面接で強い印象を残す「STARテクニック」とは?
皆さんは、面接でこんな経験をしたことはありませんか?自分がそのポジションに相応しい人材であることを説明しようと、あらゆる材料を詰め込みすぎて、質問に直接関係のないことまで答えてしまった経験です。これを経験した求職者は、決して少なくないはずです。緊張しているときなどは特に、私たちはこうした「罠」に陥りがちです。
私は、長年に渡りリクルートメントビジネスに携わってきました。この経験で気づいたのは、求職者は質問に対して建設的に、かつ面接官に関心を寄せてもらえるように答えなければならない、ということです。この時に有効なのが「STAR」テクニックです。STARとは、「Situation(状況)」、「Task(課題)」、「Action(行動)」、「Result(結果)」の頭文字をとった言葉で、このテクニックを使えば、面接官の質問や本質から逸脱することなく大切なことを答えることが出来ます。
STARテクニックを使ってみましょう
面接でなされる質問のほとんどは、求職者が履歴書などに記載されているスキルを実際に持っているかどうかを確認するために行われます。この傾向は、コンピテンシー(適正)面接に特に顕著です。こうした場合でも、STARテクニックを活用すれば、話題から脱線せずに、自分のスキルを証明する回答を効果的に行うことが出来ます。
具体例を挙げると、
「履歴書ではコミュニケーションが得意とされていますが、あなたのコミュニケーション力が最も真価を発揮した例を挙げて下さい」などです。
S (状況): 状況を設定したり、実際に経験したことを例に挙げましょう
あなたのスキルが必要とされるのは、どのような場面ですか?面接官に理解してもらうためには、具体的な状況を設定して説明するのが効果的です。
「X社で働いていた時、新製品を発売することになりました。そして私は、この新製品について、取引先のマーケティング部門の重役にプレゼンすることになったのです」。
T (課題): その状況にある課題は何かを理解しましょう
上記の状況で、あなたはどのような課題に直面しましたか?その課題に対してあなたのスキルはどのように発揮されましたか?これを面接官に説明しましょう。
「この新製品のセールス・エグゼクティブに指名された私は、製品を売り込むためのプレゼンも引き受けることになりました。私はこのプレゼンで、新製品独自のセールスポイントや、ビジネスにとってどのように役立つのかを取引先に理解してもらわなければなりません。しかし当日の朝、私は、そのプレゼンにマーケティング部門の重役の他、営業部門の重役2名も同席を希望していることを突然知らされました」。
A (行動): それを知って、あなたはどうしましたか
あなたはどのように行動しましたか?また、その行動は、あなたのスキルとどのように関連していますか?以下の例を参考に、面接官に伝えて下さい。
「このため、私は急きょ、自分のコミュニケーション方法を見直し、複数の相手に効果的に伝わるように修正しました。マーケティングと営業の専門家の双方が理解出来るように、専門家にしか理解出来ない難解な用語を避け、プレゼンで使用する言葉を慎重に修正しました」。
R (結果): あなたの行動は、どのような結果をもたらしましたか
あなたの行動は、どのような結果に繋がりましたか?また、あなたのスキルは、その結果にどのように貢献したのですか?
「プレゼンは成功し、無事に注文をいただくことが出来ました。おかげで、その月の売上高は25%も上昇したのです。特に嬉しかったのは、私のプレゼンを聞いたその2名の重役から、非常に好意的な評価をいただいたことです」。
STARテクニックはなぜ有効なのでしょうか
STARテクニックを使えば、話題の本質から逸れることなく答えることが出来るようになります。また、面接官は、あなたの物語を聞いているような気持になり、あなたに興味を持つようになるでしょう。
あなた自身も質問に集中出来るようになりますし、有意義で分かりやすい回答をすることが出来るようになります。面接官も、あなたの受け答えにきっと満足するはずです。面接前には、ぜひ複数のシナリオを用意してこのテクニックを練習して下さい。自分にしかないスキルやこれまで築いてきた成果を思い出すことで、自信もついてくるに違いありません。
また、履歴書の内容と面接官に聞かれそうな質問の両方を整理して頭に入れておきましょう。STARテクニックを意識しながら、面接の練習をして下さい。無駄な回答で時間を浪費することもなくなりますし、聞かれた内容に確実に回答することが出来るようになります。こうした姿勢は、応募したポジションに相応しい人材であることを面接官にアピールすることにも繋がるのです。