リモートでの研修を成功させるために大切な5つのポイント

 

今、世界中の企業の新入社員がリモート形式で入社しています。彼らのための研修も、最初から最後まですべてリモートで行う傾向が進んでいます。リモート形式の入社や研修を初めて採用した企業も少なくないでしょう。しかし、コロナ禍終息後の新しい時代には、ハイブリッド勤務形態が定着し、こうしたリモート形式の入社や研修は、より普及していくものと思われます。

なぜリモート研修の成功が重要なのか?

新しく入社してくる社員たちは、この数週間落ち着かない毎日を過ごしてきたことでしょう。コロナ禍前の新入社員同様、新しいスタートに対する喜びや不安が入り混じった気持ちもある一方で、自分の雇用が守られるのかという不安や、従来と大きく異なるリモート形式の研修に戸惑いも大きく感じているのではないでしょうか。では、あなたのチームが在宅勤務やハイブリッド勤務の状態で新入社員を迎えることになった場合、どうすれば新入社員に最良のスタートを切ってもらうことが出来るのでしょうか?

研修は、入社後数ヶ月間が勝負です。成功すればその社員はすぐに仕事に全力で取り組むことが出来ますし、その会社に腰を落ち着けたいと思うようになります。つまり、研修の成功は、次の2つの大きなメリットをもたらすのです。

1. 所属意識 – 新入社員が遠慮することなく、帰属意識を持ってチームに参加出来るようになります。それぞれのメンバーのことを理解して人間関係を築き上げ、「楽しんで働くことが出来る職場だ」と感じるようになるのです。所属意識が定着すれば、「この会社に入社して良かった」と思えるようになるでしょう。

2.貢献 – 仕事やチームについて理解が進めば、新入社員は貢献し始めます。彼らが仕事を遂行し、自分のアイディアを皆に伝え、自分が今後どのように貢献していくのかを具体的に示すことは、他のチームメンバーや会社にとってもメリットになります。

リモート勤務の社員研修を成功させる5つの方法

オフィス勤務、完全在宅勤務、ハイブリッド勤務、またはメンバーそれぞれが離れた場所で勤務していたとしても、目指すものは同じです。ただし、メンバーがオフィス勤務時のように同じ場所で働いていないとき、つまり完全在宅勤務やハイブリッド勤務などをしている場合は、オフィス勤務よりもはるかに積極的な働きかけが必要です。オフィスにいる時は、コーヒーブレイクの時間や仲間の近くを通りかかったときに、ちょっとした確認を済ませることが出来ました。しかし、離れた場所で仕事をしていると、こうした細かな確認が出来ません。このため、自分の仕事の進め方が適切かどうかを意識的に確認する必要があるのです。

そこで、今回のブログでは研修を成功させるために必要な5つの行動について説明します。

1. 新入社員のことを理解する 新入社員は、研修に何を求めているのでしょうか。どのようなことを難しいと感じながら働いているのでしょうか?研修期間中、彼らにどのように協力することが出来ますか?時間をかけて、これらのことを確認してみましょう。自分自身の経験を話すことで、強い信頼関係を築くきっかけになるかもしれません。

2. 新入社員を紹介する 新入社員を他の社員にも紹介してあげましょう。他チームのメンバーとも人間関係を築きやすくなります。オンラインミーティングを設定して紹介しても良いでしょうし、クイズやコミュニケーションのためのイベントがあれば、すぐに参加してもらうのも良いでしょう。このようにして、優先的に覚えるべき人たちをいち早く覚えてもらうように手配するのです。最初の一週間で50人に会えたとしても、殆どの人について覚えていることは出来ないでしょうから。

3. 正式なオリエンテーションを行う 入社初日の半日で、その会社の基本的ルールや重要事項などを説明してあげましょう。メールの使い方や会社のミッション、目的、重要な顧客、組織形態、製品知識や仕事のプロセス、コンプライアンス、企業文化などがこれに該当します。スケジュール表にこれらをメモしておき、最初の説明会などでは忘れずに伝えるようにしましょう。また、重要な文書は、新入社員でも見つけやすいようにファイルしておき、後で確認出来るようにしておけば良いでしょう。

4. メンターをつける 新入社員の課題の一つに挙げられるのが、その企業で物事がどのように処理されているかを理解することです。企業の中にはこうしたプロセスを文書化したり、正式なオリエンテーションで説明するところもあるようです。しかし、誰も積極的に教えはしないものの、新入社員が覚えなければならない事柄は、実は沢山存在します。そうした事柄の多くについて、私たちは他の仲間に尋ねることで解決しています。このようにして、原則的な決まり事ではなく、実際に行われている手順を素早く、正確に理解しているのです。オフィスにいれば、ミーティングルームの予約の仕方や文書の保管場所、PCトラブル発生時の相談窓口、費用の請求の仕方が分からなくても、周囲の人たちに確認すればすぐに解決します。しかし、オフィス以外ではそうはいきません。リモート環境で就業している場合には、新入社員に身近なメンターをつけて、基本的な事柄を、気軽に質問出来るようにしてあげれば良いでしょう。

5. 基本的なマネジメントを十分に リーダーには、明確な目標設定をし、他のメンバーの話に耳を傾け、詳細に確認を行い、フィードバックを与えて一緒に考えていくことがこれまで以上に要求されます。新入社員へのこうした働きかけは特に重要です。こうした基本的なマネジメントが出来れば、新入社員の貢献度も高まり、自分たちが会社にとって貴重な存在になりつつあると実感してもらうことが出来るからです。彼らが落ち着き始めたら、今後数ヶ月でどのような成果物を作成すべきか一緒に計画を立てましょう。また、彼らに十分なツールやリソースが支給されていること、彼らが成功したいというモチベーションを持っていることを確認して下さい。

リーダーであるあなたが今回のブログを参考にして研修を成功させれば、新入社員は素早くチームに溶け込み、会社に貢献し始めます。今回紹介したポイントは、新入社員の成長後も継続して実行出来るものが殆どですが、チームのモチベーションを維持するためにも重点強化ポイントは適宜変更していきましょう。

著者

モザイク・コンサルティング、コンサルタント兼コーチ、公認産業心理学者
マギー・エバンス氏
マギーは、プロフェッショナルサービス、金融サービス、小売、FMCGなど幅広い分野で国際的な経験を持つ経験豊富なコンサルタント兼コーチである。 公認職業心理学者であるマギーは、研究と実践を組み合わせて、ビジネスの改善を促進するためのソリューションを開発している。
20年以上コンサルタントとして活躍しており、人材戦略と人材開発を専門としている。彼女の初の著書『From Talent Management to Talent Liberation』が最近出版された。