「将来の仕事」に備えるために必要な4つの行動とは

いつまで今の会社に雇ってもらえるのか、そして、今の自分の仕事を守り続けることができるのか。私たちの多くは、こうした不安を抱えながら働いています。この不安の背景には、今の仕事がどのように変わっていくのか、また、将来はどのような仕事が不要になり、どのような新しい仕事が生まれてくる予想することの難しさがあります。
 
私たち人材コンサルタントが、現在採用を進めている仕事の中には、10年前には存在すらしていなかったものもあります。最近の傾向を見ていると、人間がロボットと協力し合って仕事をすることも、近い将来出てくるのかもしれません。どのように協力し合うのか具体的な例はまだ思い浮かびませんが、こうした考察を避けて通ることはもはやできないでしょう。
 
IT技術の進化、グローバル化が進み、国際的な移動もしやすくなりました。消費者が何を、どのような媒体から購入するのかなど、その消費行動も変化し続けています。この他にも、さまざまな要因がビジネスの世界を大きく変えています。
 
これらの要因はすべて、将来必要となる仕事やスキルに大きな影響を与えます。しかし、私たちが将来の変化に向けて準備し、必要とされるスキルを習得するためには、いくつかの行動を大切にすれば良いのだと、私は考えています。今回紹介するこれらの行動を習慣化して、将来の仕事に備えておきましょう。
 

1. ソフトスキルを磨く

IT技術は、今後もますます進化し、相応の知識を身に着けることが求められていくでしょう。しかし、IT技術が取って代わることのできないスキルもあります。それがソフトスキルであり、将来もほとんどの職種で必要とされることでしょう。ソフトスキルとは、他者とつながり、ビジネスでの関係を築き、前向きに学び、仲間のアイディアを尊重するという極めて人間的なスキルです。
 
常に周囲にアンテナを張り、将来どのようなソフトスキルがビジネスで必要になるのか注意しておきましょう。そして、即戦力になれるように訓練しておけば、転職市場で他のライバルをリードすることができるでしょう。ソフトスキルを身に着けておけば、ITに関する最新情報を得たり、最新のITスキルを習得する際にも役立ちます。これらの知識やスキルも、将来の仕事に欠かすことはできません。
 

2. 好奇心と学ぶ意欲を持ち続ける

自分が担当する仕事のトレンドと変化については、常に意識しておくことが必要です。ITの進化は非常に早く、私たちのスキル習得を待ってはくれません。今後は、スキルを持つ者と持たない者の差が一段と広がり、マーケットの需要は高スキル人材に集中していくでしょう。この傾向は、今後数年間でさらに高まることが予想されます。
 
最新のトレンドや変化を常に把握しておくためにはレポートやメディアに掲載される記事、オンライン配信のコンテンツ、ポッドキャスト、イベントやセミナーなどをチェックしておくことが大切です。将来差が付くスキルや知識について、最新の情報を仕入れておきましょう。
 
次に、スキルアップ(英語のみ)のための具体的な行動に移ります。トレーニングコースの受講やプライベート時間を使った独学、OJTなどが役に立ちます。また、これから需要が見込まれる分野のスキルに絞り込んで専門知識を高めるのも方法の一つです。
 
行動に移すことで、学ぶことも多くあります。居心地の良い場所から飛び出すことになっても新しいチャンスがあれば、これを受け入れ、最新の情報から取り残されないように気を付けましょう。できる限り新しい環境に適応し、採用チャンスを広げていきましょう。
 
また、今の勤務先の状況を振り返ってみることもお勧めします。革新的でパイオニア精神に富み、不足しているスキルが明らかになったときは適切に対応していますか?IT技術の進歩に合わせて従業員のスキルアップに取り組み、スキルが時代遅れにならないように取り組んでいますか?これらを考えることによって、勤務先がどのくらい将来に向けて準備しているのかが分かります。
 
しかし、最新スキルの習得は、最終的には自分自身の責任であると言えるでしょう。
 

3. 働き方の変化にも柔軟に

変化するのは、仕事そのものだけではありません。働き方も同じです。弊社の調査によると、企業がスキル不足の問題に直面していることが分かります。そして、この問題に対応するために、企業は派遣社員や契約社員の採用を進めています。
 
優れたスキルと経験を持つ人材は、スキル不足の影響を受けている仕事だけでなく、高い専門性が必要な仕事にも就職するチャンスが広がる、ということは、広く認知されています。
 
また、派遣社員や契約社員を歓迎する企業も少なくありません。派遣社員や契約社員は、必要な時期に、必要に応じて働いてくれるため、業務に不要となったスキルを持つ人材を社内に抱えておくよりも、はるかに費用対効果が高いのです。働き方は、変化し続けています(英語のみ)。こうした変化に適応していくためにも、派遣社員を働き方の一つとして検討してみることをお勧めします。
 
派遣社員としての働き方は、最近ますます広がりを見せています。この働き方を活かせば、比較的短期間でさまざまなスキルや経験を習得することもでき、将来もさまざまな企業で柔軟に働く力を身に着けることができるでしょう。
 

4. 文化に対する理解を深める

現代は、IT技術が進歩し海外で働く人も増えています。このため、オンライン面接を活用して、海外移住を計画していたり、すでに海外に居住している高スキル人材の採用を進めている企業も増加傾向にあります。
 
こうした状況に鑑みると、将来は、新しい文化や国外の環境にも素早く溶け込めるような資質が求められることになるでしょう。
 
つまり、「地球市民」になることがスキルアップの一つとして求められているのです。皆さんも文化に対する知性を磨き、今後伸びていく海外でのチャンスにも目を向けてはいかがでしょうか。チャンスが与えられた時は、積極的にチャレンジしてみることをお勧めします。
 
「将来の仕事」と、そのために求められるスキルは、常に変化しています。しかし、一つだけ確実にいえることがあります。それは、仕事を続けていくためには、探求心や好奇心を大切にし、変化に適応する力を身に着けることです。
 
ビジネスの世界に変動が起これば、誰もがその影響を免れることはできません。現在の仕事がどのようなものであれ、時代に即した準備や知識・スキルを身に着けることは、すべてのビジネスパーソンに求められることなのです。
 
他にも、転職活動やキャリアアップに役立つ情報を紹介しています。こちらのブログもぜひご覧ください。
 

著者

ニック・デリギアニス
ヘイズオーストラリア・ニュージーランド、マネージングディレクター
ニック・デリギアニスは1993年にヘイズに就任。ヘイズの運営を担当するディレクターをはじめ、ビジネスの様々なコンサルティングやマネジメントを担当してきた。2004年にはヘイズの取締役に任命され、2012年にはオーストラリア・ニュージーランド担当のマネージングディレクターに就任。ヘイズに入社する前は、人事管理とマーケティングの経験があり、心理学の正式な資格も持っている。