疲れを溜めずに仕事をする科学的な方法がある? キーワードは「朝」「ランチ」「ミーティング方法」「通知」
仕事において、現代の常識になっていることがあります。あまりにも一般的で、つい、無意識にしてしまうこと、それは「最近、調子はどうですか?」という問いに対する、「忙しいです」という反射的な返事です。
確かに、現代人は多忙です。例えば会議。MITスローン・マネジメント・レビューの調査によると、この50年間で会議の時間と頻度の両方が増加しています。実際に重役などの幹部職は、1週間で平均23時間近くを会議に費やしています(1960年代は10時間未満)。もちろん、これにはカジュアルなミーティングや緊急・臨時の会議は含まれていません。つまり、1週間のうち、2、3日は会議だけで占められているのです。この状況では、度重なる会議からやっと抜け出せたとしても、残りのわずかな時間で仕事を終わらせるのは難しいと感じるのが当然です。
多くの人は、仕事で疲れても、それを認めたがりません。しかし、私たちが疲弊しているのは事実です。実際に、医師・教師・会社員の約半数が「仕事で精神的に燃え尽きてしまったと感じる」と報告しています。疲労が常態化しているこの状況への対策として「仕事を変える必要がある」と考えるのは簡単です。しかし、この問題の本質は、仕事というものは、ある日目を覚ました途端に以前よりマシになったりするようなものではない、ということです。状況は突然変化するものではありません。日常的に続く仕事で疲労を軽減するには、意識して取り組む必要があります。
これは、仕事に関する心理学と神経科学を2年間研究してきてたどり着いた結論です。では、よりエネルギッシュに、チームメンバーとより関係を深めるための科学的に証明された方法は、どんなものでしょうか?この方法を使えば、よりクリエイティブに仕事ができるのでしょうか?今回は、疲れを溜めず仕事を効率的に行うための4つの方法を紹介します。
1. 朝は「僧侶モード」で
集中力の効果を追求し、「ディープ・ワーク」という独自の概念を提唱しているカル・ニューポート氏は、「気が散ったり邪魔されたりしなければ、生産性は飛躍的に向上する」としています。その実現のために氏が提唱しているアプローチは、週に2度、1時間から1時間半の間、修行僧のように誰とも口を利かず、デジタルの誘惑から身を離す、というものです。
2. ランチタイムはしっかりと休憩を
ランチをデスクで取ることが習慣化している人も多いですが、場所を変えて休憩したほうが、午後に向けたリフレッシュ効果が高いという調査結果があります。ある調査では、ランチタイムを取る部下はあまり熱心に働いていないと考えている管理職が22%にのぼります。
また、イギリス人の3分の2は、昼休みをとることを上司が快く思っていないと感じています。しかし、仕事の手を休めてしっかりと休憩した方がパフォーマンスは大幅に向上すると調査で証明されています。専門家によると、ランチタイムも休まず働くと、睡眠障害や週末の極度の疲労感につながるとされています。
3. ウォーキングミーティングにトライ
ウォーキングミーティングを提案してみるのも良いでしょう。やりにくい、居心地が悪い、と感じるかもしれません。これにハマる人もいれば、そんなはしゃいだ気分にはなれない、という人もいるでしょう。強制は禁物ですが、歩くことは多様な発想を生みだす回路を非常に効果的に活性化することが科学的にもわかってきました。ウォーキングは、創造力に刺激を与える行為なのです。白い壁に囲まれてブレインストーミングをするよりも、散歩して雑談する方が確実に良い効果を得られます。
4. 通知機能をオフにする
テレフォニカのマーティン・ピエロ氏は、スマホなどデジタル機器の通知をオフにすると、人々の思考にどのような影響があるかを理解しようと先駆的な研究を行いました。そこで判明したのは、わずか1日だけスマホの通知をオフにした場合でも十分なメリットがあり、調査対象者の半数は2年後も通知をオフのままにしていることがわかりました。
職場環境が一変することはないため、心豊かに満足できる環境を目指して、一歩ずつ段階的に努力していくことが大切です。今回紹介したのは4つのほんの小さなルールですが、これが役に立ち、仕事でより幸せにエネルギッシュに過ごせることを願っています。
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著者
ブルース・デイズリー
作家/元Twitter EMEA(欧州、中東、アフリカ)バイスプレジデント
GoogleでYouTube UKを担当した後、Emap/Bauer、Capital Radioに勤務し、2012年にTwitterに入社。
Comic Reliefのデジタルアドバイザーでもあり、Appleのビジネスチャートで1位を獲得したポッドキャスト「Eat Sleep Work Repeat 」を担当。ブルースの作品はNewWorkManifesto.orgにて。著書「The Joy of Work」が発売中。