「私たち」と「私」。面接での正しい自己表現とは
あなたは面接でどのような言葉を使っていますか。面接での言葉は非常に重要です。しかし、ある言葉の使い方を誤ると、面接官はあなたの適性に不安を感じてしまうかもしれません。それが、「私たち」という言葉なのですが、これは非常にシンプルな反面、場面によってさまざまに解釈され得るものです。
詳しくお話しする前に、これだけはお伝えしておきます。話題によって「私たち」を使い分けることは何ら問題ありません。例えば、チームワークによる実績について話すときには、適切であると言えるでしょう。しかし、この言葉によってあなたの適性に疑問符がつく場合もあります。その場合は、「私」という一人称を使って、個人の経験を掘り下げて伝えなければなりません。以下に、その理由を説明します。
あなたの適性を具体的に伝える
面接官が知りたいのは、他の人の実績ではありません。あなた自身の実績です。面接官があなたの経験やスキル、業績などに集中して質問を投げかけてくるのはこのためです。「仕事で目標を達成するために、努力したのはどんな時ですか?」などの質問がこれに該当します。
このような質問に対して、「私たち」を主語にして回答するのは適切ではありません。面接官が知りたいのは、あなたがその仕事を遂行する能力があるのか、また、あなたがその状況にどのように対応できるのか、です。「私たち」が達成したことを伝えても、その質問に回答したことにはなりませんので注意しましょう。
例えば、「私は、1ヶ月間でXの売り上げをY%伸ばすよう目標を与えられました。私は、営業担当ディレクターに、どのようにすれば営業スキルを伸ばすことができるのかを相談しました。そして1時間早く出勤してメンタリングセッションに参加したり、推薦された本を読んだり、空いた時間にはポッドキャストを聞いて勉強したりしました。これが上手く行き、次の月には目標をZ%上回ることが出来ました」。
良いことも悪いことも自分の責任として話す
「責任を持つ」とは、どのようなことでしょうか。何らかの成果を挙げたときに「私が担当しました」と名乗りを上げるのもその一つです。一方で、失敗したことなども含め、自分が仕事で直面した困難についても同様に自分の責任を認めましょう。
面接官は、あなたが仕事において良いことも悪いことも含め、あらゆることに責任感を持っていることを知りたいのです。このため、「失敗したときのことを話してください」や、「計画通りに仕事が進まなかったとき、あなたはどうしましたか?」など少々意地悪な質問もするかもしれません。
このときに「私たち」で回答してしまうと、面接官はあなたが責任転嫁をしていると感じてしまいます。
しかし、「私」を主語にして回答すれば、あなたは責任感を持ち、自己認識が出来、向上心のある候補者であると印象付けることが出来ます。例えば、「私がXとして働いていたとき、非常に困難な状況に直面しました。Yの仕事で失敗してしまったのです。しかし、この状況で私はZということを学ぶことが出来ました」などが、その回答として相応しいでしょう。
「私」と「私たち」を上手に使い分ける
もちろん、例外もあります。チームワークなどについて聞かれた場合、「私たち」は正に適語であると言えます。「私たち」を使えば、自分を謙遜してチームを引き立てることになります。
この言葉は、多くの人たちと一緒に達成した目的や結果について伝える場合に必要です。例えば、「私たちは一丸となって力とスキルをあわせ、9月にはこれまでで最高の成果を達成することが出来ました」などが好例です。しかし、あなた自身が貢献したことを話すときは、「私」を使って表現しましょう。「私はXという役割において、責任を持ってYというスキルで貢献しました。これが、Zという結果に繋がったのです」などの言い方が考えられます。
小さなことかもしれませんが、こうした言葉遣いに注意することは大切です。あなた自身が面接の主役となり、面接官への回答はあなたがこれまで達成したことが中心となります。実績だけではなく、困難に直面したことも自分のこととして伝えましょう。あなた個人の経験や努力したこと、仕事への適性がより正確に相手に伝わることでしょう。