今回の応募は正解?リモート面接で判断する6つのポイント

 

  • リモートでの採用面接を控えている皆さんの中には、応募した仕事や企業が、本当に自分に適しているのかどうか心配している方もいらっしゃるかもしれません。
  •  リモート面接では、一緒に働く人たちと直接対面して会うことは出来ません。また、オフィスを実際に訪ねて、応募先企業の雰囲気を体感することも出来ません。
  •  こうした制約で不安になるのも無理はありませんが、これを解消する手段がないわけではありません。例えば、面接前にオンラインでその企業についてリサーチをする、面接官への質問を適切に行う、面接官の身振りや手ぶり、ボディランゲージに注意する、などの方法で、その仕事や会社が自分にフィットしているか否かを探っていくことも可能です。今回のブログでは、こうした方法についてご案内していきます。

応募した仕事は適職か?

応募した仕事が適職か否かについては、確認すべきポイントが数多くあります。例えば以下について考えてみましょう。これは、リモート面接のみならず、対面式の面接にも当てはまります。

  • その仕事は、あなたのスキルやキャリアへの希望、目標に合致していますか?
  • 提示された給与や福利厚生は、経済的な点から見て問題はありませんか?
  • 仕事の拠点となるのはオフィスか在宅勤務か?必要なときは、柔軟に働くことが出来そうですか?
  • キャリアアップのために学ぶ機会や研修、トレーニングが用意されていますか?
  • 応募先企業の製品やサービスに関心がありますか?応募先の企業目標に従うことが出来ますか?
  • 応募先企業の文化に魅力を感じますか?仲間意識や参加意識を持ち、自分が尊重されていると感じながら働くことが出来そうですか?
  • 新しいチームや上司と良好な関係を築き、助け合いながら働くことが出来そうですか?

上記に紹介したポイントは、すべて重要ですので確認しておくべきでしょう。しかし、直接口頭などで質問しなくても、面接の過程で直感的にわかることも少なくありません。実は、適職か否かの判断においては、こうした本能的な直感が大きな助けになることもあります。ただし、こうした直感は、対面式の面接の方がより機能しやすいと言えるでしょう。

リモート面接で適職か否かを見分ける6つの方法

では、リモート面接では、どうやって適職か否かを見分ければ良いのでしょうか?一部ではありますが、私の考えを以下にご案内します。

1. 面接前にしっかりとリサーチを

  •  求人広告には、どのような言葉が使われていますか?使用されている言葉をしっかりと分析しましょう。その求人を読んで、そこで働くイメージはつかめましたか?多様性を受け入れる企業だと感じましたか?親しみやすく、心地よい言葉が使われていましたか?その求人は、「弊社」や「私たち」のように一人称で説明する形式でしたか。それとも、「求職者の皆さん」など、相手に語りかけるように二人称で呼びかけていましたか?多様性に富んだ職場であると感じさせる言葉は使われていましたか?募集されている仕事の内容や責任の範囲は明確に、簡潔に記載されていたでしょうか?このように与えられた情報を深く読み込むことで、その職場や仕事に関するイメージを、予想以上に明確につかむことが出来るようになります。
  •  対面式の面接準備と同じように、企業のホームページも読んでみましょう。あなたの価値観とその企業のビジョンや目的に食い違いはありませんか?応募先企業がYouTubeチャンネルを開設しているならば、ぜひ確認して下さい。今は多くの企業が、求職者向けに動画を作成し職場の様子を公開しています。
  •  口コミサイトを読んだり、最近のニュースを検索しても良いでしょう。SNSをチェックしたり、LinkedInでその企業の社員たちについてリサーチするのもお勧めです。社員たちの活動を知ることで、企業文化への理解も進むかもしれません。
  •  リクルーターや採用担当者から配布された資料には、必ず目を通しましょう。資料はブログやレポート、書類などの形式で渡されることが一般的ですが、フォーマットに関わらず読んでおくことが大切です。読むことでその企業の価値観や、重点分野を深く理解することが出来るからです。また、最新ニュースにも注意しましょう。その企業はダイバーシティ&インクルージョンに関するコミットメントを発表したばかりかもしれませんし、業界の動向について最新レポートを発行しているかもしれません。これらの情報は、企業のホームページでも確認することが出来ますので、チェックしておきましょう。もちろん、企業のビジョンや目的も忘れずに確認を。

2. リモート面接でも企業の雰囲気は確認出来る

  •  応募先がバーチャルオフィスツアーや、短時間の動画を提供してくれるかもしれません。短時間の動画であれば、その企業の社員が撮影した可能性もあります。これを見れば、仕事の様子や必要な専門知識を理解したり、実際にその職場で働く様子を確認することが出来るでしょう。また、面接中に、他のチームのメンバーとオンラインによる面談を用意してもらえる可能性もあります。当日に実現出来なかった場合や、今後面談の予定があるのか知りたいときは、リクルーターに相談してみましょう。ツアーや動画、面談は、その企業の文化に触れたり、実際の仕事やプロジェクトの様子を知るチャンスです。その企業や仕事が、自分にフィットしているかどうかを判断する材料となるのです。
  •  リモート面接の最中も、企業の雰囲気を知る手がかりを探してみましょう。コミュニケーションや行動学のエキスパート、マーク・ボウデン氏は、「生活スタイルや身に着けるものは、知らず知らずのうちに、その人が大切にしているもの、つまり価値観を伝えています」と指摘します。面接官の経歴や環境の中に、職場の雰囲気を感じ取れるようなものはありませんか?その人の部下として働くことになったら、あなたはどのように感じると思いますか。面接官がオフィスから面接しているのならば、その部屋のデザインや特徴を確認することは出来ますか?自宅から面接しているのであれば、子供の姿を見たり声を聞いたりすることもあるかもしれません。こうした状況からは、面接官が柔軟でリラックスしたアプローチを取ることが出来る人物であると考えることも出来ます。

3. 面接官への質問は適切に

  •  対面式でもリモート式でも、面接は相互のやり取りによって成立します。相手があなたの適性を確認するためだけに行われるのではありません。あなたにとっても、応募した仕事が適職かどうかを判断するチャンスなのです。リモート面接の場合はとりわけ、どのような質問をすべきか、また、面接官がどのように回答したかに留意しましょう。今回応募した仕事や企業が自分にマッチしているか否か判断する際に、非常に役立ちます。
  •  質問の内容を、期待されている職責や配属されるチーム、面接官自身のこと、応募先企業に関することや学習・トレーニングなどに集中させれば、その企業で働くイメージがつかみやすくなるでしょう。ヘイズ・スペインのマネージング・ディレクターであるクリス・ドッティは、自身のブログの中で、効果的な質問例を紹介しています。
    • 「この仕事の一日の流れを教えて下さい」
    • 「御社での成功とは、どのようなことですか?」
    • 「実際にこの会社で働いて、どのように感じますか?」
  •  コロナ禍への対策を質問しても良いでしょう。「今回のコロナ禍を通して、ビジネスやリーダーの在り方について大切だと感じたことは何ですか?」や、「リモート勤務や在宅勤務、あるいはハイブリッド勤務で就業する場合、御社はどのような支援を行っていますか?」などでも良いでしょう。回答の内容や仕方を見れば、その企業がどのように今回の危機を切り抜けているのか理解出来ます。また、あなたが、こうした状況下でその企業で働くことに誇りを持てるのか否かも判断することが出来るでしょう。
  •  面接先の文化には馴染めそうですか?面接官の回答を参考にして、検討してみましょう。例えば、「結果を重視する」企業であるとの回答が返ってきたとします。その企業では、締切に遅れたり目標を達成出来なかった場合やミスをしてしまった場合には、何か罰則があるのでしょうか?

4. 面接相手が、自分に合った上司か否かを確認する

  •  新しい上司との信頼関係は、仕事そのものと同様に、またはそれ以上に重要です。リモート面接では居住地に関わらず、新しく上司となる人に会って評価することが出来ます。これは、非常に良い傾向であると言えるでしょう。
  •  面接をしながら、上司となる人のコミュニケーションスキルを分析しましょう。相手は、面接が進めば進むほど、自分の考えを明確に話してくれていますか。あなたが応募した仕事や期待する人材について、きちんと伝えてくれていますか。また、あなたの話にじっくりと耳を傾けてくれますか。こうした点を観察すれば、一緒に働いた時の様子が想像出来ると思います。コミュニケーションの仕方は、自分にフィットしていますか?確りとした関係を築くことは出来そうですか?質問への回答や面接中に、相手がどのような言葉を使ったかにも注意しましょう。「we(私たち)」よりも、「I(私)」という言葉を多用しているときは、協調性や同調性に欠けているかもしれません。
  •  インタビューは、対話のように進みましたか?それとも尋問のようだと感じましたか?無理なく自然に進んだのであれば、キャリアなどについて同じモチベーションや価値観を共有しているということです。良好な関係を築くことが出来るでしょう。
  •  ヘイズ・カナダのプレジデント、トラヴィス・オールークは、こうしたコミュニケーションについて自身のブログの中で、「もし相手が上司になったら、自分に何を教えてくれそうか」を考えるようにアドバイスしています。相手がそれまでどのようなキャリアを積んできたのかを聞いてみましょう。あなたのキャリアの参考になる経験を豊富に持っていますか?また、仕事や企業に対する熱意はありますか?そうした人物が働く職場は、非常に前向きで明るい職場であると考えて良いでしょう。

5. 面接官はどんな身振り、手ぶりで話しているか

  •  対面式の面接ほど容易ではありませんが、面接官の身振りや態度に注目するのも有効な方法です。あなたが答えている間、面接官は笑顔で聴いていますか?また、どんな態度で聴いていますか?腕組みをしたままでしょうか、それともリラックスした姿勢で聴いていますか?面接官のジェスチャーや声のトーンなどで、彼らがあなたを候補者として真剣に考えているのか否かを判断することが出来るようになります。
  •  前出のコミュニケーションの専門家、マーク・ボウデン氏は、「相手の様子に大きな変化が起こったら注意しよう」と伝えています。同氏は、「あなたが話している最中に面接官の身振りや仕草がガラリと変わる、例えば、それまでの姿勢や表情、動き、態度に、鮮明な変化が現れたとします。その時は、あなたの回答に彼らがどのように考えているのかを聞いてみましょう。こうした大きな動きは、個々のジェスチャーよりも遥かに多くのことを物語っています。あなたの回答に対して、相手の見解が大きく揺れたのかもしれません。あなたにとっても、自分の考え方や見解、性格などが、その企業にフィットしているのかどうかを深く理解するチャンスです。面接官の仕草などに、大きな変化が現れた時は、あなたの考え方について彼らがどのように考えているのかを確認してみましょう」と説明しています。ボウデン氏は、ボディランゲージの解釈について貴重なアドバイスを提示しています。ぜひ参考にして下さい。
  •  また、同氏が解説しているYouTubeのチャンネルもご参考に。この動画から学べるのは、相手のボディランゲージを理解する方法だけではありません。リモート面接における効果的なボディーランゲージの使い方も学習することが出来ます。例えばこの動画では、自宅からオンラインで効果的にアピールする方法について説明しています。部屋を明るくしたり、カメラの上に笑顔を書いたポストイットを貼っておくなどの工夫で、笑顔で面接に臨めるようになります。面接でのアピールに役立てて下さい。

6. 面接を振り返る

  •  面接はどのように進行しましたか?開始から終了までのプロセスを振り返ってみましょう。応募先企業は、まとまりのある組織に思えましたか?候補者であるあなたを中心に進行しましたか?コミュニケーションはスムーズで、相手は素早く回答し、詳しく説明してくれましたか?その応募があなたにフィットしているか否かの判断材料になるのは、知識や経験だけではありません。こうした面接でのプロセスが、その企業の雰囲気などを体現している場合もあるのです。

リモート面接でも、応募先の企業や仕事に対する適性を確認する手掛かりが無いわけではありません。今回ご案内した6つのポイントをご参考に、ぜひ面接を有効に活用して下さい。

著者

マーク・ブラジ
リージョナル・マネージング・ディレクター
2022年にアジアのリージョナル・マネージング・ディレクターに就任。
2012年に香港のリージョナルディレクターとしてヘイズに入社。2014年には、ヘイズ・タレント・ソリューション事業の責任者を担当し、2015年にヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクターに就任。正社員や役員、派遣社員、契約社員の紹介、オンサイトソリューションなど、あらゆる専門分野における日本事業のオペレーションと成長の責任を担った。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アジアでビジネスをリードし、成長させてきた実績があり、幅広い業界と職種に関する専門知識を有している。人材業界の前は、自動車業界にてさまざまな営業やマーケティングのマネジメントを務めていた。ビジネス改革とチェンジマネジメントの経験が豊富で、機能横断的なチームの構築、育成、指導に長けている。また、ニュージーランドリーダーシップ研究所の理事を務め、アッシュブリッジビジネススクールで戦略を学んでいた。