ベストタレント予測2025 

 

2025年に向けて、日本の労働市場は、技術革新、持続可能性目標、そして職場のダイナミクスの進化によって大きな変化を遂げつつあります。データセンター需要の拡大や契約社員の増加、そしてサイバーセキュリティの専門知識への緊急の必要性に至るまで、日本の労働市場は国内外の課題に対応する形で適応しています。これらの変化は産業構造を再編し、グリーン建設、AIを活用した人事プロセス、多言語対応能力などの専門スキルを持つ従業員への需要を促進しています。 
本記事では、2025年における日本の労働市場を定義する主要な人材トレンドを探り、各業界における機会と課題についての洞察を提供します。 
 

1. データセンター需要の競争 

世界的にコロナ禍の影響が薄れつつある中、日本のIT分野には依然としてその影響が残っています。Eコマースの拡大やリモートワークの普及が後押しとなり、世界のデータ市場は予想を上回る成長を続けています。日本では、企業や公共部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れや、クラウドベースのストリーミングサービスの人気の急増が、この動きをさらに加速させています。企業がAIの導入を進める中、北アジアおよび東南アジアにおけるデータセンターの需要は、2028年まで年間25%の成長が予測されています。しかし、日本は現在、他国(特にAPAC)や世界的に見ても遅れをとっており、その遅れを取り戻すためにさらなる努力が求められています。そのため、2025年には国内外のデータセンター企業が日本市場に参入し、不動産関連、施設管理者、建設プロジェクトマネージャーといった人材の需要が増加すると予想されます。 
 

2. ESG投資と人材の課題 

環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関するESG投資が世界的に減速している中、日本では政府が2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするとの誓約を背景に、慎重ながらも着実にESG投資が拡大しています。この状況は今後1年続くと予想されています。日本は、グリーントランスフォーメーション(環境変革)に150兆円を投資する計画を進めており、地方自治体も災害軽減策や省エネルギーインフラの整備などの取り組みに向けて、20兆円規模のグリーンボンドを発行しています。この投資を最大限に活用するため、国内企業はコンサルタントを活用していますが、今後1年間で新卒から中堅のポジションも新たに開かれる見込みです。 
 
 

3. 持続可能な未来に向けた建設 

2024年、日本の航空宇宙産業は、世界初の木製衛星を打ち上げたことで世界的に注目を集めました。この成果は、伝統的な建設技術と最新のテクノロジーを融合させる日本の能力を証明しました。しかし、この出来事が真に象徴していたのは、日本の持続可能技術におけるイノベーションでした。上述のように環境意識の高まりが進む中、建設業界がその先頭に立っています。2050年までに、世界人口の約70%が都市に住むと予測されています。すでに人口1,000万人以上の国々で第4位の人口密度を誇る日本にとって、ますます密集する都市において持続可能な方法で居住空間を構築することが課題となっています。そのため、2025年には建設業界が持続可能な実践や環境に配慮した建築基準に熟練した専門家を引き続き求めることになるでしょう。さらに、カーボンフットプリント削減とインフラの強靭性向上への関心が高まる中、グリーンエンジニアリング、廃棄物削減、省エネルギーデザインといった分野のスキルの価値が一層高まっています。
 

4. 従業員同士のエンゲージメント向上のためのオフィス空間 

日本は従来、長時間労働など融通がない労働文化で知られていましたが、コロナ禍による一つの大きな変化はリモートワークや柔軟な働き方へのシフトです。この変化は、一部の公共および民間組織が導入した週休3日制や、幼い子どもを持つ従業員に柔軟な働き方を認めることを義務付けた法整備によって定着してきています。一方で企業の多くは問題解決やアイディア創出、コミュニケーションがオフィスに出勤した際に格段に向上するとも認識しています。そのため、企業はより多くの従業員をオフィスに呼び戻すことを目的に、魅力的で機能的な職場空間の実現に向けて、建設プロジェクト管理組織に協力を求めています。この動きにより、空間デザインに精通したコンサルタントや外部人材の需要が高まると予想されています。 
 

5. 現代のニーズに対応した施設管理へ進化 

日本企業の文化がますます柔軟になる中で、施設管理業界は「ワークプレイスサービス」という役割に移行しています。この変化により、優れた人材は、従来のメンテナンスや運営業務を超えて、従業員向けのさまざまなサービスを提供する役割を担うことを認識する必要があります。具体的には、ウェルネスプログラム、ワークスペース管理、デジタルトランスフォーメーション時代において重要な技術の統合、さらにはフロントデスクのサポートやイベントの調整を含むホスピタリティサービスなどが含まれます。これらの業務は、施設管理が従業員をサポートし、効率を向上させる中心的な役割を果たすようになっており、オフィスは単なる「機能的なフロア」から「サービス指向の環境」へと進化しています。この新たな業務領域でのスキルが備わっている候補者は、限られた社内のポジションに適している可能性がありますが、新卒から中堅層であればほとんどが外部委託されることになるでしょう。 
 

6. 契約社員によるキャリアパスの再定義 

日本では、安定した雇用、会社の福利厚生、ボーナスのある『正社員』という働き方が長らく理想的なものとされてきました。しかし、「専門的なスキルを活かしたい」「自由に働きたい」という働き手の欲求が年々高まっており、多くの日本人労働者は正社員から契約社員やギグワークへと働き方をシフトしています。2022年に行われた総務省の5年に一度の調査によると、日本には250万人以上のフリーランスが存在しており、この数字はその後急激に増加しています。この増加は、ギグワーカーの保護を強化する「新フリーランス法」の施行により、2025年にも引き続き続くと予想されています。特にIT、エンジニアリング、人事といった高度なスキルを必要とする分野では、フリーランスの専門家が増えています。企業にとっても、正社員として雇うことなくスキルギャップを埋めることができるため、フリーランスワーカーの雇用に大きなメリットを感じています。 
 

7. 日本をデジタル脅威から守る 

2025年に向けて懸念されるのは、サイバー攻撃がより高度化し、日本企業が機密データを守るために十分な施策を取れるか、という点です。これまで日本はサイバーセキュリティの強化において他の先進国に遅れをとっており、その結果、公共および民間の組織はサイバーハッカーに対して脆弱な状況にあります。このようなサイバー攻撃は、強要行為、インフラの破壊、さらには国家の安全保障情報の漏洩につながる可能性があり、政府高官たちはこうした攻撃から日本を守るための緊急性を強調しています。サイバーセキュリティ能力を強化し、重要インフラに対するサイバー攻撃を監視・検出するための法案作成は停滞していますが、金融、ヘルスケア、IT業界の企業は、インシデント対応や情報セキュリティ管理の分野で積極的に人材を確保しようとしています。特に、CISSPの資格を持ち、ネットワークセキュリティやペネトレーションテスト経験のある人材は最も需要が高くなっています。 
 
 
 
 

8. AI技術による人事改革 

日本では多くの業界で採用活動が活性化しており、採用プロセスを効率化するために企業はAIを導入し始めています。導入には依然慎重な姿勢が見られるものの、予測的な候補者分析や面接日程の自動調整といった利点により、採用やオンボーディングがこれまでより労力を要しないプロセスになることは明らかです。しかし現在、多くの企業はAI採用を最大限活用するためのリソースが不足しており、AIを活用した採用プロセスに経験のある人材の需要は今後ますます高まると予測されています。AI採用システムに内在する倫理的な問題やバイアスを適切に考慮できる人材が最も求められています。このようなポジションを埋められない企業は、採用プロセスを外部に委託、もしくは専門のサービスを利用して、最適な人材を確保し、適切なタイミングで採用を進める戦略を立てています。 
 

9. フィンテックとキャッシュレス社会の未来 

日本はかつて現金主義の社会でしたが、現在フィンテック革命が進行中です。2025年までにキャッシュレス化率を40%にするという目標は、中国(86%)や韓国(79%)など他のアジアの経済大国と比較すると低いものの、その目標を達成することは、わずか5年前には考えられなかったことです。コロナ禍 
以降、政府の支援と消費者の需要により、デジタルアプリを通じた支払いが急速に普及しています。そして、2025年には金融機関が、他国に追いつくための人材を求めるようになることが予測されます。フィンテック業界は、AI技術の広範な導入にも後押しされており、エンベデッドファイナンスやレグテックなど、高い需要がある分野にベンチャーキャピタルが投資されていることから、これらの分野で特出した経験を持つ候補者が企業から高く評価されるでしょう。 
 
 
 
 

10. 言語スキルを活かしたグローバルな役割への適応 

2024年、円安が続き、7月には歴史的な低水準を記録したことで、日本に多くの懸念が生じました。しかしこの状況には輸出の増加などの利点もあり、特にITやエンジニアリング分野での日本製品やサービスへの関心が高まっています。これにより、多言語を使いこなせる人材の需要が高まっています。日本の労働市場では、英語スキルが引き続き重要視されており、依然として大きな課題です。実際、日本はEF英語能力指数(EF EPI)で93位にまで落ちており、この状況はさらに深刻化しており、高い英語または中国語のスキルを持ち、多様な環境での仕事に適応できる候補者は非常に高く評価されています。一方で、そのような人材を見つけることが難しい企業は、海外での勤務や留学経験を持つ日本人帰国者という限られた人材プールを引き続き活用する傾向にあります。 
 
 

採用したいポジションや採用にまつわる疑問・相談がある採用担当者の方は、ヘイズのコンサルタントにご連絡ください。求人案件は、ヘイズのWebサイトでも簡単に登録可能です。

転職を検討していますか?
ヘイズが有する求人情報を検索できます。気になる求人への応募も簡単。業界/職種に精通したリクルーターへの相談も可能です。