「日本のプロフェッショナルと生涯学習を結び付ける」
デロイトトーマツ税理士法人 ― 採用企業インタビュー
デロイトトーマツは、デロイトトーマツグループ(デロイトジャパン)および有限責任監査法人トーマツのメンバーである公認の税理士法人です。世界150か国・地域に30万人以上のプロフェッショナルを擁するデロイトネットワークの一員でもあり、世界中でサービスを提供しています。
ビジネプロセスソリューションズ部門でパートナーを務め、人材戦略コンサルティングを管轄するChris Snow氏に、これまでの経歴やデロイトの戦略、求めるスキル、文化、入社を目指す人へのアドバイスについてお話を伺いました。(聞き手:Bunka Cho、ヘイズ・ジャパン ビジネスディレクター)
Bunka:経歴やデロイトに入社した理由を教えてください。
Chris氏:人材業界で働いた経験があり、リクルーターとしてさまざまな人のキャリア形成に関われることに魅力を感じていたからです。人材紹介会社のビジネスモデルでは、採用が成功した場合に報酬を支払うのが一般的。そのため、人材紹介会社が人材や候補者に対して長期的にどのような価値を生み出しているのか興味がありました。
人材業界に入る前、多くの人が大学に通うなか、違う道を選びました。実践的な経験を積むために、さまざまな仕事や職種に挑戦。電気通信やテクニカルサポートに約5年間携わり、オペレーションに重きを置いた仕事は向いていないと気づき、何かを作り上げてみたいと思うようになりました。
2008年、私はまだ、自分の好きなことが本当に仕事になるのか考える必要がありました。幸運なことにニューヨークの人材紹介会社の面接を受けることができ、金融に特化した人材会社でキャリアを始めました。その9か月後にリーマンショックが起きましたが、私は上司とチームに恵まれ、非常に多くのことを学びました。
その後の5年間は、人生において非常に学びの多い時期でした。当時の世界的な金融危機の影響を受け、新規事業の開拓は困難を極めていました。厳しい現実を目の当たりにし、好奇心も手伝って、通常のサービスを超えて優れた顧客体験を生み出す価値提案をする必要に迫られました。
それから、2013年にさまざまな国へ海外旅行に行き、世界ではアメリカにいる以上に多くの経験ができると知ったのです。自身の成長のために社内の異動プログラムを利用し、海外で出ることを決めました。働くことができる国は多くありましたが、父が日本で駐在をしていて私も高校で日本語を勉強していたことから、日本は上位候補に入っていました。日本で働いた経験がある当時のマネージング・ディレクターから勧められ、日本に行くことを決めました。
日本に来てから、社内のコミュニケーションは英語で行われ、一緒に働いていたバイリンガルの日本人で採用を担当するマネージャーは人材不足などについて英語で話し合うことを好んでいました。日本人以外のリクルーターが多様な視点を提供することは、依然として価値のあることです。
私にとってのチャレンジだったのは、日本人候補者や同僚の価値観やモチベーションにどう対応するかでした。今日に至るまで日本の労働者や一般の人々について学び続けており、他者を理解することは私自身にとって大きなテーマとなっています。
それからの8年間は、新しい文化やどの地域にも共通するさまざまな採用課題に触れましたが、東京の金融業界はニューヨークと比べて小規模だったため、他の業界にも注力する必要がありました。何よりも大きかった気づきは、プレイヤーとして重要なスキルと、チームのリーダーやマネージャーに必要なスキルが異なるということです。さまざまな教訓を得ましたが、一緒に働いてくれた人たちに感謝しています。
人材紹介会社やキャリアパートナーの役割に興味を持ち続けていたことも、デロイトに入社した理由の1つです。デロイトは世界最大の経営コンサルティング会社であり、世界中に約41,500人の従業員を抱えています。これほどの規模と専門性をもつ企業の一員になれば、労働市場の課題に対処するうえで重要な役割を果たすことができると感じたのです。
Bunka:デロイトのビジョンや競合他社との違い、求めるスキルは何ですか?
Chris氏:デロイトのビジョンは「Makes an impact that matters」です。”impact”はさまざまな意味をもつ言葉ですが、収益・事業の拡大にとどまらず、クライアントやデロイトが事業を展開する市場のために成果を上げることに焦点を当てています。企業の成功を測る方法はいくつかありますが、インパクトと生産性は世界に良い影響を与えるという点で相関関係があると考えています。
いくつか例を挙げましょう。デロイトが手がけるプロジェクトではたとえば、新型コロナウイルスのデルタ株に対処するために、農村部に医療機関を拡大する「プレイブック」を発表しています。この調査により、病院は遠隔医療ソリューションを活用し、自宅にいる患者に質の高い治療を提供する術を知ることができました。
また、デロイトは、仕事の未来に関する議論でグローバルなソートリーダーシップを発揮しています。日本が抱えている人口問題についてはよく知られていますが、人材・スキル不足に対処し、解決するには、国外にも目を向けながら日本国内でも有効な戦略を探す必要があります。私は日々の仕事を通じてこのような議論に参加し、実現可能な解決策に取り組めていることを誇りに思っています。
さらに、よりデジタルな未来に向け、ERPの戦略やプランニング、導入の支援を通じて、日本のトップ企業のデジタル化のサポートを行っています。
このように、デロイトはヘルスケアやワークフォーストランスフォーメーション、デジタルの未来など、複雑な問題に対するソリューションを提供し、常に社会に対して有意義な貢献をすることによって、他社との差別化を図っているということです。
もちろん個人としてインパクトを生み出すことは難しいことであるからこそ、コンパスとなる共通の価値観を会社が提示してくれていることに感謝しています。共通の価値観はオフィスの壁に貼ってあり、タウンホールを含む各種ミーティングやメールで定期的に話し合われています。
共通の価値観のうち、特に個人的に共鳴しているものとして「Lead the way」があります。困難な社会問題には多くの声が寄せられ、しばしば行動こそがその解決策となります。デロイトは単にオピニオンリーダーになることを目指すのではなく、お客様と共に解決策を作りだしていきたいと考えています。そのために、私たちは学界やIT業界まで、さまざまな人と協力しています。
また、「Collaborate for measurable impact」という共通の価値観もあります。成功にはチームワークが不可欠であり、この価値観が会社のオペレーションに取り入れられていてうれしく思っています。チームメンバーと共にお客様の課題を解決する瞬間は、思い出深いものです。
デロイトのオフィスでは、どこに行っても共通の価値観を目にすることができます。従業員はIDバッジや首にかけるストラップに好きな「共通の価値観」を載せることができ、会話のきっかけとして役立っています。
自分のチームに関して言えば、求める人材像・スキルとして、創造性や好奇心、思いやり、クリティカルシンキング、協調性、異なる知識を結び付けて活用する力を求めています。クライアントの成功のために不可欠な特性・スキルであり、お客様がデロイトに期待するのは、批判精神をもって考え、協働し、テクノロジーを活用して優れた結果を出すことだからです。
クライアントの期待が大きいため、従業員にも多くを求めていますが、サステナブルな働き方にはワークライフバランスが重要です。デロイトは従業員の健康やサステナビリティに真剣に取り組んでおり、「Foster inclusion」という共通の価値観はそれを実現する方法の1つといえます。私はインクルージョンの促進のために、定期的にランチやイベントを開催しています。それでも、誰もが公平で尊重される環境を作るために、1歩踏み出さなければならない瞬間は毎月無数にあります。私の取り組みは、自身が評価され、個人より大きな何かに所属していると従業員に感じてもらうために必要なことなのです。
大きなビジョンの一部であるとチームメンバーが感じられて初めて、クライアントの複雑な課題に対して創造性を発揮できます。好奇心は自然と湧き出るものではないと学んできたので、定期的に外の視点をもちこみ、現状に異議を唱え、クライアントに共感できるようにしています。問題への理解が深まれば、お客様が理想とする成果を得るために何が必要か、より建設的に考えることができます。
協調性や異なる分野を結び付けて活用する力は、これらをすべて結びつけるために必要な力です。反復作業をテクノロジーに任せながら同僚と協力してやっていくことが、優れた成果を上げるために必要なことです。リーダーはしばしば、既存の人材よりも新しいチームメンバーの採用を好む傾向があります。私は、自身の決断をチームメンバーに伝える際には、伝え方に注意を払っています。
面接の際は、上記の能力を活用した経験があるかを注視しています。
Bunka:チームのビジョンや達成したい目標について伺えますか?
Chris氏:私たちには、日本のプロフェッショナルと生涯学習を再び結び付けるというビジョンがあります。先日デロイトでは、何百もの日本の企業を対象に未来のビジネスに関する調査を行いました。そのなかで42%が、現在の組織構造が変革を実現する障壁になっていると答えたそうです。さらに、企業のリーダーが部門や役職の境界を越えてマネジメントできると回答した人はわずか5%でした。今後多くの人が定年退職を迎えることから、人材・スキル不足は喫緊の課題となっています。
残念ながら、人材・スキル不足に対する単純な解決策はありません。DE&Iを実践していくことでしか、労働市場を拡大・発展させることはできないのです。
女性の社会進出や高度外国人材の誘致、将来のリーダーの育成は、メディアで定期的に取り上げられています。しかし、早期退職制度の推進や人材育成への影響の低さによって、経験豊富な人材を見過ごしてしまっている可能性があります。シニア人材の育成に真剣に取り組んでいないのであれば、今は若い働き手がその年齢に達したときにどうなるのでしょうか?
日本政府は先日、年収2,000万円以上の外国人は特別に滞在1年で永住権を得られるという興味深い方針を発表しました。今後は、ソフトウェアエンジニアや機械学習の研究者など、専門人材の獲得が容易になるかもしれません。国など、企業より大きな母体が行うこのような取り組みには大きな関心を寄せています。
総体的に考えると、私たちは生涯学習の機会を提供・奨励することによって、労働市場全体のウェルビーイングに目を向ける必要があります。これが私にとってのDE&Iの意味合いです。人材不足を解決する理想的な方法は、受容と結束なのです。
Bunka:デロイトでの働き方や福利厚生、文化はどのようなものですか?
Chris氏:デロイトでは、ワークライフバランスをサポートするために、柔軟な働き方を重視しています。子育てをしながら働いているあるチームメンバーは、仕事を早めに切り上げて子どもを迎えに行き、必要な際は夜に仕事をしています。
また、気分転換をしながらリモートワークができる「ワーケーションプログラム」も提供しています。チームメンバーが参加した際は、瀬戸内海に面した広島県三原市に1週間ほど滞在しながら働きました。このプログラムは好評で、今年も実施される予定です。
そのほか、医療の専門家を招いてメンタルヘルスについて講演をしてもらうこともあります。メンタルヘルスは助けを求めることが難しい問題であると考えており、それゆえサポートを必要とする人がすぐに得られる環境を整えています。メンタルヘルスは、本人、家族、友人、同僚などすべての人に影響する問題だからです。
一方で、休むべき時を見極めるのが苦手な人もいます。私はリーダーとして果たすべき役割を真剣に考えており、自身の定期的な休息、チームメンバーとのチェックインはもちろん、ボディランゲージなど疲労のサインに気を配っています。調子が悪そうなメンバーがいたら、1on1を設定し状態を確認するようにしています。
このアプローチは有効である一方、受け身な方法でもあります。そのため、よりアクティブな方法として、チームで「Gratitude Wednesday」という試みを行っています。毎週水曜日のチームミーティングで、優れた取り組みやチーム一丸となって達成した成果に対して互いに感謝の気持ちを伝えあうものです。
このような活動によって、前向きで協力的な職場文化を育むことができます。互いに与え合う影響について、メンバー同士が定期的に耳を傾け合う様子はとても心強いものです。
Bunka:デロイトで働くやりがいは何だと考えますか?
Chris氏:デロイトで働いて感じられるやりがいのひとつは、さまざまなテーマに精通したチームと一緒に仕事ができることです。会社が提供する生涯学習やスキルアップへのサポートは非常に素晴らしいです。プロフェッショナルサービス業界で優秀なマインドをもつ人たちと接することができ、プロフェッショナルとしても個人としても成長を目指せる理想的な環境と言えます。
チームメンバーがそれぞれ自分自身のために生涯学習に取り組む様子には、さらにやりがいを感じます。その結果として醸成される学習文化は我々の強みであり、クライアントがチームを構築する際に必要となるものです。
Bunka:デロイトで働く際のアドバイスをお願いします。
Chris氏:私のチームの場合、最初の面接で30分ほどかけて「生きがい」について聞くようにしています。私たちのビジネスは「人」がすべてであるため、「思いやり」があり、自分にとって何が重要かを知っている人と働きたいと考えています。「単にお金を稼ぐため」「有名企業で働きたい」などの理由は、私たちのチームにはフィットしないかもしれません。「生きがい」や自身の目的を理解し、自分自身のベストサポーターになる必要があります。
面接の際に注視していることは他にもありますが、自身のキャリアの目的についてしっかりと考えていれば、デロイトのビジョンにも共感できると思います。
私はキャリアを通じて「理詰めで考えすぎ」と言われることがよくありましたが、自分では「思慮深い」ととらえています。だからこそ、今のポジションに就くことができました。自分自身を信じ、自分の仕事に誇りをもつことで、同じような結果を出すことができると考えています。プライドと謙虚さをもって、仕事が自分の「生きがい」とどう合致しているか、そしてそれがどう顧客のためになるのかを考えながら、デロイトで働いてほしいと思っています。
Bunka:新しい働き方が定着していくなかで企業が取るべき採用・人事戦略はどのようなものでしょうか?
Chris氏:答えは非常にシンプルです。人事部だけでなく、すべてのリーダーや管理職に意識してほしい点が「ほかの人が一緒に働きたいと思うような上司」になることです。
この5年間、私は挫折に直面し、フィードバックを受けて自分の弱みを克服するために多くの本を読んだり、キャリアコーチを雇ったり、自費でビジネスプログラムを受講したりしました。その際、一緒に働きたいと思われるようなリーダーになることが重要であり、そのためにはより良いアプローチが必要であることを実感しました。リーダーとして、チームメンバーに質問し、その声に耳を傾け、マネジメントスタイルを調整していく必要があります。そこにトレードオフがあるのは間違いありません。しかし、デロイトの共通の価値観に沿っている限り、私自身のリーダーシップの方針は公正で効果的だといえます。
チームメンバーがポジティブなキャリアストーリーを築けるように、ひとりひとりの価値観を理解し、活躍できる環境を整えることを大切にしています。このアプローチは、コミットメントと責任の文化をもつハイパフォーマンスなチームの構築に不可欠です。
Bunka:最後にヘイズのサービスについて伺います。ヘイズは貴社の採用にどのように貢献できていますか?
Chris氏:ヘイズは、コラボレーションとエンゲージメントの価値を真に体現する企業です。Bunkaのチームのポジティブな文化やコミットメントは、デロイトの人材獲得に優れた成果をもたらしています。
Bunkaのチームは、企業文化や募集ポジションに合った、ユニークなスキルをもつ候補者を紹介してくれています。
デロイトトーマツ税理士法人
ビジネスプロセスソリューションズパートナー
インバウンドクライアントサービスリーダー
Chris Snow氏
さまざまな業界に関する経験・知識を活かし、複雑な問題を簡素化し、クライアントに革新的なソリューションを提供。従業員の増員やアウトソーシングを通じて、プロセスの最適化や業務報告の時間短縮、コンプライアンスの確保を支援している。
その経験やネットワークを活かし、クライアントにエンドツーエンドのアドバイザリーや導入、オペレーションソリューションを提供。生涯学習との推進に情熱を注ぎ、クライアントに優れた成果をもたらし、企業の成長を促進することに尽力している。
ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社
ビジネスディレクター
Bunka Cho
日本の人材業界で18年以上の経験をもつ。2005年にヘイズ・ジャパンに入社し、ファイナンステクノロジーの派遣・契約社員の採用を担当した後、金融サービスの派遣・契約社員と正社員の採用を担当するマネージャーに昇格。その後、東京オフィスにて、ITとIT以外の派遣・契約サービスのシニアマネージャーおよびヘッド・オブ・コントラクトサービスを歴任。2021年には、日本の派遣・契約部門を率いるビジネスディレクターに就任した。
日本語・英語・中国語の3か国語に精通し、日本の採用市場や派遣法に関する造詣も深い。
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