コンピテンシー面接を乗り切るために
あなたのスキルや強みを知りたいとき、面接官はあなたの「コンピテンシー(成功につながる行動特性)」を確認してきます。例えば、候補者のテクニカルスキルを詳しく知りたいときは、「これまでの仕事では、どのようにエクセルを活用してきましたか?」などと聞いてくるでしょう。一方、コミュニケーションスキルに関心があるときは、「目標を達成するために、仕事上で同僚とどのように信頼関係を築いてきましたか」と説明を求めてくるかもしれません。
これらの質問は、その場に応じて繰り出されているもののように思われるかもしれませんが(状況に応じた回答方法については、こちらの記事をお読みください。)、コンピテンシー面接の質問が目的としているのは、候補者から実経験を元にした回答を引き出すことです。あなたのスキルや能力がより具体的に特定できるからです。
質問をされたら、面接官が本当に知りたいことは何かを落ち着いて考えましょう。回答するのはそれからです。これは、コンピテンシー面接以外の質問に対しても同じです。
コンピテンシー面接で聞かれる質問 その1
「今までの経験の中で、問題解決に『クリエイティブ』な発想が求められたのはどのような時ですか?」
このような質問には、どのように回答すれば良いのでしょうか。クリエイティブ(発想力が豊か)な人材は、自分自身の力で考え、他の社員が思いつかないようなソリューションを考えだします。この質問で面接官が求めているのは、あなたがどのような方法で課題に対処したかを証明することです。回答の構成を組み立て、ストーリーを提供するにあたっては、「STAR」テクニック(「Situation:状況」、「Task:課題」、「Action:行動」、「Result:結果」の4点から情報を整理し伝えること)の使用が効果的でしょう。
参考に次の回答例をご紹介します。「私は以前、ある人材会社に勤めていました。その時担当していたクライアントは、なぜ自社の離職率が高いのか悩んでいました。私のマネージャーは、私にデータ分析を行い、クライアントの企業に見られる傾向やパターンを特定し、原因と考えられる事柄を見つけ出すように指示しました。私は、オンライン形式で社員に匿名式のアンケートを実施し、クライアント企業の社員がトレーニングや人材育成に懸念を抱いていることを割り出しました。また、回答者の多くが上司に相談しにくいと感じていたことも把握しました。これを伝えると、クライアントはこれらの結果を上手く活用し、次の半年間で離職率を3分の1ほど低減させることに成功したのです」。
コンピテンシー面接で聞かれる質問 その2
「困っている同僚を助けたときのことを聞かせてください」。
あなたならこの質問にどのように答えますか?ここでもSTARテクニックが役に立ちます。あなたがチームワーク力や共感力を発揮して、悩んでいるチームのメンバーをサポートしたときの経験を、はっきりとアピールしてください。また、この行動がビジネスや業績の改善に貢献したのであれば、これについてもしっかりと伝えましょう。
次の回答例が有効です。「最近入社したチームメイトが、レポーティングに使用するソフトウェアの使い方が分からずに困っていました。私は、このチームメイトのために、しばらくの間トレーニングを継続的に行い、必要に応じてサポートもしました。この結果、彼はソフトウェアを効果的に使いこなせるようになり、チームに貢献できるようになりました。最終的に、半年間の業績を25%上向かせることに繋がったのです」。
コンピテンシーとは、ある仕事を遂行するために必要なスキルや知識を意味します。面接準備に当たっては、応募先の会社が求めているスキルを慎重に確認し、あなたがこれらのスキルを発揮したのはどんな時であったのか、具体例とともに明確にしておきましょう。こうした準備をしておけば、コンピテンシーに関する質問をされても容易に答えることができ、あなたのスキルをアピールしやすくなるでしょう。
面接の準備や求職活動に関するアドバイスについては、こちらをご覧ください。