化学メーカーの売上・就職ランキング|仕事内容や年収も紹介
化学メーカーは、素材や原材料を製造する企業で、あらゆる業界において需要があります。社会貢献性や将来性が高く、製造業の中でもホワイトなイメージがあることから転職先としても人気です。
この記事では、化学メーカーの職種から企業の売上ランキング、就職先の人気度まで詳しく解説します。大手メーカーの特徴や年収など、転職活動に役立つ情報を紹介しますので、化学メーカーへの転職を検討している方は参考にしてください。
目次
- 化学メーカーとは・魅力
- 化学メーカーの分類
- 化学メーカーの主な職種
- 日本大手化学メーカーの売上高ランキング・年収一覧
- 【2022年版】化学メーカーの就職偏差値ランキング一覧
- 化学メーカーへの転職
- 化学メーカーへの転職ならヘイズ・ジャパン
化学メーカーとは・魅力
化学メーカーとは、化学反応を用いる生産プロセスによって、原料から中間材料や最終製品を生み出す企業のことです。石油製品や染料、薬品、パルプ製品など、社会生活に欠かせないあらゆる製品を製造しています。
材料の研究開発から営業まで幅広い職種がありますが、いずれも私たちの生活と密接に関係する重要な製品に関われるため、社会貢献性ややりがいを感じられる点が魅力です。
化学メーカー業界は、2019年から2020年にかけて新型コロナウイルス感染症や世界情勢の影響を受け低迷しましたが、2022年度前半には徐々に売上が回復し、今後のさらなる発展と成長が見込まれています。
化学メーカーの分類
化学メーカーは、製造する製品や事業内容によって「総合化学メーカー」「誘導品メーカー」「電子材料メーカー」の3つに分けられます。ここでは、それぞれ特徴や代表的な企業を紹介します。
総合化学メーカー
総合化学メーカーは、基礎原料や中間財(中間材料)の調達から最終製品の製造までを一貫して行う企業です。上流から下流までを一貫して担当できる高い技術力があり、石油製品から日用品、医薬品まで幅広い製品を取り扱っています。世界レベルでトップクラスの売上を達成している企業や、長い歴史を持つ大手企業も多く見られます。
主な総合化学メーカーには、国内最大手と言われる三菱ケミカルホールディングスの他、信越化学株式会社や住友化学株式会社、旭化成株式会社などが挙げられます。
誘導品メーカー
誘導品メーカーは、基礎材料を調達して中間財(中間材料)を生産する企業のことです。完成した中間材料は、通常別のメーカーに販売されます。
各分野に特化した中間財を担当するため、独自性があり、高い利益率を維持している企業が多い傾向があります。また、企業間取引(BtoB)が中心で、一般的な知名度は低いものの、福利厚生が充実しているホワイト企業が多い点も特徴です。
代表的な誘導品メーカーには、株式会社日本触媒や三菱ガス化学株式会社、日産化学株式会社などがあります。
電子材料メーカー
電子材料メーカーは、半導体などの電子材料を製造する企業のことです。基礎材料や誘導品を外部から購入し、完成した部品を電子機器メーカーなどに販売します。誘導品メーカー同様に、他のメーカーに製品を販売するケースが多く、BtoB形態の取引が中心です。
電子材料メーカーの中には、総合化学メーカーのように自社で最終製品を製造する企業もあります。スマホやパソコンが生活に必須である昨今、世界的にIT技術の需要が高まっており、電子材料メーカーの市場も拡大することが予測されます。
主な電子材料メーカーとしては、富士フイルムホールディングスや株式会社ADEKA(アデカ)、日東電工株式会社などです。
化学メーカーの主な職種
化学メーカーの事業は基礎研究から商品開発、製品製造まで多岐に渡り、幅広い職種が関わっています。ここでは、化学メーカーの主な職種について、業務内容や特徴などを紹介します。
研究開発職
化学メーカーの研究開発職は、主に素材や製品の研究、分析・開発を担います。具体的な業務内容としては、新製品の開発や既存製品の見直し・改良、基盤技術の構築などです。複数分野の製品を取り扱う企業では、同じ研究開発職でも担当によって業務内容が変わります。
製品や技術に関する有機化学や無機化学、高分子化学といった専門知識が求められます。最先端の化学技術に関われる面白さがあります。
製造・生産技術開発職
製造・生産技術開発職は、製品製造に関する技術や生産方法の開発を担います。研究開発職が生み出した新製品や改良した製品に関して、生産過程や体制を確立させることが主な仕事です。原料の加工をはじめ、生産量の決定や生産コストの管理といった生産全般に携わります。
化学知識に加えて、プラントや機械設備についての知識が必要です。また、あらゆる関係部署との連携が多く、コミュニケーション力も要します。
調達・購買
調達・購買職は、必要な原料や素材の発注や納品対応を担当する職種。新しい原料の仕入れ先や納品業者の選定、取引条件の交渉、物流管理といったプロセスにも携わります。
原材料の品質は、自社製品の仕上がりや質に直結するため、高品質なものを適正価格で仕入れることが大切です。品質や価格交渉に対応できる高いコミュニケーション力や交渉力を要します。また、近年は海外企業から素材を調達することも多く、ビジネスレベルの語学力も必要です。
品質管理
品質管理の主な仕事は、製品が規定の基準を満たしているかの検証や、業務で出てきた問題の改善や予防を行う職種です。製品の検査や関係部署へのフィードバック、取引先や関係当局とのやり取りを行います。また、生産体制の管理やクレーム対応が含まれる場合があります。
自社が扱う製品の専門知識を的確に言語化できるスキルを要します。また、品質管理の現場では、クロマトグラフィーなど化学分析機器を用いた分析測定を行うので、化学の幅広い知識や機会を扱える能力も必要です。
営業職
営業職は、顧客に対して商品の営業や提案を行う仕事です。化学メーカーの種類などによって、取引先が消費者か別メーカー企業かが異なります。
顧客に自社製品の魅力を十分にアピールできる深い製品知識が必要です。新規契約を取り付けるためのプレゼンスキルや資料作成スキルも求められます。
日本大手化学メーカーの売上高ランキング・年収一覧
ここで、日本の大手化学メーカーの売上高ランキングを見てみましょう。各企業の売上や特徴、主な年収についても紹介するので、転職先を検討する際に参考にしてください。
三菱ケミカルG
三菱ケミカルグループは、日本トップの化学メーカーと言われる大手企業です。2017年4月に三菱グループの系列企業3社が統合し、発足しました。基礎化学品や電子材料、医薬品など多分野の製品をオールマイティに手掛けており、収益のバランスも良い点が特徴です。
三菱ケミカルグループの売上は約3.9兆円(2022年3月)で、化学メーカーの中でも飛び抜けて高い売上額を誇ります。三菱ケミカルグループの社員の平均年収は949万円(2022年3月)と業界の中でも特に高額です。
住友化学
住友化学は、創業から1世紀以上の歴史を持つ住友グループの一大企業です。スマホ部品を中心に手掛ける情報電子化学事業や、農薬や肥料を手掛ける農業関連の事業に強みがあります。海外売上高の比率が60%前後と高く、積極的に海外投資を行っているため、今後の回収によるさらなる発展が期待されています。
住友化学の売上は約2.7兆円(2022年3月)で、化学メーカーの企業ランキングでは2位を誇ります。住友化学の社員の平均年収は約883万円(2022年3月)と、三菱ケミカルGに比べてやや低い金額です。
富士フイルムHD
映像関連製品で知られる富士フイルムHDは、世界的に有名な大手精密化学メーカーの1つです。富士フイルムや富士ゼロックスなどを傘下に持っています。従来主力だった写真・映像関連製品はデジタル化によって市場が縮小傾向にあり、近年は健康食品などヘルスケア事業や高機能材料製造に注力しています。
富士フイルムHDの売上は約2.5兆円(2022年3月)と、第2位の住友化学に迫る勢いを見せています。富士フイルムHDの平均年収は、上位2企業よりも高い1,017万円(2022年3月)です。
旭化成
「サランラップ」で有名な旭化成も、大手総合化学メーカーの1つです。日用品をはじめ、「へーベルハウス」などの住宅や電子材料、医薬品など多種多様な事業を手掛けています。伝統的な化学工業製品から最先端技術まで、幅広い事業に関わるチャンスが多いでしょう。
旭化成の売上は約2.4兆円(2022年3月)で、富士フイルムHDと変わらない数値を出しています。旭化成の平均年収は約751万円(2022年3月)です。
信越化学工業
信越化学工業は、売上(約2.0兆円・2022年3月)こそランキング5位ですが、時価総額では日本一と言われる化学メーカーです。誘導品メーカーのため、扱う製品は塩化ビニル樹脂や半導体ウエハなどニッチですが、多くの製品が世界トップクラスのシェアを誇ります。
信越化学工業の平均年収は約854万円(2022年3月)と高く、業界の中でも特に高年収で働ける可能性があります。
三井化学
三井化学は、他の総合化学メーカーと同じく、さまざまな製品分野を手掛けています。中でも、汎用性の高い石油化学製品の比率が高めです。近年は、自動車関連事業や包装関連事業の伸びが良く、注目を集めています。
三井化学の売上は約1.6兆円(2022年3月)で、平均年収は約838万円(2022年3月)です。
昭和電工
昭和電工は、石油化学製品や電子部材など、多分野の製品を手掛ける総合化学メーカーです。2023年には「化学の力で社会を変える」というコンセプトを掲げ、昭和電工マテリアルズと統合することが発表されています。
昭和電工の売上は約1.4兆円(2021年12月)で、平均年収は約721万円(2021年12月)です。
花王
「アタック」「ビオレ」など数々の有名商品を持つ花王も、大手化学メーカーの1社です。洗剤や化粧品、トイレ用品などの日用品において国内トップクラスのシェアを持ちます。日常生活に欠かせない馴染みのある最終製品の製造に関わることができる点は大きな魅力です。また、企業向けの工業用化学製品も取り扱っており、BtoB事業にも携われるでしょう。
花王の売上は昭和電工と同等の約1.4兆円(2021年12月)で、平均年収は約789万円(2021年12月)です。
積水化学工業
積水化学工業は、代表製品である「セキスイハイム」を含む建設業界から、自動車事業、IT関連事業まで多岐に渡る事業を手掛ける化学メーカーです。高機能プラスチックによる「ケミカル・ソリューション」と、水道、下水、農業、運輸などの「インフラ環境ソリューション」により、世界中の人々の暮らしや地球環境の向上に貢献しています。
積水化学工業の売上は約1.1兆円(2022年3月)、平均年収は約897万円(2022年3月)です。
資生堂
化粧品で有名な資生堂は、日本国内だけでなく、アジアや欧州など世界規模で事業を展開する大手メーカーです。化粧用具やシャンプー、ヘルスケア、一般用医薬品など幅広い製品を扱っています。資生堂の売上は約1兆円(2021年12月)で、平均年収は約716万円です。
【2022年版】化学メーカーの就職偏差値ランキング一覧
ここで、化学メーカーの就職偏差値ランキングを一覧表で紹介します。就職偏差値とは、「就職偏差値ランキング委員会」が独自に作成している企業評価のことです。内定者の学歴や企業の知名度、人気の高さなどを参考に、毎年ランキング形式で発表しています。
企業名 |
難易度 |
就職偏差値 |
業界 |
三菱ケミカルG |
SS |
72 |
総合 |
富士フイルムHD |
SS |
70 |
電子材料 |
住友化学工業 |
SS |
70 |
総合 |
東レ |
S |
65 |
誘導品 |
三井化学 |
S |
65 |
総合 |
花王 |
S |
65 |
ー |
トクヤマ |
A |
60 |
ー |
日本ゼオン |
A |
60 |
誘導品 |
東洋インキSC |
A |
60 |
ー |
難易度や就職偏差値が高いほど、就職先・転職先として人気があり、求人倍率が低いことを意味します。
化学メーカーへの転職
化学メーカーは企業や職種ごとに求められるスキルは異なりますが、中途採用が多い業界のため、未経験からでも転職を目指すことは可能です。外資系の化学メーカーは高い語学力はもちろん、日系企業と異なる文化や働き方に対応できる柔軟性も求められます。化学メーカーへの転職を成功させるために知っておきたいポイントについて解説します。
未経験でも化学メーカーに転職できる?
化学メーカーは中途採用を積極的に行う企業が多いため、未経験でも転職できるチャンスはあります。特に、営業職や製造職、総務・人事・経理といった職種は、業務のマニュアルが整備されており、未経験からでもゼロから仕事を覚えやすい傾向が強いでしょう。また、別の業界や職種での経験を志望動機でアピールできれば、採用確率もアップします。
一方、研究開発や技術開発といった専門知識を要する職種は、実務経験が必須となる場合が多く、未経験で採用される可能性は低いでしょう。
外資化学メーカーに転職するには?
外資化学メーカーへの転職には、職種に必要な専門知識やビジネスレベルの語学力に加えて、さまざまスキルを要します。日系企業と違って教わる機会の少ない外資系企業では、自分で仕事のやり方を考え、自ら行動する積極性や適切な評価を受けるためのアピール力は必須です。
また、グローバルな環境で立ち回れる柔軟性や、多種多様な人材とやり取りできるコミュニケーション能力も求められます。自走力があり、相手の意見を尊重しつつ適切な自己主張ができる人材が、外資系化学メーカーでも採用されやすい傾向があります。
化学メーカーへの転職ならヘイズ・ジャパン
私たちの社会生活に不可欠な製品を製造する化学メーカーは、企業ごとに多彩な製品を扱っており、業務を通してさまざまな人と携われる可能性があります。売上ランキング上位には、世界的な大手企業や歴史のある老舗メーカーも多く、将来性や安定性に魅力を感じて転職を希望する人も多く見られます。
希望する化学メーカーの特色や職種についてリサーチし、求められるスキルや経験を積むことで、採用の可能性が高まるでしょう。
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