積極性と意欲がチームに欲しい……取り戻すための4ステップ
チームマネジメントにおいて、メンバーの積極性や意欲が非常に大きな意味を持つことは言うまでもありません。積極的なメンバーは、仕事や組織のニーズに応えようと新しい方法を開拓し、意欲的に行動を起こします。また、状況に流されず、次の展開を冷静に予測し、課題や問題が発生しても上手く切り抜けて行くこともできます。つまり、社員の前向きな姿勢は、チームや会社にとって非常に大きな価値を持つのです。
誰でも入社したばかりのときは、業界紙を読んだり、最新のトレンドや競合他社を研究したりと、意欲旺盛に仕事をするもの。入社後数か月もすれば、将来のプランや目標も持つようになります。
しかし、時間の経過とともに、こうした積極性や意欲は影を潜めていきがちです。チームの新入社員にこの退潮傾向が見られるようになったとしても、もう一度前向きな姿勢を取り戻してもらう方法があります。再度やる気を取り戻してもらうのに、遅すぎるということはありません。
以下に4つの具体的なステップをまとめました。
1. 仕事の裁量権を与える
チームメンバーが、今どのくらい業務を抱えているか、まずはこれを確認し、余裕を持って仕事ができるよう負担を調整します。心に余裕が生まれれば、再び積極性が湧いてくるはず。適度に管理しなければ、疲弊し方向性を見失い、管理しすぎると窮屈に感じてしまいます。指示を出すときは、仕事と目標をセットで与え、期限に間に合わせる方法を彼ら自身で見つけるよう導き、オーナーシップを感じられるようにします。その道筋を整えれば、責任感を持って仕事に取り組むはずです。リーダーは、チームメンバーが迷ったときにいつでも相談に乗れるよう準備しておきます。
仕事の進め方は十人十色。全員に同じアドバイスをしても、全員が同じ結果を出せるわけではありません。このように考えると、仕事の進め方については、思い切って相手の判断に任せてみるのも手。自分の判断に責任を持つことで、新しいアイデアや革新的な方法が生まれる可能性があります。
任されていることを実感し、タスク管理と説明責任とを実感するならより効率的に働こうとする意欲も湧いてきます。チームメンバーが仕事を効率的にこなせるようになり時間に余裕も出てきたら、次の3つのステップを最大限活用できるようになります。
2. 継続的な学習を定着させる
仕事や組織のニーズに応えようとしても、相応の知識がなければ実現できません。知識を身に着けるためには、学び続けることが大切です。ただし、これをチームに奨励するだけでは不十分。
まずは継続的な学習を皆に期待していることをチームに伝えます。そして自分も実践して姿を示すことが重要。業界紙やオンラインセミナー、レポートなどを活用するのもおすすめです。また、おすすめのトレーニング教材などを紹介するのも効果的。学びに積極的なメンバーをチーム全員の前で称賛すれば、他のメンバーも後に続くかもしれません。
3. 具体的な計画を奨励する
積極性の重要な指標のひとつに、計画を立てる際、期待や理想ばかりを追うのではなく、現状と将来の予測を十分に検討した上で立案することが挙げられます。これにより、状況を予測し、コントロールできるように。例えば、業界イベントを企画するとして「同じ日に競合他社も同様のイベントを開催する可能性はないか」、「もし開催されるとしたら参加者の足取りが鈍くならないか」など、想定できる限りのリスクを検討しておくのがベストなのは明白です。
普段からビジネスに関する課題をクリアにして共有しておけば、上記のようにさまざまなケースを念頭に置いたプランニングが可能になります。例えば、イベント開催の時期に関連予算の削減予定があると把握している場合はチームメンバーにもあらかじめ共有。計画時に考慮するよう前もって伝えておくことで、向かうべき方向性がクリアになり、予実の管理など実務を遂行しやすくなります。
4. ナレッジシェアの習慣をつくる
最新のニュースや話題のネタ、トレンドなどの収集に長けていても、共有することに不安を覚えたりためらったりしている様子が見られたらその価値は半減。チームで共有するスタイルに変えていくには、チームミーティングや個別のミーティングを毎週開き、考え方やアイデアなどを共有する習慣を浸透させていくことが大切です。例えばイベントやセミナーに参加するときは、ぜひメモの共有や感想の発表を。ナレッジシェアの基準を示せるやり方です。
ブレインストーミングも効果的。ビジネスで直面している課題に対して解決策を探す場を設けます。このようなセッションを行うときは、予め目的を明確に。例えば、「次回の社内報の特集について、XXのテーマに関連して何か良いアイデアはないか?」など具体的に設定を。
ナレッジシェアの習慣が定着すると、積極的にアイデアを出しながら、ビジネスを改善する方法についてオープンでダイナミックなマインドを保つようチームを鼓舞できます。
活力あるチームの姿を取り戻すのに、遅すぎることはありません。まずは、チームのメンバーに裁量権を持たせることから。責任感を持つことで、仕事を効率的に捌けるようになり、時間に余裕がでてきます。余裕が生まれれば、会社や業界について掘り下げた考えを持つこともできるように。そこで得た知識が、時代に先駆けたアイデアや戦略、ソリューションを生む源泉になる可能性を秘めています。
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著者
クリストフ・ニーヴェルト
ヘイズ・ドイツ、最高執行責任者(COO)
インダストリアルエンジニアの資格を取得後、1999年にAscena (旧社名)にアカウントマネージャーとして入社。部門マネージャー、事業マネージャー、事業所チマネージャーを経て、2008年に契約社員の案件を統括するディレクターに就任。
2012年1月、取締役会に加わり、COOに就任。ドイツにおける法務や小売、営業・マーケティング分野の営業、およびスイス、オーストリア、デンマーク、スウェーデン、ロシアにおける関連会社を担当。また、人材ソリューションや広報、顧客開拓戦略の責任者も務める。