ブランク期間を効果的に説明する方法~よくある状況ごとに回答例を紹介

 

キャリアの途中で一時的に仕事から離れることは、決して珍しいことではありません。履歴書の空白期間には、育児、大学などでの学び直し、長期の旅行、介護、転職などさまざまな理由があるでしょう。もちろん、解雇による離職もそうした理由の1つです。

皆さんの中にも、一時的に仕事を離れた経験をお持ちの方は少なくないでしょう。ヘイズのグローバルCEO・アリスターコックスは、LinkedInに掲載しているブログの中で、キャリアブランクを持つ人の数は今後増加していくであろうと予測しています。理由は、平均寿命の長期化です。このまま高齢化が進めば、多くの労働者は、70代、80代になっても仕事をリタイヤすることは出来ないかもしれません。結果的に、キャリアの途中で仕事を離れる人が増加し、履歴書に空白期間が生じるケースが一般化するでしょう。

では、この期間をどのように説明すれば、面接官はあなたがその企業にふさわしい人材だと考えてくれるでしょうか?

履歴書に空白期間が生じたら

今回は、離職の一般的な傾向や、履歴書のブランク期間を効果的に説明する方法を、7つのポイントに分けてお伝えしたいと思います。その前に、以下の基本を押さえましょう。

  • 建設的に答える
    まず、離職した理由を簡潔に説明し、次に離職期間中にどのような活動をしていたかを伝えます。最後に自分にとってなぜこの期間が必要であったのかをアピールして下さい。
  • 離職期間に有意義な活動をしていたと伝える
    その間に身に着けたスキルをアピールしても良いでしょうし、他にも、「副業でコンサルティングの仕事をしていた」、「勉強をしていた」、「ボランティアをしていた」、「業界の最新情報は常にチェックしていた」などの具体例があれば、これらについても伝えて下さい。
  • 背景よりも応募理由を
    「なぜ離職したか」よりも、「その期間をどのように過ごしたか」や「なぜ今回応募した職務が自分に適していると思うのか」を重点的にアピールしましょう。
  • 離職理由は率直に
    離職の理由がどのようなものであっても、正直に率直に伝えましょう。ただし、不要な情報まで詳細に説明する必要はありません。
  • 前向きな言葉で説明する
    離職期間があることを謝罪したりする必要はありません。

離職の一般的な理由と、面接で役立つ7つのポイント

離職の理由はさまざまですが、よく見られる例を以下のように分類。それぞれの理由について面接での回答例も記載しました。

1. 病気の療養のため

  •  病状を詳細に説明する必要はありません。
  • 療養期間はどのように過ごしましたか?「新しいスキルを習得した」、「業界のニュースやトレンドを常にチェックして、最新の動向を把握するよう努力した」、「地域のボランティア活動に参加した」など具体的な例があれば、面接官に伝えます。
  • 仕事復帰への準備が出来ていることをアピールし、なぜ応募したポジションが自分に相応しいと考えたのかを力強く伝えましょう。
  • 回答例
    前職では病気の再発のため、仕事を続けていくことが出来ませんでした。しかし、今では健康状態も完全に回復しており、仕事にも十分対応することが出来ます。今回応募したのは、募集されているポジションで私のスキルが活かせること、この仕事が私の価値観と合致していること、毎日やりがいを感じながら新しい価値観を培っていくことが出来ると考えたからです

2. 介護のため

  • この場合も、療養者の症状や介護の内容などを詳細に説明する必要はありません。
  • 療養者がすでに回復したこと、又は介護をしてくれる人が見つかったことを、はっきりと伝えます。
  • 仕事を再開する態勢が整っていることや、今回応募した理由を説明しましょう。
  • 回答例
    「家族を介護しなければならなくなったため、前職を断念せざるを得ませんでした。退職後、1年間介護に専念しましたが、その後兄弟と相談して、専門の介護士さんにお任せすることになりましたので、改めて求職活動を始めた次第です。今はチームリーダーとしての経験が活かせる仕事を探しており、イノベーティブな社風の企業を希望しています。その条件に適合するのが御社であったため、応募に至りました」
     

3. 人員整理のため

  • 人員整理で離職した場合は、その事情と理由(予算削減やリストラなど)を簡潔に説明しましょう。
  • 前職での優れた実績やパフォーマンスを具体例と共に伝えます。
  • 離職期間中はどのように過ごしたのか、また、今回応募した仕事はなぜ自分に適しているのかを説明しましょう。
  • 回答例
    「以前勤めていた企業では、長期にわたって予算の削減を余儀なくされていました。その結果、私の仕事であるクレジットコントローラーも人員整理の対象となりました。しかし、私は前職でクレジットコントローラーとして達成した成果を誇りに思っていますし、離職期間中は、自分が仕事に何を求めているのかを真剣に見つめ直し、市場のトレンドに遅れないよう、業界の最新情報も積極的に収集しました。今回募集されているポジションでは、現在のスキルを活かすことが出来ること、チームをマネジメントしながらビジネスを動かすことが出来ることが私の希望と合致しました」
     

4. 旅行のため

  • 退職して旅行することに決めた理由を重点的に説明しましょう。「成長のため」、「異文化に対する感覚を磨くため」、「視野を広げるため」などの理由を強調して伝えます。
  • 復職の準備が整っていることを明確に伝えましょう。
  • 今回応募したポジションに、特に惹かれた理由を説明します。
  • 回答例
    「私は半年間、タイやベトナムに旅行していました。異なる文化に触れ、新たに視野を広げたかったからです。今回の旅行では、この2つの目的を達成しただけでなく、私の人生においてかけがえのない経験が出来たと思っています。今はデジタルマーケティングの管理職として、自分のキャリアを次のステージに向けることに全力を注いでいます。御社は、人材開発やプロフェッショナル教育にも力を入れており、従業員のためのワークライフ・バランスの施策も整っています。その一方で、最新のデジタルマーケティング手法を積極的に取り入れているところが魅力的でした」

5. 転職のため 

  • これまで転職活動をどのように進めてきたかを説明します。
  • 転職先や新しい仕事に希望すること、転職活動中に真剣に考えたことを、わかりやすく伝えます。
  • スキルを向上させるため、業界の最新情勢にキャッチアップするために、どのように努力してきましたか?面接官にアピールしてみましょう。
  • 応募したポジションが、なぜ自分に相応しいのかを簡潔に伝えましょう。手当たり次第に求人案件を物色していたのではなく、適職を求めて活動をしていたことも説明します。
  • 回答例
    「私は派遣社員として働いていましたが、契約期間が半年前に終了したため、すぐに新しい仕事を探し始めました。キャリアアップにつながり、スキルを活かせる仕事を希望しています。これまでも数回、他社様の面接を受けたことがありますが、適職といえる仕事に巡り合うことは出来ませんでした。今回のポジションは、XYZなどの経験が出来るところに特に惹かれています」
     

6. 育児のため

  • 家庭の事情を優先して育児に専念しなければならなかったことを説明しましょう。
  • 仕事を再開しようと考えた理由や、新しい仕事に期待することを強くアピールします。
  • 今回応募したポジションが自分に適職であると思う理由を詳しく説明します。
  • 回答例
    「最近、息子が誕生したことから、父親として家庭の事情を優先し、育児に力を入れるため前職を退職しました。現在は、仕事再開の目途が立ったこともあり、改めて求職活動を始めた次第です。今回の仕事は、私にとって大きなチャレンジであるとは思いますが、個人として、プロフェッショナルとして仕事を楽しみながら、さらに成長していきたいと思います」

7. 社会人入学などによる学び直しのため

  • 学び直しを決意した理由を伝えましょう。身に着けたいと思ったスキルや、取得を目指した資格などを説明したほうが効果的です。
  • 自己研鑽を惜しまないこと、習得したスキルが応募した仕事にも有効であることをアピールします。
  • 回答例
    「前職までのキャリアでスキル不足を痛感したため、もう一度学び直すことを決意しました。スキルの向上を図り、将来のキャリアに役立てたいと考えたのです。先日、履修コースを無事修了することが出来ましたので、現在は新しいスキルを活かせる仕事を探しています。今回の募集を知り、私の専門や真価を発揮できる仕事と思い応募しました」
     

履歴書に空白期間があっても、決して引け目を感じることはありません。また、面接官に隠す必要もなければ、その話題を避ける必要もありません。面接で質問された場合は、正直に自信をもって答えましょう。その時は、離職期間の過ごし方について具体例を挙げて説明すれば効果的です。大切なのは、「なぜ募集されたポジションに応募したのか」という、あなたの動機です。このことを決して忘れないでください。

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著者

マーク・ブラジ
マネージング・ディレクター 
6つのオフィスで400人近い従業員を率いるマークは、2019年9月にヘイズ・ポーランドのマネージング・ディレクターに就任。
2012年に香港のリージョナルディレクターとしてヘイズに入社。2014年にはアジアにおけるヘイズ・タレント・ソリューション事業の責任者を任され、2015年にヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクターに就任する。あらゆる専門分野における日本事業の運営と成長を担当し、正社員、エグゼクティブ・サーチ、派遣、契約、オンサイトのソリューションを提供した。
人材業界の前は自動車業界で様々な営業およびマーケティング管理職を務めていた。