万円

65〜69歳

334.8万円

70歳〜

330.8万円

 
30歳を超えると年収は300万円を超え、年齢を重ねるごとに大幅な増収傾向となります。ピークを迎える54〜59歳は、金融・保険業よりも高い年収を得ていることがわかります。
 

ITエンジニア職の平均年収は452万円

 

2019年9月から2020年8月の1年間にdodaエージェントサービスに登録した20歳から65歳までの人の平均年収データ(出典:doda ITエンジニアの年収はどのくらい?給料アップを目指す方法と考え方)によると、ITエンジニア職種の平均年収は452万円となり、政府統計の405万円よりも高い額面を示しています。
 
一方、ITエンジニアの年収分布は次のとおりです。

年収区分

割合

300万円未満

14.7%

300〜400万円未満

28.4%

400〜500万円未満

23.4%

500〜600万円未満

14.8%

600〜700万円未満

8.4%

700〜800万円未満

4.5%

800〜900万円未満

2.5%

900〜1000万円未満

1.2%

1000万円以上

2.2%

 
 
300〜400万円未満が最もボリュームが大きく、次に400〜500万円未満、さらに500万円〜600万円未満と続きます。これら3つのグループで全体の約67%を占めます。一方、年収600〜1000万円未満は全体の約17%程度。1000万円以上に至っては、全体のわずか2.2%のボリュームに過ぎません。
 
年代別で見ると、次のとおりです。
 

年代

平均年収

20代

372万円

30代

511万円

40代

615万円

50代以上

691万円

30代ですでに500万円以上を達成し、しかも年齢が上がるにつれてかなりの増収が見込まれます。
 

IT企業・年収ランキング

IT企業の年収データとして、IT業界に属する企業別の年収ランキングをご紹介します。

順位

企業名

平均年収

1位

ジャストシステム

1,198万円

2位

RPAホールディングス

1,101万円

3位

ヤフー

1,079万円

4位

日本オラクル

1,069万円

5位

電通国際情報サービス

1,047万円

6位

SRAホールディングス

1,033万円

7位

プラネット

977万円

8位

伊藤忠テクノソリューションズ

933万円

9位

オービック

933万円

10位

トレンドマイクロ

921万円

 
1位のジャストシステムはソフトウェアおよび関連サービスの企画と開発、提供、2位のRPAホールディングスはロボティック・プロセス・オートメーション、3位のヤフーはポータルサイト運営、インターネット広告業、ブロードバンド関連事業、オークション関連事業などを手がける企業です。
 

IT業種別・年収ランキング

 

続いて、業種別の平均年収の違いをご紹介します。doda年収ランキングのデータを参考に見ていきます。

順位

業種名

平均年収

1位

ITコンサルティング

481万円

2位

システムインテグレータ

445万円

3位

ネット広告/Webマーケティング

441万円

4位

ゲーム(オンライン/ソーシャル)

433万円

5位

通信/ISP/データセンター

428万円

6位

ハードウェア/ソフトウェア

427万円


トップ3のITコンサルティング、システムインテグレータ、ネット広告・Webマーケティングが高収入を得ている背景をそれぞれ見ていきます。
 
ITコンサルティングの場合、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が伸び、DX推進を支援する専門家のニーズが高まっていることにより、活躍の場が広まっています。
 
システムインテグレータ(SIer)もまた、企業のIT化の一端を担うため、システム開発全般(企画から設計、開発、保守運用のすべて)で需要があります。ただし、現在は業務システムを社内で開発するよりも、クラウドソリューションを導入する傾向が進んでいるため、SIerには将来性がないとする見方もあります。
 
一方で、ネット広告/Webマーケティング業の年収が高い傾向を示しているのは、デジタルマーケティングの市場が成長していることが背景にあります。テレビCMなどの従来的な宣伝広告チャネルの市場シェアが急激に縮小している一方、Web広告やSNSなどを含むデジタルマーケティングを活用した宣伝広告チャネルの需要は急激に伸びています。


職種別・年収ランキング

 

IT業界にはいろいろな職種がありますが、それぞれの年収はどれくらいなのでしょうか。dodaのデータをもとにランキングをご紹介します。

順位

職種名

平均年収

1位

プロジェクトマネジャー

664万円

2位

プリセールス

658万円

3位

ITコンサルタント

584万円

4位

IT戦略/システム企画

575万円

5位

研究開発

544万円

6位

データサイエンティスト

516万円

7位

システム開発/運用

473万円

8位

サーバーエンジニア

463万円

9位

ネットワークエンジニア

455万円

10位

パッケージ導入/システム導入

452万円

 
上記のランキング順に、各職種の年収の傾向、および仕事内容や役割を解説します。
 
1位:プロジェクトマネージャー・664万円
IT業界の職種で664万円と、最も高い平均年収を得ているのがプロジェクトマネジャー(PM)です。20代の463万円から50代の849万円までと、年代によって大きな幅があるものの、他のIT職と同様、順調にキャリアを積んで年齢が上がるほど、高いレベルで年収増加が見込まれます。
 
プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの責任者あるいはリーダーとして、時間管理・進捗管理などのマネジメントを担う重要な職種です。プロジェクトの方向性や意思決定を行うとともに、システム開発で必要となる作業を把握して、バランスよくメンバーに割り振り、スケジュールを共有して、納期を守れるよう全体の進捗を管理します。チームが円滑に機能するよう対人関係をまとめるほか、クライアントとのやりとりも担うため、高いコミュニケーション能力も求められます。
 
2位:プリセールス・658万円
プリセールスの平均年収は658万円と、プロジェクトマネジャーと同等の高収入を誇ります。プリセールスの平均年収も、20代の469万円から50代以上の925万円と、平均年収に幅が見られます。最もピークを迎えるのは50代以上ですが、30代から50代を通じて、1位のプロジェクトマネジャーよりも高い年収が見込めます。
 
プリセールスは「プリセールスエンジニア」の略称で、システム開発で豊富な経験を積んできたエンジニアが目指せるキャリアパスの1つです。自社の営業担当が行う営業活動を、ITの専門家としての立場からサポートし、商談の成立に貢献します。
 
クライアントに対し、自社が提案するシステムやパッケージ製品の内容、またその開発工程や導入プロセスについて説明を行います。さらに、クライアントからの技術的な質問に回答し、ニーズに基づいて最適な施策を提案するほか、システム導入時の技術サポートを担う場合もあります。
 
3位:ITコンサルタント・584万円
ITコンサルタントの平均年収は584万円ですが、20代の471万円から、ピークを迎える50代の843万円まで、年代別に大きな年収の差がみられます。
 
ITコンサルタントは、クライアント企業が抱える問題解決に向けて、IT活用による解決策立案と実行支援を担う専門家です。具体的には、クライアントがIT関連で抱えている課題をヒアリングして特定し、システム導入などによる課題解決策や導入後の改善、フォローアップなど、一連のプロセスを通じてサービス提供を行います。
 
ITコンサルタントの業務は多岐にわたるため、多くの場合、IT企画・戦略工程を中心的に担うケースや、IT関連のセキュリティ対策やリスク管理を専門とするケースなど、得意とする専門分野に分かれます。
 
4位:IT戦略/システム企画・575万円 
IT戦略/システム企画の職種の平均年収は575万円です。他のIT関連職種と同様、20代の405万円からピークを迎える50代以上の749万円まで、年齢別に大きな差が見られます。
 
IT戦略/システム企画は、情報システム部門に属するシステムエンジニアとして、自社の経営戦略を支えるシステムの企画・立案・構築・運用保守に関わるほか、社員のサポート・ヘルプデスクとしての役割も担います。
 
具体的には、自社の経営戦略・事業戦略に基づき、業績向上やコスト削減、業務プロセス改善などを実現するITシステムの企画立案を行い、導入決定後は社内での開発を支援したり、外部のシステム開発会社やソフトウェア会社への外注を行ったりします。加えて、システム導入後の保守運用や変更、拡張の対応、システムの使用方法に対する問い合わせにも応じます。
 
5位:研究開発・544万円 
研究開発職の平均年収は544万円です。最も低い20代の414万円から、最も高い50代以上の826万円まで、こちらも年代別の差が大きい職種です。50代の平均年収は、1位のプロジェクトマネジャー、2位のプリセールス、3位のITコンサルタントと並んで、800万円を超えています。
 
研究開発はR&D(Research and Development)とも呼ばれ、ネットワークやデジタルツールの分野で、ハードウェアやソフトウェア、インターフェイスなどの新製品・サービス、あるいは新技術や新機能など、新たな価値創造を生み出す研究・開発に携わります。
 
今やあらゆる産業でIT需要が高まる中、研究開発を担うITエンジニアの活躍の場は増え続けています。自社の成長や業績との関わりで、新製品や新技術の創出に携わる研究開発には、スピード感が特に求められます。
 
6位:データサイエンティスト・516万円
データサイエンティストの平均年収は516万円です。こちらも年代別に幅があります。最も低い20代の434万円に対し、ピークを迎えるのが40代の743万円です。
 
データサイエンティストは、データアナリストなどとも呼ばれ、主にデータの集計・分析を行い、分析結果を経営戦略やサービス改善などに活かす仕事です。企業が抱える課題を抽出し、その解決にはどのようなデータが必要かを検討して、必要なデータを収集・分析し、照合して有意義な情報を抽出します。結果はレポートにまとめて共有し、課題解決を進めます。
 
AIの発達に伴うビッグデータの活用シーンが増える中で、ITの専門技術・知識に加えて統計学的な知識も要するデータサイエンティストの需要は高まる一方で、人材不足の状況です。
 
7位:システム開発/運用・473万円
システム開発/運用を担うITエンジニアの平均年収は、473万円です。他の職種と同じく、20代の382万円からピークを迎える50代以上の655万円まで、年代ごとに幅が見られます。
 
システム開発/運用を行うシステムエンジニアは、その名のとおり、システムの設計あるいは運用に携わります。システム開発では、クライアントの要望をヒアリングして分析し、どのようなシステムが必要かの仕様設計を行います。分析結果を元に仕様を決定して設計書を作成し、その内容に基づいてシステムを開発し、挙動のテストをした上でリリースするまでが仕事です。
 
一方、システム運用では、リリース後のシステムが安定稼働するための運用と保守も担います。万が一不具合が起こった場合の対応に加え、課題に対してよりよい改善を加えてシステムを改修するのも、業務の一部です。
 
8位:サーバーエンジニア・463万円
サーバーエンジニアの平均年収は463万円です。他のIT職種と同様、20代の384万円からピークを迎える50代以上の685万円まで、年代別に幅があります。
 
サーバーエンジニアは、システムの運用に必要なサーバーの設計や構築、運用、保守を担当するエンジニアです。Webサーバーやメールサーバー、データベースサーバー、DNSサーバーなど、サーバーにもいろいろな種類がありますが、サーバーエンジニアは、クライアントの使用目的に合わせて、必要なサーバーの性能や用意すべき台数などの基本設計、OSやミドルウェアに関する詳細設計を行います。
 
さらに、設計図を元にOSやミドルウェアのインストール、パラメータの設定などを含むサーバーの構築を行います。サーバー構築後は、実際に運用して稼働状態を監視し、障害が発生した際の復旧対応も担当します。
 
9位:ネットワークエンジニア・455万円
ネットワークエンジニアの平均年収は455万円ですが、こちらも20代の376万円からピークを迎える50代以上の738万円まで、年代ごとに大きな幅があります。50代以上は8位のサーバーエンジニアよりも高収入が得られます。
 
ネットワークエンジニアは、その名のとおり、コンピュータネットワークの保守・運用や構築に携わるスペシャリストです。クライアントが必要とするネットワークシステムについて、要望や問題点をヒアリングして要件定義と設計を行います。さらに、設計内容に基づいて、ネットワーク機器の配置やケーブルの接続・敷設などの構築を担います。
 
ネットワークの稼働後は、発生した障害や故障に対する復旧対応を行ったり、正常通信を維持するための監視・運用を行ったりするのも、ネットワークエンジニアの業務に含まれます。
 
10位:パッケージ導入/システム導入・452万円
パッケージ導入やシステム導入を専門とするITエンジニアの平均年収は452万円です。年代別では、20代の385万円からピークを迎える50代以上の654万円と、やはり幅が見られます。
 
この職種は、パッケージあるいはシステムの導入を技術的に支援するエンジニアです。ERP(総合業務パッケージ)やCRM(顧客管理システム)など、システム導入を検討しているクライアントに向けて、導入が円滑に進むよう技術的な支援を行います。
 
導入が本格的な検討段階に入ると、営業担当者に同行して、クライアントに詳しい業務内容や開発環境についてヒアリングを行い、技術的な提案や調整を行って導入工程をまとめた上で、プロジェクトマネジャーに引き継ぎます。導入の最上流工程に関れるため、売上への貢献やクライアントの課題解決などを経験できる点で、やりがいのある仕事です。
 

20代や若手でも年収1000万超を目指す方法

IT業界は、一般的に他の業界よりも平均年収が高い傾向があります。スキルや経験を積み、順調にキャリアを進めていけば収入はさらに増えますが、必ずしも1000万円プレイヤーになれる保証はありません。
 
もし、IT関連の業種で20代のうちから年収1000万超えを目指したいのであれば、新卒で大手IT系企業に入社し、早期に管理職を目指せる環境を選ぶか、フリーランスになる、あるいは下請けではなく元請けで働くなどの方法があります。
 
しかしながら、新卒で超大手の給与水準の高い企業に入るのは、かなりの狭き門です。そこで、転職を通じて効率よく給与アップを狙うのがおすすめです。
 

IT転職では外資系や伸びしろのある職種を狙う

IT業界で若いうちから高年収を目指すには、新たな技術を勉強したり、資格取得を目指したりするなど、実力をつけて自分の市場価値を高める取り組みが必要です。同時に、お金回りのよい(需要のある)ポジションに転職するのも、効率的に年収アップを実現する方法としておすすめです。
 
特に転職で狙い目なのが、外資系企業です。外資系企業は、国内企業と比べて年収水準が高い傾向があります。特にコロナ禍を受けて企業のDX化需要が高まったことで、外資系IT系企業による求人活動が活況を呈しています。
 
また、これからますます伸びしろのある職種につくのも、高収入を狙う上でおすすめです。将来性や需要が期待できるIT職種については、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。

2022年に伸びるIT職種とは?将来性・需要の高い6職種を紹介

まとめ

今回の記事では、IT業界の年収が高いかどうかを知るために、IT業界別、企業別、職種別のランキングを通じて平均年収の状況を検証しました。
 
現在、いずれかの会社でIT関連の職種に就いている方の中には、ご自身の経歴や保有スキルが適正に年収に反映されていない可能性もあります。その点を確認したい方は、ぜひ一度、ヘイズジャパンの年収査定サービスをご利用ください。詳しい利用方法については以下のページで解説しておりますので、ご参照ください。
 
ヘイズ年収査定

IT業界で効率的に年収アップを図るには、転職が必要不可欠です。ヘイズジャパンでは高年収が狙える外資系求人も数多く取り扱っております。詳しくはヘイズジャパンのWebサイトをご覧ください。

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