生成AIで仕事の生産性を上げるには?自分の仕事を?活用方法

ChatGPTを開発したOpenAIが実施した調査によると、米国の80%の働く人が近い将来、自分の仕事の少なくとも10%が自動化される可能性があると考えています。同様に、2023年3月に行われたゴールドマンサックスの調査では、世界中で3億もの雇用が影響を受けると予測。同調査は、一部の仕事の消失は避けられない一方で、AIの採用により仕事の生産性が向上する可能性があることも指摘しています。
 
生成AIの性質上、自動化の波はこれまで以上にホワイトカラーの労働者に影響を与えることになりそうです。では、どうすればキャリアを守り、提供するサービスの需要を保つことができるのでしょうか?
 
生成AIの活用が自分にとって有利に働き、仕事の生産性を向上できるかもしれません。今回は、ChatGPTをはじめとした生成AIを最大限に活用する方法や身に着けるべきスキルを紹介します。
 

生成AIで生産性を向上させる5つのポイント

1.何のために必要か考える

業務のなかでどの作業を自動化できるのか考える必要があります。GPT-4が発表されるまで、生成AIの能力はコピーライティングに集中したものでした。しかし、ツールの可能性は急速に広がっています。たとえば、プレゼンテーションの企画のサポートや、オリジナルの計算式によるスプレッドシートの作成・計算を素早く実行できます。
 
調査のツールとしても有望です。従来のチャットボットの主な機能は、必要な情報を要望に合ったフォーマットで生成することでしたが、提供するものは誤りがある可能性がありました。それが急速に改善しつつあります。Google BardやMicrosoft Bingの開発により、AIチャットボットと従来の検索エンジンの信頼性の差は縮まってきています。
 

2.適切なプラグインを追加する

GPT-4の発表に伴う大きな進化の1つに、新たな可能性を広げるプラグインがあります。たとえば、Slack上のチャットの要約・返信の作成や、FiscalNoteでのリアルタイムのデータ分析、Zoomの会議の要約が可能になります。Zapierプラグインを使えば、Microsoft OfficeやGoogle Suite、Hubspot、Facebook Adsなどにツールを統合することができます。
 
もちろん、社内の機密データへのアクセスや共有が発生する場合は、法律的な妥当性やセキュリティについて考えることが重要です。しかし、これらのツールの活用は、時間を節約し有用な資産や知見を得られる可能性を秘めています。
 

3.プロンプトを正しく使用する

大規模言語モデル(LLM)の良い点は、直感的なリクエストができ、わかりやすい返答を得られることです。専門的なテクニカルスキルや知識は必要ありません。
ChatGPTをはじめとする生成AIのメリットを享受するためには、プロンプトに精通している必要があります。実際に、ツールから優れたコンテンツを生成するためにプロンプトエンジニアを採用している企業もすでにあります。
 
プロンプトを正しく使用するためのポイント:
 
・何をしたいのか明確にする
優れたプロンプトとは、アウトプットの内容や形式、使用方法を定義しているもの
 
・アウトプットのターゲットを明確にする
誰に対する回答なのか、ターゲットを定めて回答を求める
 
・複数のプロンプトを試す
リクエストの文章を調整することで、より適切なアウトプットを得ることができる
 
・長文のリクエストは複数にわける
段階を踏むことにより、部分的に修正・変更しやすくなる
 
・リバースエンジニアリングを利用する
プレゼンテーションにおける質問の予測・回答を作成したり、出席者のニーズを考えて会議の議題をつくったりすることも可能
 

4.アウトプットを最適化する

LLMを調査に使用する場合は、事実関係を確認する必要があります。不確かな情報について、特定の部分をチャットボットに質問することも可能です。質問を細分化することで、より明確な情報を得ることができます。
 
コピーライティングやコーディングについては、複数のプロンプトや簡潔な説明をしてもAIが要望通りのコンテンツを作成してくれるとは限りません。表現が適していないものは書き直しや、スプレッドシートのデータに間違いないかのチェックが重要です。
 
生産性を高めるために、プロンプトをどのように改善すれば、より必要なものに近いアウトプットが得られるかを考える必要あります。
 

5.トレンドを常に把握する

上記は、生成AIを活用するために非常に重要なポイントです。しかし、ツールは常に進化しており、AIの役割はさらに大きくなっていくと考えられます。その能力についていくことができなければ、生産性が上がらず、自分の立場が危うくなる可能性もあります。ChatGPTや類似のモデルは今後も重要な存在であり続けると考えられるため、適切に使用できるようにする必要があります。
 

ChatGPTをはじめとする生成AIを使いこなすために必要なスキル

上記で述べたように、LLMなどの生成AIモデルの使用に技術的なスキルは必要はありません。しかし、生成AIを使いこなすためには、ソフトスキルが大切です。そのソフトスキルとは、たとえば以下のようなものです。
 

・クリエイティビティ

生成AIの能力を考えると、その可能性はユーザーの想像力次第です。より良いアウトプットを得るためには、タスクや課題へのアプローチの方法についてクリエイティブに考えることが大切です。
 

・コミュニケーション能力

LLMの特徴は、そのコミュニケーション方法です。リサーチをするにしても、コピーを作成するにしても、業務でチャットボットを活用するには、優れたコミュニケーションスキルが必要です。
 

・批判的思考

チャットボットの間違いをチェックするのに役立ちます。何が信頼できるのか、何をさらに調べる必要があるのかを判断するには、人間の力が必要です。
 

・言語能力

プロンプトのニュアンスを理解することで、文言を効果的に調整し、より早く必要なアウトプットを得ることができます。
 

・学ぶ意欲

同じ失敗を繰り返さないために、何が上手くいったか(何が上手くいかなかったかも)を覚えておくことが大切です。
 

生成AIで生産性を向上させる

生成AIは私たちの働き方を変えつつあり、ホワイトカラーの労働者であれば業界や仕事は影響をすでに受けている可能性があります。
 
必ずしもAIに取って代わられるのではなく、優れたAIスキルをもつ人に取って代わられるかもしれません。AIを使いこなすことで、生産性を向上させ、キャリアをより確かなものすることができます。上記のヒントを参考に、ChatGPTや他のモデルを使用してみて自分の業務にどう役立つのか考えてみてください。
 
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著者

トラヴィス・オールーク
ヘイズ・カナダ、プレジデント 
トラヴィス・オールークは、カナダの人材会社でリーダー職を歴任した後、9年前にヘイズに入社。入社後はカナダにおいて外部委託事業の確立や、人材派遣・契約社員紹介部門立ち上げの支援に携わり、中心的な役割を果たす。当初はテクノロジーへの造詣を活かし主に技術分野を担っていたが、現在は金融サービス、エネルギー、鉱業、製造業、小売業、公共部門など幅広い業界に人材ソリューションを提供している。