逆境や挫折に負けない「レジリエンス」を高める5つの方法とは

 

心理的レジリエンスとは、逆境へ上手く対処し、立ち直る能力のことで、特にキャリアアップや転職、異動の際に非常に重要となります。レジリエンスを高めることができれば、キャリアの中で多くの困難に直面したとしても、変化に適応し、モチベーションを維持し続けることができるからです。
 
では、どのようにすればキャリアにおけるレジリエンスを高め、逆境や挫折に直面しても成果を出すことができるようになるのでしょうか。
 

1.自分のキャリアに責任を持ち、経営者視点で考える

経営者層に対して研修を行うエグゼクティブコーチのビバリー・ジョーンズは、キャリアにおけるレジリエンスを高めるには、経営者視点で考えることが極めて重要であると述べています。また、「自分が大きな組織の歯車の一つにしかすぎないと感じていたとしても、個人営業主のようにキャリアを考えることが重要」とも話しています。自分のキャリアには自ら責任を持ち、前向きかつ積極的にキャリアを考えていく必要があります。
 

2.長所を活かす

自分の長所をしっかりと理解し、伸ばしていくことも大切です。長所とは、自分が自然に上手くできていることや楽しんでできていることを指します。もちろん、誰もが短所を持っていますし、それが自分のキャリアや目標にどのように影響するのか認識することは重要です。しかし、短所を補うことばかりに集中しすぎると、「平均的」な人材になってしまいます。だからこそ、本当の意味で成長するためには、自分が潜在的に持っていて十分に活用できていない能力を見つけ、伸ばしていく必要があります。例えば、交渉が得意で、過去に上手く合意をまとめることができたという経験があったとします。しかし、現在の役割では、その能力を活かす機会がなかなかありません。
 
では、どのようにすればさらに自分の長所を活かす機会が得ることができるのでしょうか。このような場合、長所を活かしたいということを、周囲に対して積極的に伝えると良いでしょう。もし、あなたがサプライヤーや代理店との交渉に積極的に関わりたいと申し出たなら、上司は歓迎してくれると思います。長所を活かすということは、成長につながるだけでなく、成功体験を通して自信を得てレジリエンスを高めるという点でも非常に大切なことです。
 

3.パーソナルブランドを確立する

パーソナルブランドを確立することは、今後のキャリアのためだけでなく、レジリエンスを高めるということにもつながります。パーソナルブランドを築くことで、自分にとって中核となる目的や強みを理解し、意識して行動することができるようになります。人生の中核となる目的を見つけ、意識することができれば、それが自分の行動の軸となり、逆境に直面しても立ち直ることができるでしょう。
 

4.対処法を身に着ける

キャリアにおける大きな転換点や不確実性にぶつかったときにも、対処できる方法を身に着けておく必要があります。一般的には、柔軟に対応できるよう、様々な対処方法を考えておくと便利です。合理的な対処法を一つ持っていれば、問題に対して簡単かつ論理的に対応することができるかもしれません。これは、とても便利なアプローチですが、一つの方法に頼りすぎたり、社会的支援など他の方法を検討しないといったことは避けるようにしましょう。
 

5.「錆びつき症候群」に注意する

働きすぎから生じるバーンアウト(燃え尽き症候群)は、キャリアアップ・チェンジの際に考慮しなければならないリスクですが、「錆びつき症候群」も同様です。錆びつき症候群とは、実力を思うように発揮できないことから、モチベーションが上がらず、退屈だと感じてしまう状態のことを指します。バーンアウトが心の健康に与える影響も甚大ですが、錆びつき症候群は、症状がゆっくりと進行し、早い時期に発見することが難しいのが特徴です。錆びつき症候群を避けるためには、自分にとって大切な活動に参加し続けることや、快適で心地良い「コンフォートゾーン」の外でどのように行動するか考える必要があります。キャリアにおいては、バーンアウトよりも錆びつき症候群の方がリスクの大きい時期が存在します。錆びつき症候群について認識し、対処しなければ、キャリアや長期的なレジリエンスにネガティブな影響を与えるでしょう。
 
つまり、レジリエンスを高め、キャリアにおける逆境や挫折に対応するためには、以下のステップを踏む必要があります。
 
1.自分のキャリアに責任を持ち、経営者視点で考える
2.長所を活かす
3.パーソナルブランドを確立する
4.対処方法を身に着ける
5.「錆びつき症候群」に注意する
 
この記事が皆さんの役に立つことを願っています。
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ゴードン・ティンライン
産業・心理学者
ティンラインは、ベテランの(公認)産業・組織心理学者で、フリーランス(GT Works Psychology社)として活躍中。さまざまな産業分野や職業階層に対する知見が豊富で、警察機関や防衛機関、NHS(国民保健サービス)、金融業、サイエンス・エンジニアリング企業など、サービスを提供してきた組織や企業は広範に渡ります。