面接で絶対に聞いてはいけない逆質問

面接官は熱意のある候補者に好感を持ちます。しっかりと調査し、考え抜いた逆質問を積極的に行えば、概ね好意的に受け止められるでしょう。候補者が応募したポジションに対して真摯な関心を寄せていることが伝わるからです。しかし、中には「してはならない逆質問」というものも存在します。こうした逆質問をすると、皆さんの努力も水泡に帰してしまう可能性がありますので、注意してください。
 
今回は、面接で聞いてはいけない逆質問や注意すべきマナー、その理由についてご案内します。
 

「この面接は何時に終了するのですか?」

質問自体には何の悪意もないのでしょう。しかし、質問された面接官は、「面接よりも大事な約束が控えているのだろうか」と不快に思うかもしれません。あなたが現在も他社で就業中であれば、忙しい毎日を送っているのかもしれません。しかし、面接が佳境に入る前にこうした逆質問をしてしまうと、面接官はあなたに対して良い印象を持ちにくくなってしまいます。また、言葉に出さなくても、時間を気にして時計を見たり、イライラした素振りを見せてしまうと、あなたの好感度が低下する可能性もあります。

このような状況に陥らないためにも、事前にリクルーターと面接にかかる時間を確認しておきましょう。また、面接当日は、他の予定を入れないようにしたいものです。
 

事前に調べておくべきことを質問してしまう

応募先企業の創立年やCEOの名前など、面接前に確認すべきことを質問するのもNGです。これらは、会社情報やGoogleなどで容易に調べることができますので、事前に忘れずに確認しておきましょう(英語のみ)。面接当日は、その会社がどのような企業文化を持っているのか、または自分が成長するためにどのような機会が用意されているのかなど、直接確認しなければ知ることができないような、有意義な質問をしましょう。では、質問例を具体的に挙げて説明したいと思います。
 
 

待遇についての質問にも注意

福利厚生や報酬、権利などについて質問する時も配慮が必要です。
  • 休暇は何日もらえるのですか?
  • ランチタイムなど、休憩時間は何分間与えられるのですか?
  • 成果に応じて特別ボーナスなどは出るのですか?
  • XXX年後には昇給しますか?
  • 社内割引制度やプライベート医療サービス、年金制度はありますか?費用の立替制度は?
これらも要注意事項と言えるでしょう。質問のタイミングを誤ると、面接官は「待遇や権利よりも、仕事や職務について質問する方が先だろう」と、あなたに対し不快感を持つかもしれません。面接ではまず、応募した仕事やポジションに関したことを集中的に質問しましょう。待遇面については、面接前にリクルーターに確認したり、希望を伝えておけばよいと思います。また、待遇・権利に関する具体的な交渉は、内定後の方が適切です。どうしても面接で確認しておきたい場合は、必要な応答が終了した後半部分が望ましいでしょう。
 

仕事に対するネガティブな姿勢

仕事についてどこまで責任を負うべきかも、気になるポイントではあると思います。しかし、「XXの仕事も、私がしなければならないのでしょうか?」といった聞き方では、その仕事に否定的な印象を与えてしまいます。

このような場合は、前向きな言葉を使うよう心がけて下さい。「私のポジションは、XXの仕事を担当する可能性もあるのでしょうか。前職で得意だったので確認したいのですが」などの聞き方をしてみましょう。
 

「職場の人たちのことは好きですか?」

これから一緒に働くかもしれない仲間たちについて知りたいのは当然です。彼らがどのような人物なのかは、転職を決定する重要なポイントでもあります。しかし、率直すぎる質問は、あなたが社会人としての礼儀をわきまえない不躾な人物であるとの印象を与えてしまうでしょう。また、いずれにしても面接官は、こうした質問に対して「私の仲間はいい人ばかりですよ」など肯定的に回答するしかありませんので、あなたが本当に知りたい情報が与えられる可能性は低いかもしれません。

しかし、これを「御社ではどのような人たちが働いているのでしょうか」「チームの雰囲気を教えてください」など、企業文化やチームの特徴に関連付けて質問すれば、仕事に前向きであることを印象付け、必要な情報を引き出すこともできるでしょう。
 

「どの位で昇進できますか?」

仕事に意欲的であることを知って欲しい、という気持ちは分かります。しかし、この種の質問は、あまりにも時期尚早であるとの印象を与えかねません。あなたはまだ、仕事に就いてすらいないのです。こうした質問をする代わりに、昇進には、努力と勤勉な姿勢が必要であると理解していることを伝えましょう。あなたに対する面接官の好感度も上向きます。

昇進が気になるときは、自分自身の成長という面から質問してみましょう(英語のみ)。「私は、この仕事に就いたら自分のスキルや担当範囲を広げていきたいと考えています。そうしたチャンスは与えられますか?」などが一例です。
 

プライベートな質問

面接官の人柄を知ろうとすることは、非常に良いことです。しかし、過度にプライベートな質問は控えるべきでしょう。「もうご結婚なさっているのですか?」「ご年齢は?」「年収はどのくらい?」「仕事で嫌なことは?」などは、慎むべき質問です。

彼らのキャリア観や、勤務先に対する考えならば質問しても差し支えありません。「入社後、仕事に変化はありましたか。それはどのような変化でしたか?」「仕事で最も魅力を感じるのは?」「この業界で働き続ける理由は?」「今の会社に惹かれた理由は?」などと質問してみましょう。ただし、プライベートな話題でも、面接官が自ら切り出してきたのであれば応じても構いません。週末の予定などの個人的な話題は、踏み込みすぎなければ、信頼関係を築く良いきっかけとなります。
 

「内定をいただけそうでしょうか?」

内定を確信したい気持ちから、この質問を「クロージング(契約成立を決める言葉)」に使いたくなる気持ちも分かります。面接官の様子を見て不安を感じたときは特に、このような質問をして気持ちを落ち着けたくなるかもしれません。しかし、現実にはこの質問は、面接官に挑戦的な印象を与え、逆効果です。こんな時は、「他にお聞きになりたいことや、ご説明が不足していることはありませんか」などと慎重な聞き方の方が無難です。面接で好感触を持ったときは、「本日実際にお会いして、改めて私は御社でこの仕事をしてみたいと強く感じました。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています」などと言っても良いでしょう。熱意が逆効果にならない表現を心掛けてください。

面接には、「してはならない逆質問」が存在しますが、表現や言い方を変えるだけで、自分が欲しい情報を引き出すことができるだけでなく、相手に前向きでプロフェッショナルな印象を与えることが可能になります。今回の記事を参考に、皆さんが内定につながるチャンスを大きく引き寄せることができるようお祈りしています。
 
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著者

ロビー・ヴァヌクサム
ヘイズ・ベルギー、マネージングディレクター

ロビー・ヴァナクセムは20年以上の業界経験を持ち、そのうち15年以上はヘイズでの経験である。2000年に人事の世界に入り、コンサルタント、ビジネス・ディレクター、リージョナル・ディレクターとキャリアを重ね、2015年にマネージングディレクターに就任。