日本通運株式会社
日本通運は、1937年10月1日「日本通運株式会社法」に基づくいわゆる国策会社として発足しました。第二次大戦の時局の進展にともない、輸送の総合的運営の必要に迫られた政府の方針により、1942年全国主要都市の運送業者を合併し、現在の原形が形づくられました。さらに戦後、1950年における「通運事業法」の施行とともに商法上の一般商事会社として再出発。以来、日本経済の復興発展と軌を一にして事業の拡大・発展につとめ、今日に至っています。今回は執行役員の大辻智様に事業戦略や今求められている人物像に関して話を伺いました。
日本通運様のグローバル化それに伴う事業戦略に関して、今後どのように考えていますか?
グローバル化は弊社、物流業に関わらず、すべての日系大手/中小企業で今後生き残る為不可欠であると思います。(言わずもがなと思いますが。。)
弊社は現状では日本でのビジネスが核となりますので、売り上げ、組織、パートナー企業も日本が主体となっています。
そこで、弊社におけるグローバル化の大きな取り組みとして、2022年1月よりホールディ
ングス体制への移行を予定しています。新体制への移行により日本と米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニアが横並びのグループ会社として発展を遂げ、今まで以上に海外に重点をおくビジネス体制へ変更していく予定です。
グローバル化が進む中でも弊社の特徴/文化/強みである「Long term & strong relationship with customers – お客様との長期的且つ良好的な信頼性/関係性の構築」は今後もしっかりと継承していく必要があります。
グローバル化が進む中で、「日系企業としての良さ」が失われてしまえば本末転倒です。
ですので我々の強みを残しながら、グローバル化を図っていくことが、今後日本通運のグローバライゼーションのモデルと考えています。
今後も引き続きお客様に寄り添い、お客様のビジネス成長とともに日本通運株式会社も変化していきたいと考えています。
最後に、目に見える弊社のグローバル化の一例として、「外国籍社員の積極雇用」、「海外から日本への異動受け入れの強化」、「カジュアルな服装での出勤(外資系企業では当たり前かもしれませんが。)」などが挙げられます。
社内では、日本人社員と外国人社員が英語でコミュニケーションを図るシーンも増えてきました。
幸いにも弊社へ入社される多くの方は、グローバルな環境でキャリアを伸ばしたい方が多く、従業員のグローバル化に対しての意識は高いと感じています。
結局のところ、経営層のみがグローバル化を促していても浸透しないと考えており、各従業員の「グローバル化への姿勢」をしっかりと見極め、引き続き段階的にグローバル化を進めていこうと考えています。
現在の物流業界の課題とは?今後どう変わっていくべきだと思いますか?
日本のみに留まる話しではないですが、一番大きな課題として挙げられるのは「働き手不足」です。特に、トラックの配送ドライバー、倉庫管理スタッフなど実際に物流を動かす人たちが減りつつあります。
ただし物流業界は自動化も進みやすい業界でもあると考えており、今後自動化の発展にて「人手不足」の課題は解決に進むのではないかと思います。
弊社も自動化には積極的に取り組んでおりまして、今回のホールディングス制への移行を機に日本の会社でもすべての機能を一つに集めて、企業全体のデジタル化を図っていこうと思っています。
日系企業様より転職をされる多くの方が「フラットな職場環境」を求め、外資系企業へ転職を検討されています。そこで日本通運様でフラットな職場環境形成の為、社内コミュニケーション等において何か気を付けていることはありますか?
正直に申し上げて現段階ではフラットな職場環境とは言い難いです。
本社では少しづつ会社の役員層、部長層と非管理職層のコミュニケーションは増えているのは確かですが、弊社の場合、日本をはじめとし多くの支店があり、各支店にてそれぞれの社内文化が形成されてきました。
各支店長に経営権限がありますので、支店A、支店B、本社での社内コミュニケーション環境は大きく異なります。
そこで、よりフラットな職場環境を築き上げる為に、小さなことかもしれませんが、現在
本社では役員室がなくなり、全従業員がフリーアドレスにて固定された座席を持たず、より自由且つフラットに肩を並べて仕事しています(もちろん役員クラスの従業員もフリーアドレスとなります。)
本社、全支店での共通的な変更としては、今年より従業員間の呼び方は「さん」となりました。社長を呼ぶ際も「社長」ではなく、皆「齋藤さん」と呼んでいます。
大きな組織ではあるので、社内文化の変革等はスピードは遅いかもしれませんが、こちらもグローバル化とともに少しづつ良い方向へ転換させていければと思います。
現在日本通運様が抱えている課題は何ですか?
上で述べた内容の総括かもしれませんが、社内外ダイバーシティの向上です。
私自身世界の様々な国々へ赴任させて頂きましたが、外国籍社員、社外パートナーと仕事をしていく中で学ぶことは沢山ありました。外国籍社員の方の物流&サプライチェーン知識、仕事に対する考え方、20年以上前のことですが、その頃から彼らはWork Life Balanceを考えながら仕事をしていました。当初は何もかも新しいことばかりで非常に刺激的な日々を過ごしたことを今でも鮮明に覚えています。
ですので、やはり外国籍社員の採用に伴い、より会社のダイバーシティレベルを上げていく必要があり、外国籍社員の考え、意見等をしっかりと聞き、取り入れることで今後の経営にも活かしていきたいと考えています。また、外国籍社員の採用だけでなく、女性社員の活躍等も数年前と比べ大幅に増えてきました。
今後は性別、国籍といった概念を無しに、加えて弊社の良い文化や日本の文化、やり方をすべての社員に理解して頂いたうえで、日本通運なりのグローバルサプライチェーンソリューションを広げていければと思います。
会社の変革期最中にて今後変わることも多いかと思いますが、大辻様が思う日本通運社で働くうえでのアピールポイントはありますか?
従業員が日々真面目に仕事に取り組んでいることです。
正しい表現としては「真面目」ではなく、「仕事への熱意の高さ」かもしれません。
全ての従業員がより良いサービス提供しようと、熱心に仕事をしていることで、高品質なサービスを持続的に提供できています。「仕事への熱意」は従業員全員誇りに思っており、サービス品質に対するこだわりはどの企業様と比べても強い自信があります。
これはお客様の目に触れないところでもしっかりと意識しており、常にプラスαのサービス提供を考え普段から仕事をしています。こちらは従業員個人へ「企業理念/価値」として教えているわけではないのですが、すべての社員が肌として持っている素質です。
その反面、日本での歴史も長く、安定的に企業が伸びていることからも、「ほんわかした」、「のんびりした」部分も実はあります。(良い意味でも悪い意味でも)
安定性は従業員への安心に繋がり、安心は各個人の余裕につながると思います。
ですので、仕事への熱意だけでなく、各従業員個人の生み出す余裕を基に高い包容力をもって日々新しい日本通運ファミリーを迎えています。
変革を進めていく中で、弊社の抱えている問題をアピールポイントに変えられるよう今後の従業員と一体になり、変化していければと思います。
日本通運様の社員様は自社に対して「ロイヤリティ」をもって仕事している印象が強くありますが、どのような背景があり「従業員からの信頼」得ていますでしょうか?
各従業員が企業理念をしっかりと理解し入社、日々仕事に励んでいることだと思います。
現代表取締役社長の齋藤さんの第一声は「日本通運全従業員を幸せにしたい」でした。幸せといってもただ給料を上げるのではなく、日本通運の提供する働きがい&社会に対する貢献、つまり「各個人の人生においてそれぞれの生きがいを感じてほしい」といった気持ちが込められています。
自分、家族、大枠では社会に対して貢献のできる仕事をしているのだと日々感じることができ、それに対しての会社からのサポートも手厚いです。
漠然的かもしれませんが、「社会貢献をしたい」といった一人ひとりの気持ちに対しての、会社側からのサポートが、弊社社員におけるロイヤリティ形成に繋がっていると思います。
最後に大辻様からこれから日通を転職先として考える方々へのメッセージをお願いします。
是非皆様の能力を活かす場として、国籍、性別問わずたくさんの方にご入社頂きたいです。そのためのサポートは勿論ですし、弊社従業員大きな包容力でお迎えします。
今後のキャリアップとともに、ぜひ弊社と一緒に成長していきましょう!
日本通運株式会社
執行役員
大辻 智
1988年に日本通運株式会社へ入社、初任は神戸支店の航空部門に営業として配属。入社4年後、海外研修制度に社内公募のうえ、カナダに赴任。
小規模ではあるがカナダ日本通運ハリファックス支店長として魚介類等の生鮮食品に対する物流サービスを提供。
約1年の赴任期間を経て日本へ帰国、帰国後すぐにカナダ日本通運モントリオール支店へ駐在員として赴任。およそ7年間、陸・海・空に渡る複合店としての支店経営を任される。
2000年に再帰国し、航空事業部でロジスティクスソリューションを担当、その後、本社経営企画部へ異動、日本で経営方針を策定する重責を担う。
2010年から再び駐在員としてドイツへ赴任、その後2018年にイタリアで2年間の駐在経験を経て日本に帰国し現在に至る。
30年以上のキャリアの半分以上を海外で過ごしており、現在は日本通運本社の事業開発部、お客様相談センター、産業マーケティング部、営業戦略部、医薬品物流品質保証室担当の執行役員として、企業のグローバル化を促進、今後の日本通運株式会社の変革を牽引している。