日本のテクノロジー採用に変化:
AIの進展によりソフトウェア開発職需要が減少、一方でプロジェクトマネージャーやクラウドスペシャリストの需要は急増

 
2025年4月10日 - 外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:グラント・トレンズ、以下ヘイズ)は、人工知能(AI)がテクノロジー人材に与える変化を分析した最新レポート「新時代の働き方:AIとともに進化する働き方の未来」を発表しました。 

本レポートでは、AIの影響度をスコア化し、100が最も影響を受ける職種、0が最も影響を受けにくい職種として、主要なテクノロジー職種をランキング形式で紹介しています。 

AIの急速な進化により、一部の職種の需要が減少する一方で、他の職種では新たな需要が生まれています。ヘイズの調査によると、テクノロジー領域の職務は今後大きな変化を迎え、人的資源の再配置にはスキルの再習得が必要になると見込まれます。 

AIをデジタル変革に取り入れるには、明確なビジョン、適切なステークホルダー、信頼できるデータ、堅牢なインフラ、そして適切なスキルが求められます。本レポートでは、グローバルなテクノロジー人材市場の動向を分析し、AI活用に向けた実践的なアドバイスを提供。2022年初頭から2024年末までの世界的な求人データをもとに、生成AI(Gen AI)の影響や主要スキルの需要に関するインサイトも提示しています。 

AIの影響スコアが高い職種では、反復的かつデータ依存度の高い業務がAIによって自動化されるリスクが高まります。しかし、AIは仕事そのものを置き換えるのではなく、職務の一部を代替・再構成する形で業務の質を高め、人的リソースをより戦略的な業務へ注力することを促します。たとえば、AIによるコード生成が可能となったことで、初級レベルのコーダーの需要が減少し、代わりに品質保証や実装に関する上位職の需要が増加しています。 

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ソフトウェア開発職の需要が減少 

本レポートでは、ソフトウェア開発が依然として世界的に最も需要の高いスキルである一方で、2024年には自動化と人材の再配置によって需要が急減したことが明らかになりました。企業は、反復的な業務の自動化を通じて生産性を向上させるためにAIの活用を推進しており、これによりソフトウェア開発職の需要が減少しています。この傾向は2025年以降も継続する見通しです。 

ヘイズ・ジャパン マネージング・ディレクターのグラント・トレンズは次のように述べています。 

「日本では、ソフトウェア開発職が2022年から2024年の間に59%減少しました。この傾向はアジア各国でも見られ、中国で71%、香港特別行政区では90%の減少が確認されています。」 

シンガポールでは同期間に66%の減少が見られた一方で、マレーシアは32%の減少にとどまり、依然として世界的なソフトウェア開発拠点としての地位を維持しています。 

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クラウドスペシャリストの需要が急増 

クラウド分野においてもAIの影響は見られますが、同領域の本質的な役割は大きく変わっていません。むしろ、AIの進化がクラウドコンピューティングの重要性を高めており、AIに最適化されたクラウドインフラの構築が、リソース管理の最適化、クラウドセキュリティの強化、業務プロセスの自動化などを後押ししています。日本では、この動きに伴い、クラウドスペシャリストの需要が2022年比で3倍に増加しました。 

「2022年から2024年にかけて、日本でのクラウドスペシャリストの需要は244%増加しました。これはAIと自動化技術を支える堅牢なクラウド基盤の必要性が高まっていることによるものです」とグラントは述べています。 

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プロジェクトマネージャー職の需要が継続 

2024年、プロジェクトマネージャー職は最も需要の高い職種となりました。これは、企業がAI導入や既存インフラの刷新に向けた準備を進めているためです。ERPやCRM関連職も、他の分野のような大きな変動はなく、安定した成長を見せています。労働力の戦略的配置においては、プロジェクトマネジメントを成熟市場で担い、実行フェーズを他の市場にアウトソースする動きも見られ、長期的な人材供給網構築の重要性が強調されています。 

「日本では、プロジェクトおよびチェンジマネジメント関連職の需要が2022年から2024年の間に30%増加し、アジアで最も高い伸び率を記録しました。香港では8%の微増にとどまり、中国、マレーシア、シンガポールではそれぞれ4%、15%、49%の減少が見られました」とトレンズは述べています。 

今後も、AI活用を推進する企業においては、プロジェクト・チェンジマネジメントおよびデータ・先端分析分野の需要が2025年以降も続くと見られます。企業が限られた予算の中で戦略的意思決定を行うために、データに基づいた判断が一層重要になっており、機械生成された情報を解釈・改善できる人材へのニーズが高まっています。生成AIを含む技術革新は職種の変動を引き起こしますが、その変化は段階的かつ複雑であり、即座に職が置き換わるものではありません。 

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AIに関するトレーニングを受けた人材はごくわずか 

『2025年版 ヘイズアジア給与ガイド』によると、日本では働く人の57%が業務でAIツールを活用している一方で、それらのツールを使うためのトレーニングを受けた人はわずか25%にとどまっています。さらに、43%の従業員は、理解不足やサポート、トレーニングの欠如によりAIツールを使用していないと回答しています。 

「日本の従業員の80%がAIツールの活用方法を学びたいと考えており、71%の企業が今年、深刻なスキルギャップに直面しています。こうした背景からも、従業員のスキルアップを支援するプログラムの導入が不可欠です」とトレンズは述べています。 

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ヘイズ・グローバル テクノロジー部門責任者 ジェームズ・ミリガンのコメント 

2025年は、AIを活用した個別の取り組みから、業務の進め方そのものを再定義する統合的な技術ソリューションへの移行期となります。この変革は2025年以降も続き、多くの企業にとって完全な実装には5〜10年を要するでしょう。今後12か月の取り組みが、テクノロジーの品質、統合、ROIに直結します。 

生成AIを含む新たな技術は、職の変化や新たなスキルニーズをもたらしますが、AIの利点を最大化するには、人と機械の知能をいかに融合させるかが鍵となります。コスト削減を目的にAIで人材を単純に置き換えると、長期的なパフォーマンス低下につながる恐れがあります。むしろ、リスキリングと社内再配置に注力することが重要です。 

AIと技術の進化によって生まれる新たな職と失われる職のバランスを取るには、デジタル変革の各段階で必要なスキルの明確化が不可欠です。高スキルの契約社員と正社員のハイブリッド体制は、より効果的なチーム編成を可能にします。また、変化の激しい分野では、コミュニケーション能力や交渉力、自己認識、感情的知性などのソフトスキルの重要性も増しています。Shape 

 

ヘイズについて     

ヘイズ(本社:英国)は、グローバルな人材サービスを提供するスペシャリストの人材紹介会社です。2024年6月30日現在、33か国・地域236の拠点(総従業員11,100人)において、20の専門分野に特化したハイスキル人材サービスを提供しています。   

    

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(ヘイズ・ジャパン)について   

ヘイズの日本法人として2001年に東京で設立されたヘイズ・ジャパンは、3つの国内拠点(東京本社、大阪支店、横浜支店)を有する人材コンサルティング会社です。13の専門分野(経理・財務、金融、マーケティング・デジタル、人事、IT、保険、法務、ライフサイエンス、事務、不動産、営業、サプライチェーン、製造業)に精通した経験豊富なコンサルタントが、「正社員紹介」「契約・派遣社員」「採用アウトソーシング(RPO)」「ITソリューションズ(業務委託)」の4つのサービスを提供し、企業の人材採用と個人のキャリアアップを支援しています。