薬剤師の仕事とは?
業務内容から働き方、将来性を分かりやすく解説
薬剤師は医療の現場で欠かせない存在です。医薬品の専門家として、調剤や服薬指導などにより、患者の健康を支える役割を担っています。業務内容や働き方、将来性について知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、薬剤師の基本概要から、今後のニーズやキャリアの可能性まで、詳しく解説していきます。薬剤師としての就職・転職の参考にしてください。
本記事では、薬剤師の基本概要から、今後のニーズやキャリアの可能性まで、詳しく解説していきます。薬剤師としての就職・転職の参考にしてください。
目次
- 1 薬剤師とは?基本概要と役割
- 2 薬剤師の将来性とニーズについて
- 3 薬剤師になるための歩み
- 4 薬剤師とはどんな仕事?
- 5 薬剤師として働くことの魅力ややりがい
- 6 薬剤師のキャリアチェンジを成功させよう
- 7 薬剤師のキャリアチェンジを成功させよう
1 薬剤師とは?基本概要と役割
まずは、薬剤師の基本概念として、定義や役割について解説します。
1-1 薬剤師の定義
薬剤師は医薬品の調剤や服薬指導を行う医療の専門家です。患者が安全かつ効果的に薬を使用できるようサポートする役割を担っています。薬剤師になるには、大学の薬学部で6年制の薬剤師養成課程を修了し、薬剤師国家試験に合格することが求められます。この過程を経て、高度な薬学の知識と技術を持つ薬剤師として就職が可能です。
1-2 薬剤師の役割と責任
薬剤師の役割は医師の処方箋通りに薬を渡すだけではなく、医薬品の専門家として以下のような責任を担っています。
- 医師の処方に基づいて、患者に最適な薬を調合する
- 薬の副作用や相互作用を防ぐため、調剤時に厳密な確認・説明を行う
- 薬学、医薬品の安全性、法規制に基づいた専門知識を学び、医薬品について患者に適切な指導をする
薬剤師には医薬品に関する重要な役割と責任があり、医療現場で重要な役割を果たし、患者の健康に貢献しています。
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2 薬剤師の将来性とニーズについて
2-1 高齢化社会におけるニーズの高まり
昨今の日本では、急速に高齢化が進んでおり、医療の必要性が検討されています。 高齢者は複数の疾患を抱え、複数の薬を服用していることが多いです。その中で副作用や薬物相互作用のリスクが懸念されています。薬剤師の役割は、患者の服薬状況を管理し、医師と連携して最適な薬剤の処方や減薬の提案などを行うことです。高齢化社会により、今後も薬剤師のニーズは増々高まるでしょう。
2-2 健康サポート薬局の普及による活躍
これまでの薬局に加え、健康サポート薬局の普及も薬剤師のニーズを高めているといえるでしょう。厚生労働省が公開した「地域における薬局・薬剤師のあり方について」の資料では、薬局・薬剤師の機能強化に関する課題と今後の方向性が示されています。
在宅医療や夜間・休日医療の対応、健康サポートや新興感染症・災害時の対応など、地域で求められる薬剤師サービスは多岐にわたります。これらすべてを薬局が個別に対応するのは困難といえるでしょう。そこで地域全体で効率的・効果的に提供する仕組みの構築が進んでいます。
そこで注目されているのが厚生労働大臣の認める一定基準を満たした薬局「健康サポート薬局」の存在です。健康サポート薬局では、従来のかかりつけ薬剤師や薬局の基本的な機能を有しつつ、健康の維持や増進を積極的に支援する健康サポートを行う役割を担っています。これにより、地域連帯薬局おける役割・位置付けを再整理し、患者や医療関係者が適切に選択・連携できるようになりました。健康サポート薬局の普及により、今後も薬剤師の活躍が期待できるでしょう。
参考:日本薬剤師会「健康サポート薬局とは?」
https://www.nichiyaku.or.jp/kakaritsuke/support_pharmacy.html
参考:厚生労働省「地域における薬局・薬剤師のあり方について」PDF
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001232673.pdf
2-3 テクノロジーの進化により求められる新たな役割
現代の医療分野におけるテクノロジーの進化は、薬剤師の業務にも大きな影響を与えています。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、そしてデジタル医療の普及が進んでいる中で、薬剤師が従来担っていた多くの業務が効率化されると同時に、新たな役割が求められるようになっています。
AIは情報処理や単純作業を得意としており、正確な対応が可能です。ただし、人とのコミュニケーションや共感にはうまく対応できません。例えば服薬指導では、患者への寄り添いや共感が求められます。先ほど紹介した、厚生労働省による「地域における薬局・薬剤師のあり方について」によっても、それぞれのケースに合わせた対応を行い、気持ちに寄り添うことの重要性が示されています。薬剤師の役割は今後、医薬品の提供だけでなく、患者が安心して相談しやすい体制を整え、正しく服用してもらうための指導といった対人業務の充実が求められているのです。
3 薬剤師になるための歩み
3-1 薬学部に入学する(4年制・6年制)
薬剤師になるには、まず薬学部に進学する必要があります。薬学部は4年制と6年制があり、6年制は医療現場で働くための実践的なカリキュラムが組まれています。 6年制課程は、薬剤師国家試験の受験資格を得るために必要な課程です。薬剤師として臨床現場で活躍するための実践的な教育が実施されます。調剤や服薬指導などの現場スキルに加え、医療チームの現場として働くための知識やコミュニケーション能力などが重視されます。 具体的なカリキュラムの例として、以下の内容が含まれます。
- 基礎薬学:薬理学、有機化学、生化学など、薬剤の成分や作用機序を学ぶ
- 臨床薬学:医療現場で患者をサポートするための知識や技術を学ぶ
- 実務実習:大学4年または5年に、病院や薬局で約5〜6ヶ月間の実習を行い、現場での実践経験を積む
実務実習では、実際の調剤薬局や病院で薬剤師としての役割を体験し、臨床現場で求められるスキルや判断力を養います。
また、4年制は薬学研究者製薬企業で働く薬学や専門家を育成するためのコースです。一般的に 4年制は薬剤師としてではなく、薬学研究者や技術者として活躍する人材を育成することを目的としています。
3-2 薬剤師国家試験を受験する
薬剤師国家試験は、日本全国で同時期に実施される統一試験であり、薬剤師として必要な知識・技術・倫理観を総合的に測ることを目的としています。評価対象は医療現場で薬剤師として求められる専門知識や技術、倫理的判断力などです。薬剤師国家試験に合格した後は、厚生労働省に薬剤師免許を申請することで、正式に薬剤師としての資格が与えられます。
3-3 薬剤師として就職する
薬剤師の免許取得後は、調剤薬局や病院、製薬企業や行政機関など、多様な職場で働けます。それぞれの職場で異なるスキルが求められるため、自分のキャリア目標や興味に合わせて職場を選ぶことが重要です。
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4 薬剤師とはどんな仕事?
薬剤師の仕事内容は、働く場所によっても異なります。ここでは、職場別に薬剤師の仕事、業務内容について解説します。
4-1 調剤薬局での業務
調剤薬局で働く薬剤師は、患者にとって身近な病院やクリニックの医師が発行した処方箋に基づいて、適切な薬を調剤し、患者に提供する業務を中心に行っています。 処方箋に記載された薬が患者に正しいかどうかの確認は薬剤師の重要な役割であり、医師が発行した処方箋の通りに調剤するわけではありません。薬剤師は処方箋に記された薬の投与量や用法が安全であるか、 患者の年齢や体重、疾患に対して薬の効果が見られるか、禁忌事項がないかなどをしっかりと確認した上で薬剤を調合・処方します。
また、患者が処方された薬剤に疑問や不安を感じている場合、丁寧に対応するのも重要な業務の一つです。
4-2 病院・診療所での業務
病院・診療所で働く薬剤師の主な業務は、患者ごとに最適な投薬計画を作成し、医療チームと連携して治療をサポートすることです。患者の状態に応じて最適な薬物治療を提供するために、医師や看護師などの医療チームと密接に連携して働きます。 病院で働く薬剤師の最も重要な役割は、患者の個別の状況に基づいて投薬計画を立てることです。
患者の年齢や性別、体重や疾患、アレルギー歴、腎機能や肝臓機能などあらゆる検査データを元に、投薬の種類や量、投与経路、タイミングを決定します。
4-3 企業での業務
薬剤師は、薬局や病院だけでなく、業種によっては企業で働くことも可能です。例えば製薬会社では、新薬の研究開発、品質・薬剤情報の提供など幅広い業務を担当します。 その中でも薬剤師の専門知識が重要視される新薬の研究開発(R&D)は、薬剤師が携わる最も専門的で重要な業務の一つです。
薬剤師の資格を生かして製薬会社に就職・転職を目指す場合、薬剤師のキャリアや実績や薬剤師の知識はもちろん、コミュニケーションスキルやマネジメント能力、分析や統計に関するスキルなどもアピールできると良いでしょう。そのためには、自分の得意分野につながる職種を選ぶことがおすすめです。
4-4 行政機関での業務
薬剤師が行政機関で働く場合、薬事監査や健康相談、地域医療推進などに取り組みます。行政機関で働く薬剤師は地域医療を支える存在であり、地域住民が安全で効果的な医薬品を使用できる環境を整備する役割を担います。業務内容は、かかりつけ薬剤師の制度化や普及を支援したり、地域包括ケアシステムに貢献したりなどさまざまです。その他、法律や規制に基づき、医薬品や医療機器の適正利用を確保することも求められます。
このように行政機関で働く薬剤師の仕事は、地域の医療基盤を支える責任ある仕事です。薬事監査や健康相談、地域医療推進といった幅広い業務を通じて、住民の健康を守り、安心して医薬品を使用できる社会を実現しています。
5 薬剤師として働くことの魅力ややりがい
薬剤師の仕事内容や働く場所はさまざまですが、いずれも人々の健康と生活の質を向上させるという重要な役割があり、多くのやりがいや魅力があります。ここでは、薬剤師として働くことの魅力ややりがいについて詳しく解説します。
5-1 患者との直接的な関わりで健康に貢献できる
患者や地域住民の健康に直接貢献できる点は、薬剤師の大きな魅力といえるでしょう。薬剤師として働くことで、医療チームや地域社会の中で重要な役割を担い、薬剤による病気・ケガの治癒や健康維持に向けて多くの患者や地域住民と深い信頼関係を築けます。患者の心の支えとなると共に、健康を守る役割を果たすことで社会に貢献できるやりがいのある仕事です。
また、自身の薬学知識が患者の健康改善に直結することは、大きなやりがいにつながります。特に、患者が「この薬を使ってよかった」「話を聞いて安心した」と感謝の言葉をかけてくれる瞬間は、薬剤師としての誇りを感じる場面といえるでしょう。
5-2 ライフステージが変化しても柔軟に働き続けられる
薬剤師という職業の大きな魅力の一つは、ライフステージが変化しても柔軟に働き続けられる点にあります。 結婚や子育て、介護といったライフイベントに伴う生活の変化に応じて、薬剤師は多様な職場環境や働き方を選択できるため、仕事とプライベートを両立しやすい職業です。
キャリアを積みたい場合はフルタイムで働き、育児中や家庭の事情がある場合は時間の融通が利くパートタイム勤務、仕事と家庭を両立しやすい短時間勤務制度の利用など、自分に合った働き方を実現しやすいでしょう。
また、薬剤師の仕事は、地域の医療現場や薬局で必要とされており、勤務地を選びやすく、 転居が必要な場合でも、新たな勤務地で職を探しやすい点もメリットです。
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6 薬剤師のキャリアチェンジとは?
薬剤師のキャリアチェンジは、調剤薬局や病院、製薬会社、行政機関など、多岐にわたり職場間での転職やキャリアアップを目指しやすいでしょう。 薬剤師資格は幅広い分野で活用できるため、目標に合わせた柔軟なキャリア設計が可能です。
最後に、薬剤師がキャリアチェンジを検討する背景や、その具体的な選択肢について詳しく解説します。
最後に、薬剤師がキャリアチェンジを検討する背景や、その具体的な選択肢について詳しく解説します。
6-1 企業へのキャリアチェンジ
製薬会社や関連企業への転職は、薬剤師の知識と経験を新たな業界で生かしたい人に人気の高いキャリアパスです。薬の研究開発や営業、薬事申請、品質管理などの業務で活躍が期待できます。 製薬会社で働くには、薬剤師としての基礎知識を応用し、業界特有のスキルや経験を身につけることが重要です。 例えば、薬事申請の手続きや、医薬品の製造管理基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に関する知識などを強化する必要があります。
また、 製薬企業の医薬情報担当者として働く場合、医師や病院スタッフとの信頼関係を築けるコミュニケーション能力も求められます。 製品の適切な使用を分かりやすく説明するスキルや 医療現場のニーズに応じた提案力も必要です。製薬会社では、研究開発、薬事、営業、品質管理など多彩な分野でキャリアアップのチャンスがあります。企業へのキャリアチェンジは、興味や得意分野に応じたキャリア形成が可能です
6-2 病院へのキャリアチェンジ
薬剤師として薬局で働いた経験を生かして病院薬剤師へと転職するケースは少なくありません。病院薬剤師は、医師や看護師と連携して患者ごとの治療計画を作成します。薬物療法の設計や調整、患者の治療に直接貢献できる点が大きな魅力です。病院薬剤師は、日々の業務育成レベルな臨床薬学や専門的な医薬品知識を学べるため、スキルの向上も見込めるでしょう。
また、病院薬剤師の経験を積んで、管理薬剤師やチームリーダーとして昇進したり、さらに高い専門性を持つ薬剤師を目指したりすることも可能です。病院薬剤師へのキャリアチェンジを成功させるなら、転職を希望する病院の規模や業務内容、医療チームの方針を事前に確認し、自分の目指すキャリアとのマッチングを図ることをおすすめします。病院関係者や転職エージェントを活用し、病院での業務内容や求められるスキルについて情報を収集するのも良いでしょう。
6-3 行政へのキャリアチェンジ
行政機関で働く薬剤師は、地域住民の健康と医療の安全を支える重要な役割を担っています。薬事法や関連法規の知識を生かして、薬局や医療機関、地域住民と直接関わり、医療の現場と行政の橋渡しをする立場です。行政機関へのキャリアチェンジを目指す薬剤師は、薬事法や医薬品医療機器法(薬機法)をはじめとする多くの法律や規制に基づいて業務を行います。 最新情報を常に把握し、業務に反映させる必要があります。
また、多くの行政機関では公務員試験の合格を必要とするため、試験対策が必要になるでしょう。その他、行政薬剤師は、薬局や医療機関、地域住民や直接接する場面が多いため、相手の立場を冷静に、正しく情報を伝える能力も重要です。
7 薬剤師のキャリアチェンジを成功させよう
薬剤師は高い専門知識を持ち、さまざまな分野でキャリアを築ける職業です。薬剤師のキャリアチェンジを成功させるためには、自身が目指すキャリア像を明確にし、必要なスキルや資格を身につけることが重要です。業界の動向を把握し、ネットワークや転職エージェントを活用することで、よりスムーズなキャリアチェンジを実現できるでしょう。
薬剤師の資格を生かして新しい分野に挑戦することで、さらなる自己成長ややりがいを得られます。 将来的な可能性を広げ、理想のキャリアを築くために、今こそ新しい一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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