約半数のテクノロジー企業がデジタル人材の採用戦略を最重視
【ヘイズ、テクノロジー企業500社にアンケート調査を実施】
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:グラント・トレンズ、以下ヘイズ)はこの度、約500社のテクノロジー企業を対象にアンケート調査を行いました。
回答を寄せたテクノロジー企業のうち、45%の企業が「採用戦略は、会社全般の生産性改善に影響する」と答えています。この他にも人材採用戦略がもたらす効果については、顧客体験(26%)、製品の品質(19%)、業績(10%)などが挙げられました。
新型コロナウィルス感染症が世界的に流行したことをきっかけに、過去2年で多くの企業がデジタル化を加速させました。この結果、計画的な採用戦略の展開が昨今では特に重要になっています。テクノロジー依存度の高まりを受け、IT分野のスペシャリストに対する人材ニーズは急増し、テクノロジー産業は大きく活性化しています。特に需要の高い職種は、クラウドアーキテクトやクラウドエンジニア、サイバーセキュリティの専門家、データ学習や機械学習のエキスパート、開発者、UIやUXのスペシャリストの他、チェンジマネジメントの専門家などです。
2021年、日本のデジタル環境において重要な課題とされてきたのがセキュリティでした。このため、今後数ヶ月間は、サイバーセキュリティや情報セキュリティ、ビックデータ、人工知能などの分野全般で、関連テクノロジーのスペシャリストに対する需要が飛躍的に高まることが予想されます。企業の戦略を大局的な視点から実行できる、即戦力人材が、今後の転職市場で優位に立つものとみられます。
デジタル人材が不足する中、タレントマネジメントの見直しが急務
テレワークやハイブリッド勤務が浸透し始め、私たちの社会は「ニューノーマル(新常態)」へシフトしつつあります。これを背景に、求職者の間では、ワークライフバランスが充実していること、企業文化が健全であること、キャリアアップの道筋が明確であること、などを重視する傾向が強まっています。企業のリーダーは、人材管理と業務進行の双方を意識して、ビジネスの将来性設計を行っていかなければなりません。また、テクノロジー分野では適格な人材が不足しており、人手不足解消はなかなか解消されません。これらに鑑みて、企業は、タレントマネジメントをもう一度考え直す必要があります。バランスの良い企業文化の醸成や人材育成方法の確立、長期的な視野に立った採用戦略の策定などを中心に、自社のタレントマネジメントを振り返ってみて下さい。
タレントマネジメントにおける4つの課題
モザイク・コンサルティング社でコンサルタント兼コーチを務める公認産業心理学者、マギー・エバンス博士は、ヘイズに寄稿したブログ記事の中で、タレントマネジメントの新たな課題として、次の4つが浮上していることも指摘しています。一つ目は、従業員の就業場所です。ハイブリッド勤務が普及しつつある今、企業は設備費を抑制して利益を確保する一方で、従業員の生産性やエンゲージメント、パフォーマンスを維持出来るような対策を検討していかなければなりません。二つ目は、柔軟性のあるワークフォースプランニングの策定です。これは、短期的・長期的双方の観点から必要な人材を確保するために必要なものです。3つ目は、パーソナライゼーションです。これは、従業員それぞれが異なる状況に置かれていることを理解し、職場で成功出来る支援法を見つけることなどを意味します。最後に、企業への帰属意識と企業文化の確立・強化です。これは、他の企業との差別化を図り、新しい時代において明確なEVP(employee value proposition、従業員価値提案)を創出するためにも欠かせません。
採用プロセスでAIを活用する意義と注意点
デジタル人材の獲得競争がヒートアップする中、企業は自社の採用プロセスを見直す必要がありそうです。人材を惹き付け、その人材との交流を強化していくためにも、素早い進化が求められているのです。これについて、ヘイズでカスタマー・エクスペリエンス・ディレクターを務めるジャッキー・カーターは、採用プロセスに自動化や人工知能(AI)を取り入れることを奨励しています。
「自動化やAIは、人間の力ではとても捌ききれない大量のプロセスを処理することが出来ます。今後は、私たちの殆どがかつて経験したことがない規模の大量失業時代が到来すると言われています。つまり、応募者や求職者の数が10倍に膨らむことも見込まれているのです。こうした現状に鑑みると、採用プロセス強化に対する必要性は、著しく高まっていると言えるでしょう」と、カーターは語ります。
上記の他、自動化やAIは、より求職者の視点に立ったアプローチを可能にします。例えば、AIなどを活用することによって、求職者がその企業に接触した時期や方法、理由に関するデータを効率よく回収出来るようになります。また、求職者をグループ分けしてその接触形跡をマッピングし、タッチポイントとインタラクションの相関性を確認することも出来ます。さらに、採用プロセスを継続的に試験評価することで、常に最適な採用活動を展開することが可能になります。結果的に、選考過程をより公正に進め、自社にマッチした求職者を採用し、将来の人材パイプラインを確保出来るようになるのです。
デジタル化の進展で、情報は容易に入手出来るようになりました。一方で求職者からは、1対1で個別にコミュニケーションを求める声が強まっています。企業は、求職者に親しんでもらい信頼関係を築くために、専門家の視点による記事やアドバイスを盛り込んだコンテンツを定期的に配信したり、データ分析ツールを活用して、求職者がこれらのコンテンツをどのように利用しているのかを追跡・計測調査することで、求職者の理解に努めることの可能です。結果的に、企業は求職者の評価をしやすくなり、求職者によりマッチした、魅力的なチャンスを提供することも出来るようになります。
しかし、自動化やAIに依存しすぎないよう注意することも必要です。これらに使用するパラメーターは、必ず人間が管理するようにしましょう。AIやデジタルツールを上手く活用すれば、確かに採用プロセスは最適化され、適切な採用活動を展開出来ます。しかし、忘れてはならないのは、人材の採用、特に採用基準の作成や人間関係の構築、相手に見合ったチャンスの提供などの行為には、人間らしさが感じられることが重要なのです。
ヘイズは、専門性の高いプロフェッショナルを対象に人材紹介サービスを提供しているリクルートメントのグローバル・エキスパートです。
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